天皇制を守った英雄「姉ちゃんは広虫」No.1
私の名は広虫。
備前国和気郡――今でいう岡山県和気町で生まれ育ちました。
私には、いたずら好きで、いつも走り回っている弟がいます。
弟の名は清麻呂。
今はまだ木登りや川遊びに夢中の、ごく普通の子どもです。
でも、この子がやがて日本の歴史を大きく動かす人物になることを、この時は誰も知りませんでした。
そして、その物語は私たちが生まれる、はるか昔から始まっています。
第一話 神功皇后
英雄・ヤマトタケル。
一度はその名を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
東国を平定し、多くの伝説を残した英雄でしたが、天皇となることなく、その生涯を閉じました。
その魂は、やがて息子・仲哀天皇へと受け継がれます。
しかし、仲哀天皇もまた若くして崩御してしまいます。
残されたのは、その胎内に新しい命を宿した皇后でした。
その皇后の名は、神功皇后。
数多くの伝説を残す神功皇后ですが、彼女はお腹に皇子を宿したまま海を渡り、大軍を率いて戦いへ向かったと伝えられています。
その皇子こそ、後に戦の神として崇められる応神天皇。
「生まれる前から戦場にあった皇子。」
後の世の人々は、そう語り継ぎました。
やがて神功皇后が凱旋すると、皇位を巡って忍熊王が兵を挙げます。
この戦いこそ、後に私たち和気一族の運命を大きく変えることになるのでした。
続きはまた今度
