観察から次の確認へ|子どもの一場面を整理し、次に確かめることを決める実践ツール
〜9月30日 22:30
療育の現場で、「この子、どうしたらいいんだろう」と思うことがあります。
声をかけても動かない。活動を切り替えられない。できるときとできないときがある。支援を工夫しても、思ったような反応が返ってこない。
そんなとき、私たちはすぐに「では、どんな支援をするか」を考えがちです。視覚提示を増やす。声かけを変える。見通しを持たせる。待つ。手伝う。どれも必要な支援になることはあります。
でも、その前に一度、
そもそも、この場面で何が起きていたんだろう。
と戻ってみると、次に考えることが変わることがあります。
見立ては出る。でも、その先が曖昧になる
ケースについて考えていると、
「見通しが持てないのかもしれない」
「感覚的に苦手なのかもしれない」
「課題そのものが難しいのかもしれない」
「大人の関わり方が影響しているのかもしれない」
と、いくつもの可能性が出てきます。
私は、複数の見立てが出ること自体は悪いことだと思っていません。一つの行動にはいくつもの説明があり得ますし、最初から正しい理由が分かることの方が少ないからです。
難しいのは、そのあとです。
複数の可能性が出ていたはずなのに、話しているうちに「もう少し声をかけよう」「視覚提示を増やそう」「しばらく様子を見よう」と、支援方法の話だけが先に進むことがあります。
すると、
その支援で何を確かめたいのか。
前回から何を変えたのか。
どんな反応が起きれば、今の見立てを支持できそうなのか。
逆に、何が起きれば見立てを考え直すのか。
が曖昧なままになります。
この状態だと、支援がうまくいっても「何が関係していたのか」が分かりにくい。うまくいかなかったときも、「では何を修正すればいいのか」が残りません。
いろいろ試しているのに、支援だけが増えていく。
これは、私自身も現場で何度も経験してきたことです。
だから、「正しい見立てを出すツール」にはしませんでした
例えば、「切り替えられない」という場面があったとします。
本当に毎回切り替えられないのか。次の活動が好きなときはどうなのか。人が変わっても同じなのか。予告の有無で違いはあるのか。
少し比べるだけでも、「切り替えられない」という一つの言葉の中に、違う条件が見えてくることがあります。
そこから、「終わりが分かりにくいのかもしれない」「まだ遊びたかったのかもしれない」「声かけが届いていなかったのかもしれない」と、いくつかの可能性を考える。
でも、そこで一つを原因だと決めるのではありません。
観察したことと、そこから考えたことを分ける。複数の可能性を残す。まだ分からないことを明確にする。そして、次に何を確かめるかを決める。
確かめるために条件を一つ変えて支援してみる。そのとき「こう変わるのではないか」と予測しておく。実際の子どもの反応を見る。予測と違えば、見立てを修正する。
私は、この流れを担当児の一場面で実際に使える形にしたいと思い、このツールを作りました。
この教材でやること
この教材では、担当している子どもの一つの具体的な場面を取り上げます。
そこで起きたことから、
観察したこと → 複数の可能性 → まだ分からないこと → 次に確かめること → 条件を変えて試す → 結果を見る → 次の支援へ返す
という流れを、付属シートを使いながら整理していきます。
これは、原因を当てるためのツールではありません。一度の結果から「この子は○○だから」と決めるためのものでもありません。
今ある情報から仮説をつくり、次の支援で確かめる。結果を見て、また考え直す。
そのための実践ツールです。
使うことで、次にやることを具体的にする
このツールで整理したいのは、「この子について深く考えました」というところまでではありません。
例えば、観察した事実と自分の解釈を分けることで、「実際に見たこと」と「自分がそう考えたこと」を区別できます。一つの説明に決めつけず、まだ分からないことを残すことで、次に確認する対象も見えやすくなります。
そして、「次はここを確かめる」と決めれば、支援で変える条件を絞れます。あらかじめ予測しておけば、支援後に何を見るのかも決められます。
ケース会議でも同じです。
「私はこう思う」「私はこう見える」と意見を並べるだけではなく、実際に何を見たのか、何がまだ分からないのか、だから次に何を確かめるのかを同じ紙面で整理できます。
全員の見立てを同じにするためではありません。
違う見立てがあっても、何を根拠に考えていて、次に何を見るのかを共有するための材料として使えるようにしています。
こんな場面で使うことを想定しています
主な対象は、児童発達支援・放課後等デイサービスなどで直接支援に関わる保育士、児童指導員、PT、OT、STです。児発管・管理者・ケース会議を進める立場の方が、職員と一緒に使うことも想定しています。
特に、「声をかけないと動かない」「切り替えられない」「できるときとできないときがある」「支援者によって見立てが違う」「いろいろ試しているけれど、何が効いたのかよく分からない」といった場面で、支援方法を増やす前に一度整理したいときに使ってください。
特別な理論の知識がなければ使えないものにはしていません。
臨床推論そのものを勉強する教材ではなく、自分が担当している子どもの一場面で、次にやることを決めるための教材として作っています。
このnoteと付属ツールで、ここまで整理します
このnoteを読み、付属ツールに自分のケースを書き込んでいくことで、担当児の一場面について、
「何が起きていたのか」
「何がまだ分からないのか」
「次に何を確かめるのか」
「どの条件を変えて試すのか」
「そのとき何を見るのか」
「結果を踏まえて、次にどう支援するのか」
まで整理することを目指します。
大事なのは、最初から正解を出すことではありません。
例えば、支援を変えて子どもの反応が予測と違ったなら、「失敗した」で終わるのではなく、その結果を使って見立てを修正する。
見立てる → 試す → 子どもの反応を見る → また支援へ返す。
その循環を、一つの場面から始めます。
この先に入っているもの
有料部分では、ここまでの考え方を実際の担当児へ落とすために、次のものを用意しています。
観察から支援までを整理する使用説明
一場面をどこから書き始め、何を分けて考え、どう次の確認へつなげるのかを説明します。担当児の一場面を書き込める実践シート
観察したこと、まだ分からないこと、考えられる要因、確かめること、試す支援、予測、実施後の振り返りまでを書き込めます。架空事例2例の記入見本
「何を書けばいいか分からない」ときに、実際の記入の流れを確認できます。観察から次の支援まで整理する手順
一度の結果で原因を確定せず、試した結果を次の見立てへ戻すところまで扱います。
ページを読むだけで終わる教材にはしていません。
購入後、そのまま担当児の一場面を一つ選び、シートを書き始められる形にしています。
また、一人で整理して終わらせず、必要であれば書いたシートをケース会議や職員同士の相談へ持っていき、同じ紙面を見ながら「何を見たのか」「何がまだ分からないのか」「次に何を確かめるのか」を話すこともできます。
価格は1,480円です。
ここから先では、実際に①〜⑨の項目を使いながら、担当児の一場面をどう整理し、次の確認と支援へつなげるのかを説明します。
ここから先は
9月10日 22:30 〜 9月30日 22:30
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