見出し画像

過激な淑女

#ショートショート  本文:594字)

 生まれた時から、彼女には奇妙な記憶があった。異世界の乙女ゲームで「悪役令嬢」と呼ばれる女の記憶。断罪されて破滅するその末路を思い出すたび、彼女は誓った。今世では清く正しく生きようと。

 親友に想い人ができれば、全力で応援した。ライバル令嬢が現れれば、夜会の陰でそっと囁いた。「あなた、ご家族の命より大切なものがあるのかしら?」と。翌朝、その令嬢は顔面蒼白で理由も告げず、修道院へと身を引いた。

 親友の実家が事業に失敗し、莫大な借金を抱えたときも、彼女は動いた。裏で糸を引いていたのが、国境の闇市場を牛耳る犯罪組織だと知るや、たった一晩でその拠点を壊滅させ、集めた資金をそっくり親友に贈った。「困った時はお互い様よ」と、返り血一つ浴びずに、涼しい顔で微笑みながら。

 やがて親友が想い人と結ばれると聞き、彼女は式の準備に奔走した。会場を埋め尽くす白薔薇、大陸中から呼び寄せた楽団、空を焦がす花火。祝いの席で彼女は涙ながらに叫んだ。「二人の幸せを邪魔する者は、私が全て排除してみせるわ!」

 後日、彼女は、怪しげな占い師に自分の未来を占ってもらった。占い師は震える声で告げた。
「あなたは、乙女ゲームの悪役令嬢ではありません。あなたは……ラスボスです」

 彼女は小首を傾げた。
「あら、私、清く正しく生きてきたんだけど?」
 占い師はそれには答えず、怒りを買わないように、静かに、店じまいの支度を始めた。

(了)

 私もお友だちに加えてもらっていいかしら。おほほほほ。


はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
甘野充さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#アマノ文筆クラブ #過激な淑女


TALESにて、アマノ文筆クラブ作品を連載中。毎週木曜6:30をお楽しみに。

では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

#異世界 #悪役令嬢 #ライバル #犯罪組織 #ラスボス

いいなと思ったら応援しよう!

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。(晴井るや) よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!