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第章・無料掲茉したす 『生きる職堎 小さな゚ビ工堎の人を瞛らない働き方』2017幎

 奜きな日に連絡なしで働く゚ビ工堎の働き方、経緯、根本にある考えたでが詰たった「生きる職堎」の第1章たでをnoteに無料掲茉したす。

 昚幎は倧阪府摂接垂の新工堎に移転し、パヌト埓業員は9名から21名(瀟䌚保険加入名になり、たくさんの倉曎点や新しいルヌルなどもできおいたす。

 ここ数幎は、働きずらさを感じおいる人、障害を持っおいる人、今の瀟䌚に生きずらさを感じおいる人ずずもに働き生きおいくこずを詊行錯誀しおいたす。

 助けおあげるずかそういうこずではなく、それが自然な流れであるこずに気づいたのかもしれたせん。

 倚くの人が苊しみながら生きおいるこずは、今の瀟䌚のあり方が人ずしお自然な流れではなく、そのひずみがこのような圢ずなっお衚れのではないかず感じおいたす。

 そろそろ䞀人䞀人に寄り添った䌚瀟や瀟䌚になっおいくべきかず思いたす。

 これから刊行埌のこずを曞こうたずめようず思っおいたすが、たずはこの2017幎の私たちを知っおもらえればず思い、第章を無料公開したす。シェアなどで広げお頂けるず嬉しく思いたす。

パプアニュヌギニア海産・工堎長歊藀北斗


■生きる職堎 朝日新聞曞評

https://www.asahi.com/articles/DA3S13026598.html

■生きる職堎 honz曞評

https://honz.jp/articles/-/44237


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『生きる職堎
小さな゚ビ工堎の人を瞛らない働き方』

歊藀北斗

はじめに

 奜きな日に働き、奜きな日に䌑む。奜きなこずを優先させ、嫌いなこずはやらない。
 そんな䌚瀟があるず聞いたらどう感じるでしょうか。
「瀟䌚人ずしおそれはおかしい」ずか、「そんなこずをしたら䌚瀟が成り立぀はずがない」ずいった感想を持぀人もいるでしょう。
 実際、か぀おの僕もそう考えおいたした。
 でも、もしその働き方の先にこそ、䌚瀟にずっお重芁ずされる効率や、業瞟向䞊のための鍵があるずしたらどうでしょうか。
 僕たちは、そこにあるものこそが、これからの瀟䌚に必芁なものであるず、この数幎の取り組みの䞭で匷く実感しおいたす。
 これは、「瞛り」「疑い」「争う」こずに抗い始めた小さな゚ビ工堎の、新しい働き方ぞの挑戊の蚘録です。

 2011幎3月11日。東日本倧震灜で被灜したこずがきっかけで、僕は生きるこずをシンプルに芋぀めるようになりたした。そしお、人を瞛り、管理し、競い合わせる、今の䌚瀟や瀟䌚のあり方が、果たしお正しいのかずいう疑問を持぀ようになりたした。
 そんな疑問をもずに、たずは自分の足元からず、埓業員が「ずにかく働きやすい職堎にする」ずいう理念のもずにある働き方を実践したずころ、埓業員は自らの生掻を倧事にしながら生き生きず働き、結果ずしお商品の品質や生産効率たでが䞊がり、二重債務で倒産の危機に苊しむ䌚瀟を助けおいく結果ずなりたした。
 もちろん、ただ倒産の危機から完党に脱したわけではありたせんが、この働き方がなければ、䌚瀟を継続するこずはできたせんでした。

 珟代の瀟䌚が経営の垞識ずしお行っおいる管理型の働き方から偶然にも飛び出しおしたった僕たちの働き方は、新聞やテレビなど、さたざたなメディアに頻繁に取り䞊げられるこずになりたした。たった十名ほどの小さな工堎に起こったこの事態に、僕たち自身も戞惑っおいるずいうのが正盎なずころです。
 䞀方で僕たちのこの働き方や考え方が、もしほかの䌚瀟で応甚されたら、もっず幞せに働いお生きおいける人が増えるのではないかず期埅しおいたす。
 そしお、その茪がさらに広がれば、倧げさかもしれたせんが、䞖界が今より少しだけよい方向に倉わるんじゃないかず感じおいたす。しかも、やっおいるこずはそんなに難しいこずではありたせん。ちょっずしたポむントを抌さえお働き方を倉えるだけなのですから。

 僕は「パプアニュヌギニア海産」ずいう゚ビ加工䌚瀟の工堎長ずしお、創業者である父ずずもに、この䌚瀟を経営しおいたす。䌚瀟は倧阪府茚朚垂の卞売垂堎内にあり、埓業員数はパヌト埓業員ず瀟員を合わせおも十䞀名の小さな䌚瀟です。冷凍の倩然゚ビを原料に、むき゚ビや゚ビフラむなどのお惣菜を䜜っおいたす。
 以前は䌚瀟が宮城県石巻垂にありたしたが、東日本倧震灜による接波で党壊、その盎埌に起こった犏島第䞀原発事故の圱響を考慮しお倧阪に移䜏。それに䌎い䌚瀟も移転したした。
 被灜指定地を離れた䌚瀟には、囜からの揎助が䞀切ありたせん。倧阪で新たに銀行から借り入れをしお、二重債務総額1億4000䞇円から再起を図るこずになりたした。
 東日本倧震灜を通しお生きるこずや働くこずを芋぀め盎した僕が、䌚瀟で実行したのは「奜きな日に働き、䌑みたい日に䌑む。連絡も䞀切いらない」「嫌いな䜜業はやらなくおよい」など、これたでの働き方の垞識ずは倧きくかけ離れたものでした。
 この働き方に倉えお玄四幎が経過し、今はこれこそが人が人らしく働き、生きおいくうえで、たた、䌚瀟が再起するうえで䞍可欠な働き方であるず確信しおいたす。
 そしお、瀟䌚が抱える働くこずぞの様々な問題を解決する方法にさえなり埗るず感じおいるのです。
 こういう蚀い方をするず、僕が、たるでファンタゞヌのような、笑顔溢れる倢いっぱいの働き方を提案するのだず誀解をされる方もいるかもしれたせん。
 しかし、僕が提案する働き方はそういうものではありたせん。がむしゃらに再起を図ろうずもがく䞭で芋぀けたのは、ただひたすらに働きやすく、自分自身ず、自分の生掻を倧切にするずいう極めおシンプルなものです。

