刑務所や少年院でも活躍する作業療法士―「できない」の背景を専門的に見る
昨日は、小・中学校に作業療法士が入る取り組みについて書きました。
今日は矯正施設における作業療法士の活用についてです。
矯正施設でも広がる作業療法士の活用
実は、作業療法士の専門性は学校だけでなく、刑務所や少年院などの矯正施設でも活用されています。
法務省では、府中刑務所で2020年度から、高齢によって日常生活に支障がある人や、心身の疾患などを抱える受刑者を対象に、作業療法士などの専門的な評価や助言を取り入れた「機能向上作業」を行ってきました。
身体機能や認知機能の維持・向上を図りながら、段階的に一般的な作業へ移行し、社会復帰につなげていく取り組みです。
その後、実施する施設は徐々に増え、2024年度には12庁、2025年度からは府中刑務所を含む14庁で同様の取り組みが実施されています。
「働けない」の背景を専門的に見る
矯正施設には、高齢者だけでなく、知的能力に制約がある人や、集中力が続きにくいなどの特性があり、一般就労や職場への定着が難しい人もいます。
こうした人への支援として、法務省は2019年度から広島大学と連携し、広島刑務所と広島少年院で作業療法を活用したプログラムを試行してきました。
これは、先ほど紹介した「機能向上作業」とは別の取り組みで、社会復帰に必要な認知機能などを高め、就労や職場への定着につなげることを目的としています。
その試行結果を踏まえ、刑事施設では2023年度から実施施設が10庁に拡大されました。
ここでも大切なのは、「なぜできないのか」を本人の意欲だけで判断しないことだと思います。
学校と矯正施設に共通する視点
昨日の記事で、子どもの「座っていられない」「集中できない」という行動にも、身体の使い方や感覚、環境など、さまざまな背景があると書きました。
これは矯正施設でも同じなのかもしれません。
「仕事が続かない」「指示どおりにできない」という結果だけを見るのではなく、その人の認知機能や身体機能、特性を専門的に評価し、「どうすればできるのか」を考えていく。
学校と刑務所・少年院はまったく異なる場所ですが、「本人を環境に無理に合わせるだけではなく、その人に合った方法を探す」という点では共通しています。
作業療法士という専門職の視点は、誰かの「できない」を「どうすればできるだろう」に変える、大切な役割を持っているのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
