ウィザードリィ、狂える王の試練場
ドラクエやFFシリーズに影響を与えたゲーム!
RPG(ロールプレイングゲーム)の金字塔。
その隆盛を語るには、欠かせない作品の一つ。
本記事はこの
「ウィザードリィ」についての記事です。
RPGとはロールをプレイングするゲームです。
「役割」を「演じる」「遊び」。
この始まりには、三つの大きな柱があります。
◆1974年:ダンジョンズ&ドラゴンズ
◆1980年:ウルティマ
◆1981年:ウィザードリィ
そもそもRPGは
「テーブルトーク」という形式で
1970年代に生まれたもの。
対面のオフライン。
ダンジョンズ&ドラゴンズによって、
そのシステムは次第に確立されていきます。
その面白さをコンピュータ上で再現しようと
色々な試みが行われていく。
1980年に発売された「ウルティマ」は
いわゆる「RPGのお約束」を
作り上げたゲームだ、と言われています。
大陸というフィールドを自由に動ける。
うろつくモンスター。城や町や村。
ダンジョンを突破し、強くなり、
最後には魔王を倒す。
FF4では宇宙船が出てきましたが、
ウルティマ1ではすでに
スペースシャトルが出てきています。
(まあ実際の世界でも、
すでに人類は月に行っていましたし…)
しかし、天空という
「上空に広がる無限の世界」もあれば、
「地下に広がる無限の世界」もまた
冒険の舞台になる。
その翌年、1981年に発売された
「ウィザードリィ」は、
「ウルティマ」とはまた違った形で
これもRPGだ!と表現していきます。
基本「地下迷宮」が舞台。
その特徴は「シンプルさ」にあります。
普通、RPGと言えば、
「魔王を倒す」「さらわれた姫を救う」
などの流れをキャラ・ストーリーから
想像をかきたてて楽しむもの、ですよね。
いわば、ゲーム制作側、シェフ側から
フレンチのフルコースとしてふるまわれる。
ところがウィザードリィのメイン画面を
形成するのは、迷宮の線画とテキスト文字。
キャラやストーリーなどは最低限しかない。
「脳内でプレイヤー自身が
作り上げなければいけない」ものでした。
…なぜ主人公は迷宮をうろつくの?
…どこに向かうの?
それを、自由に想像できる。
余白が多かったんです。
選択肢はたくさん用意されています。
人間でなくエルフやドワーフなどにもなれる。
職業も多彩で条件に達したら侍や忍者になれます。
「転職」もできる仕様になっていたのです。
プレイする視点も、天空から見下ろす
「客観的」なものではなく、
二マス先は闇の中、の「主観的」なもの。
見晴らしが、悪いんです。
この「見晴らしが悪い主観的な自由さ」
「闇を進む暗さ」こそ
ウィザードリィの魅力、と言ってもいい。
言わば、プレイヤーが自由に皿に盛り付け
構成していくバイキング料理でしょうか。
上に駆け上るのが、ウルティマ。
下に掘り下げていくのが、ウィザードリィ。
この2つのゲームが、コンピュータRPGの
金字塔と言われるゆえんです。
さて日本では、この2作を元に
1984年に「ドラゴンスレイヤー」が
PC-8801(いわゆるハチハチ)で販売されます。
1985年には、続編「ザナドゥ」が大ヒット。
同年には、日本語版のウィザードリィが
アスキーから販売されています↓
ただし、難易度は高かった。
パソコン(当時は「マイコン」)も
簡単に買えるものでもなかった。
今では想像もつかない(少ない)容量で、
想像もつかない(高い)値段だった。
これじゃ、普及は頭打ちです。
ゲームのプレイヤーの主役は
「子ども」なのですから。
そこで、さらなる普及に
重要な役割を担ったのが家庭用ゲーム機。
「ファミリーコンピュータ」。
通称「ファミコン」、発売は1983年。
次いで2年後、1985年には
ディスクシステムが発売されます。
『ゲーム機を買ってもらうためには
夢中になれるゲームが必要だな…。
シューティングやアクションだけでなく、
やはりここは、RPGでしょ!』
はい、出ました。
◆1986年2月:『ゼルダの伝説』
◆1986年5月:『ドラゴンクエスト』
◆1987年12月:『ファイナルファンタジー』
…こうしてウルティマとウィザードリィが
こじ開けたRPGは、
日本ではゼルダ、ドラクエ、FFなどの
人気シリーズが出揃い
さらに普及・発展していくことになります。
では、最後にまとめましょう。
映画監督の押井守さん(1951年生まれ)も、
ウィザードリィファンの一人。
ウィザードリィの作者として知られる
ロバート・ウッドヘッドさんの
インタビュー記事から、引用します↓
(ここから引用)
『押井守監督のアニメ
「劇場版パトレイバー2」には、
自衛隊の要撃機のコールサインとして
ウィザードリィにちなんだ
「ワイバーン」「ウィザード」「プリースト」
「トレボー」(Trebor:ウィザードリィに
登場する王様でロバートのつづりを
逆にしたもの)が使われています。
(中略)
実は押井監督はウィザードリィのファンで、
自身の作品にウィザードリィネタを
散りばめているのですが、
他のアニメ関係者にも
同タイトルのファンが多く、
実写版パトレイバーの
「クロコダイル・ダンジョン」
(田口清隆監督)や、
「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」でも
「ホークウィンド」「トレボー」が
コールサインとして使われています。
このようなアニメへのウィザードリィの
影響を聞いて、ウッドヘッド氏は
いろいろな文化が国境を越えて
影響し合っていると指摘。
「例えばフランス映画は
大西洋を隔てたアメリカの映画にも
影響を与えてきましたが、
逆も真なりでハリウッド映画は
フランス映画にも影響を与えている。
アニメもハリウッドの影響を受けて
日本で発展した映像表現のジャンルであるが、
同じように海を越えて
アメリカの映画界にも影響を与えています」
と語りました。』
(引用終わり)
そう、優れたコンテンツは
クリエイターたちに影響を与え、
互いに共鳴し、さらなる高みへと
ジャンルや国・地域を越えて
影響を与え発展していく…。
ウィザードリィは
押井守監督に大きな影響を与え
彼の作品群は、逆に海を渡り
映画『マトリックス』などにも
影響を与えた、とも言われています。
私は、天空から見下ろすタイプより
「見晴らしが悪い主観的な自由さ」の視点の
ウィザードリィのほうが、
より現実に即しているように思います
(どちらも好きですが)。
そのゲーム上の「主観的な視点」は
今では例えば「マインクラフト」や
「フォートナイト」などの
人気のオンラインゲームにも
ジャンルを超えて採用されている。
…読者の皆様は、いかがでしょう?
ウルティマ的な「上空に広がる世界」。
ウィザードリィ的な「地下に広がる世界」。
その両方を、冒険していますか?
言いかえれば抽象と具体、外面と内心、
空飛ぶ空想と地に足をつけた現実、
フルコースとバイキング、
両方の世界で、RPGしているでしょうか?
役割を、演じられていますか?
※以下はご参考まで。
『幻の押井守版ルパン三世』↓
『RPG伝説 80年代編』↓
『甦る 伝説のRPG大全 Vol.1』↓
合わせてぜひどうぞ!
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!