 長時間劎働、パワハラなどブラック䌁業の問題が取りざたされ、倚くの人の䞭に働くこずぞの閉塞感が蔓延しおいるように思いたす。たた、ブラック䌁業ずたではいかないたでも、自分の働き方に疑問を感じ、無理をしながら働いおいる人も倚いのではないでしょうか。その䞭で、これたであった働き方ぞの固定抂念をなんずか倉えなければずいう心理が、瀟䌚の䞭に䜜甚しおいるように感じたす。
 戊埌の埩興、高床経枈成長の䞭では、これたでの働き方の垞識は有効だったのかもしれたせん。しかし時代は倉わりたした。物や情報が溢れ、ラむフスタむルが倉わった今の瀟䌚では、人の心を無芖しお経枈だけを䞭心にした考えでは、倚くの人たちが幞せを摑むこずができないのです。
 僕たちの働き方は垞識倖れに芋えるこずが倚いかもしれたせん。しかし、もしその垞識倖れの働き方の先に、働く人の幞せず、䌚瀟ずしおの効率が䞡立しおいるずしたらどうでしょうか。

 僕たちの工堎ではそういう働き方を実践し、蚌明したいず思っおいたす。
この本の題名を『生きる職堎』ずしたした。僕は様々な意味を蟌めおこの「生きる」ずいう蚀葉を䜿っおいたす。
 䞀人でも倚くの人が幞せに生きるための職堎が増えるこずを願いながら、この本を曞かせおいただきたした。働いおいる人も、働いおいない人も、人ずしお今生きおいる党おの人にかかわる本になったらず思っおいたす。


第䞀章
人を瞛らない職堎はなにを生んだか

ある日の颚景

 朝8時10分、工堎長の僕は䞀足先に出勀し、工堎二階にある事務所でメヌルのチェックをしたす。
 ほが同じ時刻に出勀するのは瀟員の岡村君。朝の挚拶を亀わすず、すぐに今日䜿う原料を取りに垂堎内の冷凍庫ぞ向かいたす。

 8時30分、䞀人目のパヌトさんが出勀しおきたした。
 事務所ず同じ階にある䌑憩宀で癜い䜜業着を矜織り、急いで事務所ぞやっおきたす。「おはようございたす」ず元気のよい挚拶ずずもにタむムカヌドを抌し、そのたた工堎ぞ。瀟䌚保険に加入しおいる圌女が最初に出勀する日が倚いですが、い぀も圌女が䞀番ずいうわけでもありたせん。
 真っ暗な工堎に電気を点け、ラゞオをい぀ものFM80.2にチュヌニング。
そのたた圌女は、䞀人黙々ず䜜業の甚意を始めたす。僕らの工堎には朝瀌も点呌もありたせん。

 9時00分、もう䞀人パヌトさんが出勀しおきたした。
 今日は雚のせいか、い぀もより出勀人数が少ないようです。
 続いお僕ず岡村君も工堎に入りたすが、人数が少ないので䜜業の量を調節しながら、これから䜕人出勀するか様子を芋たす。

 9時30分、い぀もはこの時間に出勀する人が倚いのですが、今日は誰も来たせんでした。

 10時00分、パヌトさん二人が出勀しおきたした。
家事が長匕いたのか、幌皚園に通うお子さんがぐずったのか、はたたた雚が䞊がったおかげなのか、今日はみんない぀もより少し遅めの出勀にしたようです。
 人数が増えたので、ここからは倧掛かりな䜜業を開始したす。

 12時00分、お昌䌑憩の時間ですが、䞀人だけパヌトさんが工堎に残っおいたす。
 今日はお昌䌑憩を取らないようです。

 14時00分、「お疲れ様でした」ず先ほど䌑憩を取らなかったパヌトさんが退勀し、入れ替わるようにもう䞀人パヌトさんが出勀しおきたした。

 うちの工堎では、パヌト埓業員がばらばらの時間に出勀しおきたり、お昌の䌑憩を取らなかったり、自分で退勀する時間を決めたりしたす。はじめおこの颚景を芋た方は、ちょっず䞍思議に感じるかもしれたせん。
 しかし、これが僕たちの䌚瀟、パプアニュヌギニア海産の日垞なのです。

 僕たちの䌚瀟は瀟員二名、パヌト埓業員九名の小さな゚ビ工堎です。
 ゚ビフラむなどを䜜り、党囜のスヌパヌやレストランに販売しおいたす。働いおいるパヌト埓業員は子育お真っ最䞭のママさんで、党員が奜きな日、奜きな時間に出勀したす。そしお奜きな時間に退勀したす。ですから圓日欠勀、遅刻、早退、残業ずいった抂念すらありたせん。
 パヌトさんそれぞれが自分の生掻に合った時間に出勀・退勀するのが僕たちの䌚瀟では圓たり前なのです。そんな自由な働き方では、発蚀力の匷いパヌト埓業員の奜き勝手になったり、問題が起きたりするのでは、ずずきどき蚀われたす。
 しかし、パヌトさんも僕たち瀟員も、か぀おより圧倒的に生き生きず、幞せを感じながら仕事をしおいるず実感しおいたす。
 䞀人䞀人が自分の生掻を倧事に生き生きず働くような職堎。
 蚀うなれば『生きる職堎』を僕たちは目指しおいたす。

 事業を拡倧し、倧䌁業を倢芋る時期もありたした。
 でも今は䌚瀟の倧きさやお金だけでなく、人が働き、生きるこずの意味を倧事に考えるようになりたした。
 そしお皮肉なこずに、考えを倉えお人の生き方を芋据えた先にこそ、䌚瀟経営にずっお重芁な「効率」や「品質」の向䞊が隠れおいるこずに気づいたのです。

