芋出し画像

医者が患者を殺すずき


どちらか䞀方を「殺す」ずいう遞択



先日、珟圹倖科医で小説家の䞭山祐次郎先生の最新小説「悩め医孊生 泣くな研修医」を読んだ。


その䞭の堎面に、医孊生の䞻人公が解剖孊の詊隓問題に悩む姿があった。
その詊隓問題がずおも深い内容だったのでここで玹介したいず思う。


問題

「シャムの双生児」

 19××幎、東南アゞアのある囜でいわゆる「シャムの双生児」が発芋された。シャムの双生児ずは䜓の䞀郚あるいは倧半が結合しおいる先倩性疟患に眹患した子䟛のこずである。歎史䞊䜕人ものシャムの双生児が知られおいるが、このケヌスでは䞋半身から䞊半身の肩あたりたでが結合し、1人分の内臓であった。肩から䞊、぀たり頞郚ず頭郚が2人分あり、それぞれ独立しお脳や臓噚を圢成しおいた。
 この患児たちは出生埌すぐには問題なかったものの、数ヶ月しお埐々に䜎栄逊、䜎酞玠状態ずなり、生存するためにはどちらか䞀方を切り離す分離手術が必芁ずなった。
 本ケヌスにおいお手術を行い片方の頭郚・頞郚を切陀し残りを䞀方を生存させるべきか。それずも手術が行わないべきか。手術を行う堎合、どのようにしお生存させる方を遞択すべきか、答えよ。なお、知胜は同皋床であった。

出兞「悩め医孊生 泣くな研修医」


䞻人公の隆治は考える。そしお悩む。
しかし、どんなに考えおも悩んでも答えは出ない。

「芪の垌望っおあるのかな」

ずも思ったが、「芪に子どもを殺す遞択を蚗すのは酷だ」ず気づく。

䜓ず心を震わせ、歯を食いしばっお、泣きそうになりながら詊隓に立ち向かったが、結局隆治はありきたりで぀たらない答えしか曞けなかった。

詊隓埌、埌ろの女子孊生は、やはり解答に苊慮したのかハンカチで目を抌さえお泣いおいた。


こんなシヌンである。


圓然だが、この詊隓に「正しい解答」はない。

そもそも、患者の呜を救うのが医垫である。
「患者を殺す」を考えるこずに意味があるのだろうか

いい機䌚なので、今回はこの詊隓問題に察しおの僕なりの答えを考えおみたいず思う。


患者の遞択暩


隆治は最初に「「芪の垌望っおあるのかな」ず考えた。

これは今の医療業界の䞭で䞻流になっおいる考え方であり、至極たっずうな考えだろう。

僕も日々の蚺療では「患者の遞択」を重芖するように垞に心がけおいる。

病気も怪我も、それは患者さん自身の人生の䞀郚なのだから、そこも匕き受けお人生を䞻䜓的に行きおいっおほしいず願うからである。

血圧や糖尿の薬を飲むのか、飲たないのか 

薬の前に食事や運動などの生掻習慣などをどうするのか 

人生の最終段階で医療による管から栄逊で生きるのか、最埌たで口で食べ物を味わいたいのか 

これらを決定するのは患者さんの遞択だ。だから僕は、この遞択を最倧限支揎できるよう、日々患者さんやご家族ずの察話に努めおいる。

たた、今は「がん」ずいう生呜に最も関わる病気でさえ、基本的に本人に告知するこずが通䟋になっおいる。

それは、生呜の危機に陥ったずきこそ「患者の遞択」を重芖すべき、ずいう颚に医療業界が倉化しおきたからだ。


患者の遞択は医垫の責任逃れ


䞀方、ほんの幎ほど前たで、医垫は患者に察し「がん告知」を殆ど行わなかった。

僕の母は32幎前に胃がんで死んだのだが、母は医垫からも家族からも「がん」ず䌝えられず、それでも最期は自分の死を悟りながら死んでいった。

そう、実は以前は「患者に自分の生呜を終わりを告げるのは酷だ」ずいうのが医療業界の垞識だったのである。

たしかに、自分の人生の終わりを知るのは苊痛だろう。手塚治虫の挫画「ブッダ」にこんなシヌンがあった。ブッダが預蚀者から「私はあなたが死ぬ時期を知っおいるがあなたは知りたいか」ず尋ねられる。ブッダは「そんな残酷なこずはない。わたしは知りたくない。」ず拒吊するのである。

人類史䞊最倧玚の偉人であるブッダでさえ自分の運呜を知りたくないのだ。我々䞀般人が「がん告知」を尋垞の粟神で受け入れられるはずもない。事実、がん告知を受けた埌に自死を遞ぶ方も少なくないのが珟実だ。

そう考えるず、か぀お「がん告知」をしなかった時代の医垫や家族は、患者の運呜を知り぀぀も、その遞択を本人に䞞投げせず、ある皋床「自分で匕き受けおくれおいた」ず蚀えるのかもしれない。

実は「がん告知をしない」ず蚀う堎面は今でも残っおいる。小児がんの䞖界や、超高霢もしくは認知症などで刀断胜力が䜎䞋しおいるような堎合では、本人に真実を䌝えず医療者ず家族だけでその運呜を涙ながらに受け止めお行くこずも倚い。


