🏙 街で読む経済 第156回 ~35℃なのに、もう秋です~
8月も後半。
暦の上では、
もう秋です。
とはいえ、
外へ出れば、
まだ35℃を超えそうな暑さ。
駅から少し歩いただけで、
汗が流れてきます。
そんな街を歩いていて、
ふと、
アパレルショップの
ショーウインドウを見ると。
長袖のニット。
落ち着いた秋色の服。
店によっては、
ジャケットやコートまで並んでいます。
思わず、
言いたくなります。
「いや、まだ暑い。」

🧥 マネキンだけ、もう秋
街を歩く人たちは、
半袖。
日傘。
ハンディファン。
冷たい飲み物。
完全に、
真夏の装備です。
ところが、
ガラス一枚向こうのマネキンは、
もう秋の装い。
同じ街にいるのに、
人間とマネキンで、
季節が違います。
なぜ、
こんなに早く秋物を並べるのでしょう。

📦 洋服には「売れる季節」がある
洋服は、
一年中、
同じように売れる商品ではありません。
夏物には、
夏物が売れる時期があります。
秋物にも、
秋物が売れる時期があります。
そして、
売れる時期を逃した商品は、
値下げしなければ
売りにくくなることがあります。
だからアパレルショップは、
夏が完全に終わるまで、
夏物だけを並べて待っているわけにはいきません。
夏物のセールをしながら、
少しずつ秋物を並べる。
売り場そのものを、
次の季節へ移していきます。

🏪 売り場にも限りがある
以前、
スーパーにも「一等地」がある、
という話をしました。
洋服屋も同じです。
ショーウインドウ。
入口付近。
店内の目立つ棚。
使える場所には、
限りがあります。
そこに、
何を置くのか。
今すぐ売れそうな夏物なのか。
これから売りたい秋物なのか。
限られた売り場を、
どの商品に使うのか。
店の中では、
季節の入れ替えと一緒に、
売り場の使い方も変わっているのです。

🌡️ ところが、夏が終わらない
ここで、
少し困ったことが起こります。
暦は、
毎年同じように進みます。
8月が終われば、
9月。
9月が終われば、
10月です。
でも、
気温は暦どおりには動いてくれません。
秋物を並べ始めても、
外はまだ猛暑。
「そろそろ秋服を。」
と言われても、
これだけ暑ければ、
なかなか気分が乗らない人もいるでしょう。
商売のカレンダーは、
次の季節へ進みたい。
でも、
お客さんの体感は、
まだ夏のまま。
このズレは、
季節商品を扱う商売にとって、
なかなか難しい問題です。

📈 「今日」ではなく「少し先」を売る
それでも、
店は次の季節を準備します。
なぜなら、
秋になってから、
秋物を考え始めたのでは遅いからです。
商品を企画して、
作って、運んで、
店頭へ並べる。
商売には、
準備する時間があります。
私たちは、
今日の気温を見て、
「暑いな。」
と考えています。
でも、
売る側は、
その少し先を見ています。
商売は、未来の需要を予想しながら動いている。
そう考えると、
真夏のショーウインドウに並ぶ秋物も、
少し違って見えてきます。
🎍 そして、もっと先を行く人たち
秋物を見て、
「さすがに気が早いな。」
と思っていたら。
スーパーや百貨店、
インターネットの広告などで、
さらに先のものを見かけることがあります。
「おせち予約受付中」
……。
まだ、
セミが鳴いています。
秋どころか、
一気に正月まで行ってしまいました。
でも、
これも同じです。
年末になってから、
突然大量のおせちを用意することはできません。
予約を受け、
需要を読み、
必要な量を準備する。
私たちが夏を過ごしている間にも、
商売の世界では、
もう年末の準備が始まっているのです。

【一言コラム:暑い秋のための「秋色夏素材」】
まだまだ暑い日が続く近年、アパレル業界でも新しい工夫が始まっています。
それが「秋色夏素材」と呼ばれる服です。見た目はボルドーやマスタードといった落ち着いた秋の色でも、生地は風通しの良い夏用の素材で作られている。季節を先取りしたいお店側のカレンダーと、「とはいえまだ暑い」という私たちの体感。その両方を満たすために、洋服の作られ方も少しずつ進化しているのですね。
📝 最後に
汗をかきながら、
秋物のコートを眺める。
「まだ早いでしょう。」
そう思っていたら、
今度は、
「おせち予約受付中」
の文字。
体感的にはまだ夏です。
でも、
街の商売は、
私たちより少し先の季節を歩いています。
今日売れるものだけではなく、
これから必要になるものを考える。
そして、
その未来に向けて、
売り場を少しずつ変えていく。
街で季節を一番早く見つけるのは、
空でも、
風でもなく、
売り場なのかもしれません。
こちらにいろいろまとまってます👇
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたものは全て活動のために使わせていただきます。