Jリーグでは見えない少年サッカー審判の試合準備④|青と赤なのに見分けられなかった理由
Jリーグや日本代表の試合では、キックオフ前の数分間はほとんど映りません。
しかし、少年サッカーの審判は、その短い時間の中で多くの準備をしています。
このシリーズでは、テレビ中継では見えない「試合開始までの審判実務」を紹介しています。
第1回はコイントス、第2回はメンバーチェック、第3回は用具チェックについて紹介しました。
今回は、その前に行われるユニフォームチェックについてです。
試合中、選手たちは当たり前のように異なる色のユニフォームを着ています。
しかし、その「当たり前」は、試合前のユニフォームチェックによって支えられています。
📝ユニフォームチェックはいつ行うの?
少年サッカーでは、多くの大会で試合開始30分前頃にユニフォームチェックを行います。
集合時間は大会要項で決められていますが、前の試合のハーフタイム前後になることが多い印象です。
試合開始30分前に、正副2組のユニフォームを持参して審判員によるチェックを受ける。
(対戦相手と色が類似する場合は、話し合いにより主審が決定する)
大会本部には、
両チームの指導者
フィールドプレーヤー1名
ゴールキーパー1名
審判団
大会本部役員
が集まり、その場でユニフォームを確認します。
都合により選手が来られない場合は、指導者がユニフォーム一式を持参して確認することもあります。
📝何を確認しているのか
確認するのは、単純に「色が違うかどうか」だけではありません。
具体的には、
両チームのフィールドプレーヤー同士
両チームのゴールキーパー同士
フィールドプレーヤーと相手チームのゴールキーパー
が、それぞれ見分けられるかを確認します。
ユニフォームはシャツだけではなく、ショーツやソックスまで含めて確認します。
審判がプレーを正しく判定するためにはもちろん、選手同士がお互いを瞬時に見分けられることも大切だからです。
📝「同じ色ではダメ」と思い込んでいた
審判を始めた頃、今でも覚えている出来事があります。
ユニフォームチェックをすると、両チームのゴールキーパーが上下・ソックスまですべて灰色でした。
私は、
「これはどちらかに着替えてもらわないといけない。」
そう思い込み、その方向で話を進めようとしていました。
すると大会本部にいた上級審判員の方から、
「ゴールキーパー同士は、やむを得ない場合は同色でも競技規則上認められているよ。」
と教えていただきました。
そのまま試合を行うことになり、私自身にとって競技規則を一つ学ぶ機会になりました。
審判はルールを運用する立場ですが、経験を重ねながら学ぶこともたくさんあります。
こうした現場での経験は、今でもよく覚えています。
第4条「競技者の用具」
3.色
・両チームは、お互いに、また、審判員と区別できる色の服装を着用しなければならない。
・それぞれのゴールキーパーは、他の競技者、審判員と区別できる色の服装を着用しなければならない。
・両チームのゴールキーパーのシャツが同色で、両者が他のシャツと着替えることができない場合、主審は、試合を行うことを認める。
第4条「競技者の用具」より抜粋
📝本部では問題なくても、ピッチでは違って見えた
もう一つ印象に残っている出来事があります。
試合前のユニフォームチェックでは、片方のチームが青、もう片方が赤になりました。
本部で見る限りでは、色の違いは十分あり、問題なく試合を始められると判断しました。
ところが、試合が始まり副審としてタッチラインに立つと、目の前から強い西日が差し込んできました。
すると、青も赤も暗い色に見えてしまい、一瞬どちらのチームなのか判断しづらい場面がありました。
試合後、主審とも
「片方のチームは、もう少し明るい色にしてもらった方が見やすかったね。」
という話になりました。
競技規則どおりに確認していても、実際のフィールドでは光の当たり方や天候によって見え方が変わることがあります。
これは現場に立って初めて気付いたことでした。
📝ユニフォームチェックは公平な判定のための準備
ユニフォームチェックは、服装の確認をするためだけの時間ではありません。
選手同士が互いを見分けやすくなり、審判も正確にプレーを判定しやすくなる。
その結果、公平・公正な試合運営につながります。
テレビ中継では映らない数分間ですが、その時間があるからこそ、安心してキックオフを迎えられるのだと思います。
📝おわりに
試合が始まれば、審判の仕事は笛を吹くことや判定を下すことだと思われがちです。
しかし、その前にはコイントス、メンバーチェック、用具チェック、そしてユニフォームチェックと、多くの準備があります。
どれも目立つ仕事ではありませんが、試合を安全かつ公平に進めるためには欠かせない実務です。
次回は、ユニフォームチェック後に行う、審判団同士の打合せについて紹介したいと思います。