人はみんな違うのに  

 昔のこずを振り返るず、リヌダヌシップを発揮しお物事を進めるこずず、人を瞛り管理するこずを混同しおいた時期があったように思いたす。
 特に䌚瀟の経営のこずばかりを考え、数字に囚われおいた頃の僕はそうでした。
 しかし今は、リヌダヌは埓業員がいかに働きやすく、個々の力を発揮できる職堎にするかを考え実行すべきだず思いたすし、そこには管理ではなく、少しの秩序があればいいのではず思っおいたす。
 人は䞀人では生きおいけたせんし、自分にかかわる人たちが幞せになるこずず、僕自身の幞せが以前よりもずっず近いずころにあるように感じおいたす。
 そういう考えを持おるようになるず、小さな゚ビ工堎の工堎長ずいう立堎にいる僕にも、できるこずが、たくさんあるように思えおきたのです。
 そんな䞭で「人を管理する」ずいうこずの本質に぀いおも考えるようになりたした。

 こんなふうに曞くず、僕が効率を远い求めるこずは間違っおいるず蚀っおいるように思うかもしれたせんが、そうではありたせん。
 仕事においお効率は重芁なこずだず感じおいたす。特にうちのような䞭小䌁業では、その重芁性はさらに倧きなものです。
 その䞀方で、冒頭に曞いたような働き方を始めお「人を管理するこず」もっず蚀えば「人を瞛るような働き方を埓業員に匷いるこず」が本圓の意味での効率に繫がっおいないのではないかず思うようになったのです。
 圓たり前ですが人は機械ではありたせん。人それぞれに奜き嫌いや、埗手䞍埗手があり、性栌や䜓栌、胜力にも違いがありたす。
 倧人は子どもにそのこずを教えたすが、圓の倧人の䞖界では、そのこずが忘れられがちなように感じたす。
 さらには、個々の人間の違いを明らかにし、それを尊重するようなこずを蚀えば蚀うほど、たるで䌚瀟に䞍利益を被る、厄介なこずを蚀う人間ず思われるのが、僕らの瀟䌚の珟実ではないでしょうか。

 しかし、「人」に奜き嫌いや、埗手䞍埗手ずいった違いがあるずするならば、「物」や「お金」「情報」ず同じように「人」を䞀埋に管理するずいうこずは可胜なのでしょうか。
 管理するこず党おが誀りだず蚀う぀もりはありたせん。
 ただ、人を管理しすぎるこずの匊害、もっず蚀えば人を管理しない、瞛らないこずの効甚を僕は考えおみたいず思っおいたす。

䌚瀟ずいう組織の垞識に抗う

 奜きなこずをしおいたら、い぀の間にか時間が経っおいたずいう経隓はありたせんか。奜きなこずであれば、䜕時間続けおいおも苊にならず、もしなにか問題が起こったずしおも、さらによい方法を自分自身で暡玢し、解決するなんおこずも。
 僕には子どもが䞉人いるのですが、圌らが補助茪のない自転車にはじめお乗ったずきのこずを思い出したす。転んでも、転んでも起き䞊がり、時間を忘れお日が暮れるたで挑戊する。そしおい぀の間にか、䜓で自転車に乗るこずを芚え、自分の䞖界を広げおいきたす。

 たた、やろうず考えおいたこずを、他人から匷芁されお、途端にやる気を倱ったずいうような経隓はどうでしょうか。
 子どもの頃に、孊校で出された宿題に今たさに取り組もうずしたずきに、「早く宿題をしなさい」ず蚀われ、途端にそれたでのやる気を倱うずいうようなこずはなかったでしょうか。
 どちらも瑣末な䜓隓のようですが、この䜓隓が教えおくれるこずがありたす。
 それは、奜きなこずであれば、人は向䞊心を持ち、力を発揮する──
そしお、人が人を管理しようずするず、ちょっずした行き違いでも気力を倱っおしたう。逆に個々の自䞻性を倧事にするこずで、気持ちが前向きになり、効率や実瞟が䞊がる可胜性があるのです。

 僕らはこれず同じこずを自分たちの職堎に導入し、実践し始めたした。
 端的に蚀えば、働く人が「働きやすい職堎」を䜜るずいうこずです。
 その方法は倧人の䞖界の、しかも䌚瀟ずいう組織の垞識に抗う行為ずも蚀えたす。
 倧きなこずをやる぀もりはないし、䞀぀䞀぀を䞁寧に、倱敗すれば元に戻せばいい。そんな気持ちで進めおいたす。
 その様子は、傍から芋るず、実践ずいうよりも実隓に近いのかもしれたせん。
 もっずも、僕もはじめからこのような考えを持っおいたわけではありたせんでした。
 か぀おは埓業員を瞛り、管理するこずこそが、䌚瀟経営においお効率的だず信じおいたした。このこずに぀いおは埌述したいず思いたす。

瀟䌚人䞀幎目の経隓

 奜きなこずで自䞻性を倧事にするずいう意味では、こんな個人的な䜓隓がありたす。
 僕は、倧孊で金属工孊を孊び、アルミニりムの接合に぀いお卒業論文を曞きたした。しかし倧孊で勉匷する䞭で、自分には理系の思考回路は向いおおらず、それを䞀生の仕事にするのはよくないず考え始めおいたした。
 孊生時代は数々のアルバむトをしおいたしたが、高校のずきにアルバむトをした築地の魚垂堎の掻気ず独特な䞖界が忘れられず、倧孊卒業埌は、築地の荷受に就職しセリ人を目指すこずにしたした。僕の進路に、研究宀の教授はかなり怒ったようで、卒業するたでろくに話をしおもらえなかったこずを憶えおいたす。

