逆賊と呼ばれた人
こんばんは。
見習い占い師のことのはです。
今、『童の神』という本を読んでいます。
まだ途中なので、作品全体について何かを語れるほどではありません。
ただ、今日。
袴垂保輔という人物の最期を読んで、しばらくページをめくれなくなりました。
保輔は、貴族として生まれた人です。
けれど、貴族の中でも決して自由だったわけではなく、理不尽に耐えることも多かった。
そして彼は、その立場のまま生きることをやめます。
貴族なのに盗みを働き、その盗んだものを、自分のためではなく平民に与えていく。
しかも、人を決して殺さない。
最後に、因縁のある相手を前にしても、殴るだけで終わらせます。
そして、その相手の目の前で。
保輔は、自分の腹を切ります。
流れる自分の血を見せながら、
「私たちの血と何が違うのか」
と問う。
私は、この場面がとても悲しかった。
貴族の血。
平民の血。
生まれた家や血筋によって、人の価値が決まる。
そんな世界に対して、
「それほど血筋が大切なら、この血を見てみろ」
と言っているように感じました。
切れば、同じように血が流れる。
それなのに、
片方は尊いとされ、
片方は卑しいとされる。
誰が、そんなことを決めたのだろう。
不思議です。
保輔は盗人です。
けれど、自分のために奪っていたわけではない。
人を殺すこともしなかった。
貧しい人々が少しでも楽に暮らせるようにと、自分の立場まで捨てて生きていました。
そんな人が、秩序に逆らったことで「逆賊」と呼ばれる。
もちろん、盗みをすれば正しい、という話ではありません。
ただ、秩序に従っている人が正しくて、
秩序に逆らった人が悪い。
本当に、それだけで決められるものなのだろうか。
今日、初めてそんなことを考えました。
私は貴族でもないし、童でもありません。
血筋によって人間の価値が決まる世界を生きたこともありません。
だから、それがどれほど苦しいことだったのか、本当の意味では分からないと思います。
ただ、今まで考えたことのなかった問いに、突然ぶつかりました。
なぜ、血がつながっているだけで尊ばれるのか。
なぜ、生まれた場所だけで、人の価値まで決められてしまうのか。
保輔が本当は何を願っていたのか。
私には分かりません。
でも、もし彼が遠い未来を見ることができたなら。
少しでも、人々が幸せに暮らせる世界になっていてほしい。
そんなふうに思うのではないかと、私は想像します。
自分が生きている間に変わらなくても。
いつか、誰かが問いを受け取ってくれればいい。
そういう人だったのかもしれません。
そして今日、その問いを読んだ私は、
「何も違わないよ」
と答えたくなりました。
貴族の血も、平民の血も。
人の血は、人の血です。
ただ、それだけのことに気づくまでに、
人はずいぶん長い時間を必要としたのかもしれません。
それではまた、月の下で🌕
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