今回はラストシーン後に確信が持てた|映画「グラン・ブルー 完全版4K」
映画「グラン・ブルー 完全版4K」を観た。
20年以上前(僕が30代の頃)に一度見ている作品だけれど「4Kレストア」なので、その美しさを体験したかったからだ。
前回と同じように感じたことと、新しく感じたことがあった。
前回同様、美しかった
映像も、音楽も、俳優も、すべてが美しかった。
海、空、建物、イルカなど、個々の要素はもちろんのこと、四角いスクリーンに配置される構図と、シークエンスが美しさを生んでいた。
潜水前に失神してしまう日本人ダイバーが登場するが、日の丸をモチーフにした潜水服が印象的で、そのシーンさえも美しかった。
音楽は、映像と完全にマッチしていた。リュック・ベッソン監督は、2024年のインタビューでこんなことを言っている。
音楽は映画にとって2つ目の脚本のようなもの。まずは脚本があり、それを高めるかたちで音楽が書き下ろされる
監督は、作曲家のエリックとは40年来の付き合いとも述べているので、グラン・ブルーの時から、同様の手法で映画を作っていたことがうかがえる。
監督は〈美しさを生む術〉を会得しているに違いない。
この映画は美術だ。
今回は、イライラした
主人公ジャックにはジョアンナという恋人がいる。物語の終盤、彼女は妊娠し、そのことをジャックに伝えるのだが、ジャックがそれに反応しないのだ。その態度に僕はイライラした。
「お前、なんか言えよ。彼女めっちゃ不安になるだろ」と。
前回観たとき、ここでイラついたという記憶は残っていない。
なぜなのだろう?
僕が、ジャック視点で物語を観ていたからかもしれない。
ジャックが妊娠のことを聞いたのは、潜水競技会の期間中であり、ライバルのエンゾが競技中の事故で他界した直後のことだった。〈10ヶ月後に生まれる人〉よりも〈昨日死んだ人〉のことが頭を占めるのはしょうがない、と僕が考えた可能性がある。
ジャックも当時の僕も〈今、目の前にいる妊娠した人〉のことを気に掛けることができなかったのだ。ひどいな。反省。
今回は、ラストシーン後に確信が持てた
ラストシーンはこうだ。
夜、ジャックが潜水競技のゴール地点まで潜るとイルカが現れる。ジャックはイルカに誘われるかのように、競技用のロープから手を離し、漆黒の海の中へ消えていく…(終)
前回観たときは、この後ジャックは海の中で死んでしまうのか、イルカと一緒に水面まで戻るのか、両方の可能性を感じていた。
今は「当然、水面まで戻るでしょ」と確信できる。
自分の子供が生まれてくること以上に大切なことはないと思うので。
歳を重ね、僕の見方に変化があったんだなと思う鑑賞体験だった。