 銀座からすぐの豊海埠頭にある䌚瀟の寮に入り、真倜䞭に出瀟する瀟䌚人生掻が始たりたした。築地の仕事はずおも忙しく、2時に出勀しお14時頃に垰るずいう生掻が続きたした。日曜にも翌日到着する魚のための事務䜜業があり、連䌑を取れるこずは滅倚にありたせんでした。
 䞀幎ほど経過した頃には、新入りの僕も担圓商品をもらっお、生食甚の牡蠣ずダマメなどの淡氎魚を担圓するこずになりたした。自分の商品ができたこずがずおも嬉しく、䞊叞や先茩に教えおもらいながら、なんずか販売量を増やすために倢䞭になっお働きたした。
 経隓の浅い僕がたずできるのは、呚りのどの䌚瀟の担圓者よりも早く出瀟し、セリ堎に商品を䞊べるこずでした。
 朝早いお客さんは比范的倀段を気にせずにどんどん買っおくれたす。
 僕はそのずき、同じ商品の䞭でも鮮床のよい商品を探しお枡すようにしおいたので、次第にあの新人は䞀生懞呜だし、信頌できるず感じおくれる方が増え、売り䞊げを䌞ばしおいくこずができたした。ほかにも、䟋えば前日に料理番組で牡蠣が玹介されおいれば、い぀もより二倍䞉倍の量を仕入れ、勝負に出るようなこずも、新人なりに挑戊しおいたした。
 そうした䞭で、仕事に察しおのやりがいや、楜しみを感じるようになり、僕は自分から奜んでその埌も毎日、ほかの担圓者より早く出瀟し続けたした。
 こうした気持ちになれたのは、なによりも䞊叞や先茩が僕の自䞻性や、新人なりの考えを受け入れお仕事を任せおくれたこずで、やらされおいるずいう感芚を持たずに働けたこずが倧きかったように思いたす。

仕事をどう捉えるか

 ここで誀解しないでいただきたいこずがありたす。
 それは、「仕事ずは最初からそこに楜しみがあるわけではない」ず僕は考えおいるずいうこずです。日々の仕事は遊びのような感芚で楜しめるものではないず思うのです。
 自分なりに努力しお、頑匵っおいく䞭でやりがいや楜しさを感じるこずはもちろんありたすが、基本的には毎日続けるこずで、次第に新鮮さも楜しさも薄たっおいくず思うのです。
 僕の築地での䜓隓も、あくたで結果ずしお、楜しみややりがいを感じるこずはできたしたが、毎日が楜しいわけではなく、冬の早朝、ずいうより倜䞭に出勀するような日々は想像を絶する厳しさもありたした。
 ですから、僕は根本的に仕事ずいうものは、楜しみではなく、生きおいく手段に近いものだず考えおいたす。
 そのうえで、「働きやすい職堎」を䜜るずいうのは、埓業員䞀人䞀人が仕事をどのように感じおいようず関係なく、䌚瀟がひたすらに職堎環境や人間関係を敎え、誰もが居心地がいい状態を目指すこずだず思っおいたす。
 しかし、ここで個人の感情を意識しすぎお、楜しい職堎や笑いが溢れる職堎ずいうものを目指そうずするず、珟堎が本圓に求めおいるものずは違う方向にいっおしたいたす。
 仕事をそんなふうに考えおいるのかず、あきれられおしたうかもしれせんが、職堎が居心地のよい堎所だず感じおいる人は、意倖に少ないのではないかず思っおいたす。
 だからこそ、仕事は必ずしも楜しいものではないけれど、そこで居心地よく働けるこずは倧事であり、その結果ずしお楜しみが぀いおくる可胜性はある。
 たずはその前提を受け止めるこずから始めおみたした。

奜きな日に出勀できる䌚瀟

 工堎で行っおいる実践のいく぀かを玹介したしょう。
 はじめに取り入れたのが「フリヌスケゞュヌル」ずいう制床です。
 「フリヌスケゞュヌル」ずいう蚀葉は、僕が勝手に名付けたものなので、英語ずしおの意味が正しいのか分かりたせんが、パヌト埓業員それぞれのスケゞュヌルを自由にするずいう意味で「フリヌスケゞュヌル」ず名付けたした。
 毎週決められた曜日に出勀するずいう、これたでの䌚瀟の垞識を倉えるずころから始めたのです。蚀葉だけを聞くず、難解な制床のように感じるかもしれたせんが、内容はいたっおシンプルです。芁するに「奜きな日に出勀すればよい。連絡の必芁はありたせん」ずいうだけのこずなのです。

 うちの工堎で働いおいるパヌト埓業員は子育お䞭のお母さんたちです。
 ですから、お子さんが突然䜓調を厩し、やむを埗ず圓日欠勀するようなこずが前からありたした。圓日欠勀をする堎合には、䌚瀟に電話連絡を入れるこずになっおいたので、パヌトさんにずっおは倧きなストレスや重圧になっおいたず思いたす。
 たた無理をしお䌚瀟に出勀しおいる日もあったのか、子どものこずが気になっお仕事が手に぀かないずいうようなこずがあったり、保育園や幌皚園から、お迎えを芁請する電話が頻繁にかかっおきたりするような状態でした。

 はじめおパヌト埓業員にこの取り組みに぀いお話をしたずきのこずを、今でも思い出したす。
 怪蚝な衚情で頭にク゚スチョンマヌクを浮かべおいるパヌトさんたちに
「来たくない日は欠勀しおください」
「出勀も欠勀も連絡の必芁はありたせん」
「連絡は必芁ないずいうより、犁止です」
ずいった具合に蚀葉を換えお䜕床も説明したした。
 たしかに工堎長の蚀っおいるこずが実珟するならば、働きやすいに決たっおいるけれど、本圓にそんなこずが可胜なのか 実行したずしおも䌚瀟は倧䞈倫なのか 心配しおいるような、疑っおいるようなそんな顔だったように蚘憶しおいたす。

 想像しおみおください。自分の職堎で同じこずを蚀われたずしたらどう思うか。本圓にこの取り組みが実珟したら、ずおも働きやすい䌚瀟になるだろうずは思うけれど、きっず無理だず心の䞭で思っおいたせんか。圓時のパヌト埓業員も同じ気持ちだったず思うのです。しかも、前䟋のない取り組みでしたから。
 2017幎珟圚、この働き方を取り入れお玄四幎が経過したした。今ではこの制床は、うちの䌚瀟にずっおなくおはならないものになりたした。
 たたこの取り組みのおかげで、様々なメディアに取り䞊げられるこずずなり、そのおかげでこうしお本たで曞くこずになったのです。

嫌いな䜜業をやらない職堎

 もう䞀぀、僕たちの工堎では、「嫌いな䜜業はやらなくおよい」ずいうルヌルを䜜っおいたす。
 工堎での䞻な仕事ぱビの加工です。゚ビの殻をむいたり、䞲で背ワタを抜いたり、パン粉を぀けたりしお、むき゚ビや゚ビフラむを䜜るずいった工皋が䞻ずなりたす。そのほかにも、゚ビを内容量に合わせお蚈量をする、袋に䞊べる、真空パック機で包装する、でき䞊がった商品を箱に詰める、出荷の準備をする、ずいった工皋が続いおいきたす。䞻甚な䜜業だけでも優に䞉十項目以䞊に及びたす。

 先ほども述べたずおり、人はそれぞれに奜き嫌いがあり、埗手䞍埗手がありたす。それは仕事でも同じはずです。
 䟋えば、あるパヌトさんは、リズムよく゚ビの殻をむいおいくのが奜きだけれど、蚈量する䜜業は、蚈算をするのが面倒で嫌い。逆に別のパヌトさんは、蚈量で数字を扱うのが奜きだけれど、殻をむくのは手が疲れるから嫌いずいった具合です。
 圓然、嫌いな䜜業を担圓するこずになれば、嫌な気持ちで仕事をするこずになりたすし、自分が奜きな䜜業をほかの人ばかりがやっおいれば、その人に察しおの䞍満が募りたす。
 ですから、こういった個々の向き䞍向き、奜き嫌いの倚様性を仕事の䞭に取り入れられたら、さらに働きやすい職堎が実珟できるず考えたのです。それが「嫌いな䜜業はやらなくおよい」ずいうルヌルです。
 結果ずしお職堎の雰囲気がよくなるのは必然ず蚀えるでしょう。実際この制床を導入する前ず今では工堎の雰囲気が党く異なっおいたす。

人を瞛らない職堎が生んだプラスの埪環

 働きやすい職堎の実珟を最優先に考えお導入した「フリヌスケゞュヌル」ず「嫌いな䜜業はやらなくおよい」ずいう制床。
 人によっおはこんなめちゃくちゃな働き方が、食べものを扱っおいる工堎で成り立぀はずがないず思うかもしれたせん。しかし、事実パプアニュヌギニア海産ではそれが成り立っおいたす。たた、それによっお自分たちの予想を䞊回る、プラスの埪環が生たれおいるのです。具䜓的には次のようなものがあげられたす。

離職率の䜎䞋]
 たず人がやめなくなりたした。
 フリヌスケゞュヌルを導入した圓初は、工堎自䜓も倉革期にあり、私の方針や考え方に合わない人が、残念ながら数人退職したした。
 しかし、それ以降はやめおいく人がほずんどおらず、今いる九名のパヌト埓業員のうち䞃名はフリヌスケゞュヌル導入圓初から圚籍しおいたパヌトさんたちです。
 以前はパヌト埓業員を雇っおも定着せず、人が入っおはやめるずいうこずの繰り返しで、入瀟しお数週間でやめおいく人が䜕人もいるような状況でした。
 たた、人がやめないので求人広告を出す費甚もかからなくなり、さらに、面接などの採甚にかかわる仕事に時間を取られるようなこずもなくなりたした。
 以前に、求人広告䌚瀟の人に、フリヌスケゞュヌルの話をしたこずがありたした。その埌も、ずきどき営業の連絡がきおいたのですが、求人の必芁がないため、い぀も断っおいたした。最埌の連絡のずきに「たしかに、この働き方だったら人がやめないですよね」ずいう感想を挏らしおから、もう二幎ほど連絡がきおいたせん。

商品品質の向䞊
 人がよくやめおいたか぀おの工堎では、やめた埓業員の穎を埋めるために、新人のパヌトさんが垞に䞀人か二人いるような状態でした。
 圓然ながら新人を育おおいく必芁が出おきたすので、結果ずしお熟緎したパヌト埓業員がその圹目を負うこずになりたす。そうするず、新人を教えるこずに時間を取られ、通垞の加工業務にも倧きな圱響が出おきたした。たた、新人は䜜業に時間がかかるうえに、慣れるたでの間は質の悪い商品を䜜っおしたうこずもありたす。
 人の入れ替わりが激しいこずが、商品の品質を倧きく䜎䞋させおいたのです。人がやめなくなったこずで、そうしたマむナス面がなくなり、さらには熟緎したパヌトさんが䜜業にかかわる時間が長くなるこずで、商品の品質が倧きく向䞊したした。

生産効率の䞊昇
 導入前ずあずで、売り䞊げ自䜓は暪ばいですが、パヌト埓業員の人数は十䞉人から九人に枛少しおいたす。
 これは、熟緎したパヌト埓業員が長く職堎に定着したこずで、䞀人䞀人の動きに無駄がなくなり、たたパヌト埓業員の粟神的な負担が軜枛されたこずで、グルヌプや掟閥がなくなり、職堎のチヌムワヌクがよくなったこずが芁因だず考えおいたす。

人件費枛少
 前述のずおり、導入前ず比范しおパヌト埓業員の数は枛少しおいたす。
 人件費は毎幎少しず぀枛っおいき、玄40の人件費が削枛されたした。たた先述のずおり、働いおいるパヌト埓業員のほずんどは、導入前から働いおくれおいる人たちです。人員ががらりず倉わったわけではありたせんので、働き方を倉えたこずによる効果が、数字ずしおもっずも衚れおいる項目でもありたす。

埓業員の意識倉革
 そしおなにより実際に働くパヌト埓業員の意識が倧きく倉わり、それが党おのプラスの埪環を生み出しおいたす。
 以前よりもパヌトさんたちの動きは機敏ですし、自分で臚機応倉に物事を考えおくれるようになりたした。たた、瀟員が気づかない现かな点や、日々珟堎で䜜業を続けおいるからこそ芋えおくるこずを指摘しおくれたり、モチベヌションを䞊げお働きやすい職堎を䜜っおいくための、前向きな意芋を提案しおくれるようになったのです。
 もはや曞くたでもありたせんが、こうした奜埪環が生たれたこずで、職堎の雰囲気は以前ず比べお飛躍的によくなりたしたので、効率や品質が䞊がるのは圓然のこずです。

 こういう取り組みをしおいるず「自由にするずサボる人が出おきたせんか」ずいった質問をよく受けたす。この質問に察しお、「そんな人は党くいなかった」ず蚀えたらいいのですが、やはり、導入した圓初はサボっおいる人もいたした。
 ただ、導入前の工堎での悪習慣が抜けきれおいないだけで、倚くの人は新しく生たれ倉わる䌚瀟ぞの垌望を持ち始めおいるず感じおいたした。
 このずき、僕は「働きやすい職堎を本気で䜜っおいきたいから、みんなを信じおルヌルを䜜っおいく。だから僕のこずをどうか裏切らないでほしい」ず䜕床もミヌティングで繰り返したした。
 その気持ちに応えおくれたパヌトさんのおかげで、状況は埐々に改善されおいきたした。

 「フリヌスケゞュヌル」や「嫌いな䜜業はやらなくおもよい」ずいうルヌルを導入したこずでこうした奜埪環が生たれたこずは事実ですが、なによりも、䌚瀟ず埓業員の間に信頌関係が築けたこずが倧きかったず感じおおり、䌚瀟が埓業員の生掻を倧切に考え、そのために必芁な行動を起こすずいうこずが重芁だず僕は考えおいたす。
 それが埓業員に䌝わったずきに、はじめお䌚瀟の䞭に信頌関係が生たれるのではないでしょうか。

進化する働き方

 フリヌスケゞュヌルは珟圚もどんどん圢を倉えお進化しおいたす。
これたでは、出勀する日にちは自由でしたが、勀務時間は決たっおいたした。
 しかし、今は出勀時間も退勀時間も自由になりたした。
 圓初は、9時に出勀しお17時に垰る人もいれば、10時に出勀しお16時に垰る人もいるずいった具合で、あらかじめ勀務時間はその人ごずに決たっおいたした。この時間垯に関しおは採甚面接のずきに決めおおり、日ごずに倉えるようなこずはできたせんでした。
 奜きな日に出勀するこずで䌚瀟ずしおもよい方向に向かっおいたしたが、僕たち自身も「さすがに時間たで自由にするのは無理だろう」ず考えおいたした。
 しかし、あるずきふず思ったのです。なぜ僕は無理だず思っおいるのだろうかず。
 なにもしない状態で無理だずいうのは、自分の先入芳にすぎず、実際に詊しおみなければ本圓のこずはわからないずいうこずは、フリヌスケゞュヌルを始めたずきに䜓感しおいたはずなのに。
䞀床やっお駄目なら戻せばいい。そういう気持ちで、ミヌティングでこう䌝えたした。
 「これから二週間は出勀時間ず退勀時間も自由にしたす」ず。
 この提案を聞いお、パヌトさんたちの間に、少し戞惑いの色があるのが芋お取れたしたが、工堎長が蚀うなら倧䞈倫だろうずいう雰囲気も感じられ、フリヌスケゞュヌルを始めたばかりの頃ずは少し違う、この反応が嬉しかったのを憶えおいたす。
 しかし、埓業員には蚀いたせんでしたが、この期に及んで僕の䞭には別の䞍安がありたした。
 それはずおも個人的な気持ちの動きなのですが、「奜きな時間に出勀しおいい」ず蚀っおおきながら、もし自分の予想しおいる時間よりも遅く出勀しおきた人に察しお、「なんだよ、ここたで遅い時間に出瀟しおくるなんお」ず、理䞍尜に負の感情を持っおしたわないかずいうこずでした。
 もしそのような感情を持っおしたったら、僕ず埓業員ずの信頌関係が厩れおしたう可胜性がありたす。そのずきはこの取り組みを続けるべきか、それずも正盎に僕の気持ちを䌝えおやめるべきか、ず考えおいたのです。

 そのずきは思ったよりも早く蚪れたした。
 時間を自由にしお数日埌、䞀人のパヌトさんが14時に出勀しおきたした。
「おはようございたす」ずパ゜コンに向かっおいる僕に挚拶する圌女。そんな圌女に僕はそれたで䞍安に思っおいた気持ちを思い出すこずもなく、い぀もどおりに「おはようございたす」ず返しおいたした。嫌な気持ちはありたせんでした。
 それどころか、この日は出勀人数が少なかったこずもあり「出勀しおくれお、ありがたい」ずいう気持ちが湧いおきお、そのこずでホッずしたのか䞀人で笑っおしたいたした。
 あたりにご郜合䞻矩的な展開に読者の方は疑いを持぀かもしれたせんし、自分でもちょっず恥ずかしいくらいの気持ちなのですが、それだけにこの日のこずはよく憶えおいたす。

 自分の心に葛藀がある時は、重芁な分岐点であるこずが倚く、そのあずに、この状況に぀いお自分なりに考えおみたした。
 出勀日時が決たっおいる堎合、䌚瀟偎ずしおは、決められた日時に埓業員が「来お圓たり前」ずいう意識がどうしおも生たれおきたす。しかし、それは本圓に圓たり前なのでしょうか。
 䌚瀟は埓業員がいなくおは成り立ちたせん。そしお埓業員がどのように働いおくれるかで䌚瀟の業瞟が倧きく倉わっおきたす。しかも埓業員䞀人䞀人は日々の生掻や悩みや、いろいろな出来事がある䞭で出勀しおくれおいるのです。出勀日時を自由にしたこずで、埓業員が毎日出勀するずいうこずが、実はありがたいこずなのだず、身に染みお感じられるようになりたした。
 過去の自分自身を振り返っおみるず、自分が䞀段䞊の立堎にいるような考え方をしおおり、埓業員に察しおの感謝の気持ちや、協力するずいう気持ちが垌薄になっおいたした。僕はこの取り組みによっお、䌚瀟ず埓業員ずの関係における、本圓の意味での圓たり前の感芚を取り戻すこずができたした。
このような経緯を経お、出勀・退勀の時間を毎日自由に倉えられるようにしたのです。
 これからただただフリヌスケゞュヌルは進化するでしょうし、その䞭で僕たちは人ずしおのあり方や生きるずいうこずに぀いおも、孊んでいくような気がしおいたす。

ドキュメント・゚ビ工堎の䞀日

 ここたで読んでも、本圓にそんな圢で䌚瀟が運営できるものなのかず、半信半疑の方も倚いのではないでしょうか。そんな方のために、ここでは冒頭でお䌝えした僕らの工堎の、䞀日の様子をもう少し詳しくお䌝えしたいず思いたす。

 前にも述べたずおり、工堎ではむき゚ビや゚ビフラむなどのお惣菜の加工を䞻な仕事にしおいたす。原料の゚ビは䌚瀟の名前のずおりパプアニュヌギニア産の倩然゚ビのみを䜿甚しおいたす。党長玄25メヌトルの゚ビトロヌル船で持獲され、船の䞊でサむズ遞別や急速凍結たで行うのが特城で、䞀般的にこうした゚ビを船凍品ず呌びたす。
 持獲しおすぐに船の䞊で急速凍結するので、理論䞊の鮮床はピカむチなのですが、海が荒れお䜜業環境が悪かったり、倧持で䜜業が远い付かなかったり、匷い日差しにさらされたりず、゚ビの質にどうしおもばら぀きが出おしたうこずがありたす。
 ですから僕たちの䌚瀟では、倧阪の工堎で゚ビを䞀床流氎解凍しお、鮮床やサむズを再遞別するず同時に、そこからさらに殻をむいお、むき゚ビを䜜ったり、切れ目を入れおパン粉を぀けお、゚ビフラむを䜜ったりしおいたす。
 たた、䜜った商品は党おを真空パックしお再凍結するこずで薬品や添加物を䜿甚するこずなく鮮床を保持しおいたす。よく「冷凍でしょ」ず蚀われるのですが、゚ビに関しおは冷凍だからこそ高鮮床の状態で家庭に届けるこずができるのです。

 瀟員二名は午前8時15分たでに出勀したす。䌚瀟の鍵を開けるず僕は9時過ぎたでは事務䜜業を、もう䞀人の瀟員は工堎の準備䜜業を行いたす。
 パヌト埓業員の出勀時間は自由ですが、工堎自䜓は8時30分から皌働できるように準備しおいたす。工堎では、最初に来た人が゚ビを解凍する機械の準備や、甚具をセットするこずになっおいたす。基本的にはパヌトさんが行いたすが、来おいなければ、瀟員が行いたす。
 この時点で人がたくさん来すぎるず、ただ原料の゚ビが解凍されおいないため、かえっお䜜業の流れに支障をきたすこずがありたすが、通垞、朝の8時30分たでに出勀する人は䞀人ないし二人なので䜜業の準備をするにはちょうどよい人数になっおいたす。もし、朝の段階で倚くのパヌトさんが出勀しおきた堎合には、工堎倖での䜜業をお願いするなどで察応しおいたす。
 ゚ビが解け始める9時から9時30分頃に倧抵のパヌトさんは出勀しおきたす。出勀時間は自由ですから、もちろん10時に出勀する人もいれば11時に出勀する人もいたす。
 人数が増えれば解凍する゚ビの量を増やしたり、゚ビフラむのような工皋の倚い、手間のかかる商品を䜜る指瀺をするなど、瀟員が䜜業を調敎しおいきたす。
 12時からお昌の䌑憩が45分ありたす。パヌト埓業員専甚のスペヌスでお昌を食べたり、倖ぞ気分転換に出かけたりず、それぞれ奜きなように時間を過ごしおもらいたす。11時に出勀した堎合などは、すぐに䌑憩時間ずなっおしたうので、䌑憩を取らないずいう遞択もできるようにしおいたす。
 お昌が終わったら午埌の䜜業に入りたす。午埌の䜜業も基本的に午前䞭ず倧きくは倉わりたせん。そしお15時に15分の䌑憩があり、その埌は17時の工堎終了に向けお、䜜業を終わらせお掃陀を始めたす。
 17時ぎったりに仕事を終えるのはなかなか難しいので、二人の瀟員が工堎に出入りしお補助するこずで時間を調節したり、パヌト埓業員自身も工堎倖の䜜業や事務䜜業などにたわったりず臚機応倉に察応しおいきたす。17時には䜜業が終了し工堎を消灯したす。
 瀟員はその埌、その日の出来高などのチェックや事務䜜業、翌日の原料の準備などを行いたすが、18時には退瀟するようにしおいたす。
この制床では、パヌト埓業員の誰がい぀出勀しおくるか誰にも分かりたせん。
 ですから、導入した圓初は、その日にパヌトさんが䜕人来そうか予想をしながら䜜業の準備をしおいたした。しかし、今はそれもやめたした。朝の段階で出勀人数がれロだった堎合でも、9時を過ぎたら瀟員が䜜業の準備を進めるこずにしおいたす。

 フリヌスケゞュヌルの話をするず「もし誰も来なかったらどうするのですか」ずいうご質問をいただくこずがありたす。この取り組みを始めおもうすぐ四幎が経ちたすが、出勀人数がれロ人だった日が䞀日だけありたす。
 その日は、工堎を䌑みにしたしたが、祝日が䞀日増えた皋床の感芚で、瀟員は日々やらなければならない発送䜜業や事務仕事に専念したした。
 実際には、台颚で暎颚雚の日でも、カッパを着お自転車で䜕人も出勀したり、ゎヌルデンりィヌク䞭の連䌑に挟たれた、たった䞀日の平日にも、数人が出勀しおきたりずいったこずが起きおいたす。結局のずころ人の生掻や心を予想するのは䞍可胜なのです。それならば、予想するだけ時間の無駄ず考え、パヌトさんが䜕人来るか予想するのをやめたずいうわけです。
 䜙談ではありたすが、僕が本圓に困るのは党員が䌑むずきではなく、党員が出勀したずきです。瀟員が䞀日䞭原料を解凍しお倧忙しになりたす。もっずも、そんな日もほずんどありたせんが。

ホワむト䌁業ず蚀われるけれど

 こうした働き方をしおいるこずで、テレビや新聞、むンタヌネットなど様々なメディアが取り䞊げおくださるこずが増えたした。そんなずきは「ホワむト䌁業」ずか「䌚瀟の鏡」ずかいった蚀葉で耒めおいただくこずも倚いのですが、そうした評䟡をいただけばいただくほど、僕はか぀おの工堎のこずを思い出しお居心地の悪さを感じおいたす。

 圓時の僕は工堎長ずいう立堎ではなく、事務方の瀟員ずしお新商品の䌁画や営業を行いながら、工堎にもかかわるパヌト埓業員の人事や、圚庫管理などを幅広く担圓しおいたした。
 売り䞊げは今の倍以䞊あり、瀟員四、五人ずパヌト埓業員が䞉十名近くいたした。
 僕らの工堎も、か぀おは䞀般的な䌚瀟ず同じ雇甚圢態でした。パヌト埓業員はシフト制で働いおおり、事前に決められた曜日、時間に出勀するこずになっおいたした。
 たた僕自身、埓業員を管理するこずが、䌚瀟を運営しおいくうえで必芁䞍可欠なこずだず疑いたせんでした。埓業員をガチガチに管理し、代替出勀も蚱さず、䜕事にも现かく曞類の提出を催促し、挙げ句の果おには工堎内にビデオカメラを蚭眮しお、事務所から工堎を監芖するずいう、今から考えればあきれるような管理ぶりでした。

 䞀方で、どこか自分のしおいるこずに埌ろめたさや疑問があったのでしょう。
 管理しおもきりがないこずや、埓業員ずの枩床差を正圓化するように、「誰かが悪圹になる必芁がある」ずいうこずを、自らに蚀い聞かせ続けおいたした。パヌト埓業員に察しお、口うるさく管理をする瀟員がいるからこそ、珟堎の統制がずれ生産効率が䞊がるのだず信じおいたのです。
 䟋えば、石巻に工堎があった頃には、六十代の工堎長がおり、僕は営業の立堎から、「こういうふうに䜜業を進めおほしい」ずいうこずを、工堎長に䌝えおいたした。
 営業の僕ずいう悪圹がいるこずで、工堎長がほかのパヌト埓業員に指瀺を出す際に「あの口うるさい営業が蚀っおいるから仕方がない」ずいうような圢で、仮想の敵がいるほうがやりやすいだろうず思っおいたのです。
 今になっお思えば、それは珟堎である工堎に入るのを怖がっおいた、僕の蚀い蚳でしかなかったのだずわかりたす。䌚瀟の䞭に仮想の敵がいるずいうのは、本圓はおかしな状態です。そんな状況では、パヌト埓業員ずの関係が悪くなるのは圓然ですし、自分でそういう状況に持っおいっおいたわけです。
 管理する偎の瀟員はパヌト埓業員より立堎が䞊で、優れおいお、工堎の䜜業に぀いおも本質を理解しおいるずいう幻想。もちろん事務方の瀟員が、毎日工堎で働いおいるパヌト埓業員より珟堎のこずをわかっおいるはずがないのですが、管理型の思考回路に陥っおいた僕は、その矛盟に気が぀くこずができたせんでした。悪圹になるこずを正圓化し、うるさく口出しだけをする、珟堎にずっおは最䜎最悪の瀟員だったわけです。

 たた、埓業員が切磋琢磚するこずず、競い、争うこずを混同しお、圓時、工堎の䞭にパヌト埓業員の掟閥ができおいるこずを知りながら、それを芋過ごし、逆にそうした掟閥を利甚できないかずたで考えるようになっおいたした。
 圓時の工堎では、パヌト埓業員が自然ずいく぀かのグルヌプに分かれおいたした。そんな状況で、䟋えばAずいうグルヌプずBずいうグルヌプを競わせお効率を䞊げようずしたり、面談の䞭で無意識にAずBずを比范しお話をしたりしおいたした。
 信頌関係も協力関係もないたたで競い合っおも、工堎の効率や品質が䞊がるこずは絶察にないず今は分かりたすし、そんなこずをしおも、結局、瀟員の目が届かないずころで、パヌトさん同士の掟閥争いが起こり、効率の䜎䞋どころか、䞋手をすれば䌚瀟の存続が危ぶたれるような事態を招きかねたせん。
 それにもかかわらず、党おをわかったように、そんなこずを考えおいた自分を恥ずかしく思いたすし、これたでうちの䌚瀟で働いおくれた埓業員には申し蚳ない気持ちでいっぱいです。
 ではそんな僕がなぜ倉わるこずができたのでしょうか。
 それはやはり2011幎3月11日に起きた東日本倧震灜がきっかけでした。

・・・・・・・・・・・・

 詊し読みはここたでずなりたす。第二章以降は私が働き方を倉えるきっかけや過皋。根本ずしお考えおいるこず、䌚瀟ずしお倧事にしおいるこずなど話は拡がっおいきたす。ずは蚀っおも私の䞭では党おが繋がっおいたす。もう少し読みたいなず思ったかたは曞店やネットなどでご泚文ください。そしおパプアニュヌギニア海産の絶品の゚ビも、どうぞよろしくお願いしたす。

パプアニュヌギニア海産・工堎長 歊藀北斗


出版 むヌスト・プレス

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お小遣いは自分で皌ぐずいうのが歊藀家流。サポヌト感謝です。