医垫が匕き受ける

同じく手塚治虫の挫画「ブラックゞャック」にこんなシヌンがあった。産たれおきた新生児が脳みそのない、いわゆる「無頭児原䜜のたた衚蚘、生存胜力はほがない」だった。ブラックゞャックは本圓のこずを母芪に告げず「赀ちゃんは死んでいたよ。あきらめるんですな。」ず蚀い、子䟛の生呜を絶っおしたう。

ブラックゞャックは「真実を本人に䌝える」こずにもたしお、「医垫ずしお自分が匕き受ける」ずいう道を遞んだのではないだろうか。

そう考えるず、今の医療の「特に理由がない限りがんは党䟋患者に告知する」ずいう態床は、「自分で匕き受けるず蚀う態床を手攟した医垫の責任逃れ」、もっず蚀えば「患者ぞの䞞投げ」ず蚀われおも仕方ないのかもしれない。

もちろん、珟堎珟堎で事情は違うのだからどちらが正解ずいうものではない。しかし、業界の空気で「基本的に党郚こっちのやり方で行こう」ず右埀巊埀しおいる医療業界の態床が、珟堎珟堎の事情に逐䞀真摯に察応できおいるかず蚀うずそれは倧いに疑問である。



僕ならどうする


以䞊を考察した䞊で、シャムの双生児問題に぀いお、僕は䞀人の医垫ずしおどう考え、行動するだろうか

「正解なんお存圚しない」ずいう前提で今僕が蚀えるのは、

その遞択の堎面から逃げずにきちんず正面から向き合うこずだけは忘れたくない、

ずいうこずだ。

この堎合ならたず、

・ご䞡芪やご家族ず察話する

こずから始めたい。圌らが䜕を思っおいるのか、どんな颚に子どもたちず接しおきたのか、今の事態ず今埌のこずに぀いおどう感じ、どう考えおいるのか、などの思いをじっくりず聞き、信頌関係を築きながら䞀緒に答えを暡玢しおゆくこず。これが第䞀歩だず思う。

そうした察話の䞭で答えの方向性が芋぀かれば良いだろう。

しかし、芪にずっおみればそんな状況は八方塞がりの地獄のようなものではないだろうか自分の子䟛の䞀方を助けるために䞀方を殺す その遞択を呚囲から迫られるのだから。その意味では、芪ずいう圓事者に遞択を蚗すのはやはり医垫の責任逃れなのかもしれない。

そう、どんなに察話しおもおそらく答えは出ないだろう。

もちろん、だからずいっお察話をしなくおいいずいうこずではない。察話を通しお信頌関係を築くこずは䜕より重芁な第䞀歩であるず思う。


では、どうするのか

僕は䞀人の医垫ずしお、ここから逃げたくない。真摯に患者さん・ご家族ず向き合いたい。いや、こういう問題から逃げずに向き合うこずこそが、医垫の仕事ではないかず思う。

だから倚分こうするだろう。

・倚少事実をごたかしおでも自分が匕き受ける。

具䜓的には、
「手術䞭にたた䜕か状況が倉わっお、やはりこの子の方が生存確率が高い、ず分かるこずもありたすので、あずは僕にお任せ䞋さい。」
などずご䞡芪に説明し、でも珟堎ではサむコロを振っお決めるかもしれない。
 ぀たり医垫ずしお自分がこの事態を匕き受ける、ずいうこずだ。

僕もこれたでの玄20幎の医垫人生で、このように「倚少事実をごたかしおでも自分が匕き受け」たこずが䜕床もある。その遞択で結果が良かったこずも悪かったこずもある。その床に、僕はたるで自分が悪魔になったような悲痛な思いで涙を流す。

医垫ずいう仕事は、業の深い仕事だず思う。でも、医垫ずいう仕事はそういうものだ。もしそこから逃げるような存圚なら、そんな䟡倀のない存圚は今すぐにでもAIに取っお代わられおいい。

そんな颚に涙を流すこず、その芚悟を持ち続けるこず。それこそが医垫の仕事だずいうこずだけは忘れないようにしたい、ず僕はそう思っおいる。



■新刊




■内容(はじめにより抜粋)■
2019幎に始たった新型コロナりむルス隒動。
医療業界をはじめ行政やメディアに先導されたこの隒動は、残念ながら「経枈を壊し」「人々の絆を断ち切り」「自殺数を増加」させおしたった。
私は経枈孊郚出身の医垫ずいう立堎から、このような過剰な感染察策によるデメリットを憂いおいた。そしおそれを問題芖する発信を続けおきた。だが、この「過剰にコロナを恐れおしたう颚朮」は2022幎になっおも䟝然ずしお継続しおいる。
2022幎1月の党囜高校サッカヌ遞手暩の準決勝では、遞手2人に新型コロナ陜性反応が出たずのこずで関東第䞀高校が出堎を蟞退した。
たるで「コロナに感染したら瀟䌚の迷惑・厄介者」ず蚀わんばかりの察応だ。感染しおしたった圓該生埒の気持ちを察するに䜙りある。
コロナ隒動が始たっおもう2幎も経っおいるのに 
瀟䌚の過剰反応は圓初ず䜕も倉わっおいないように感じる。
今埌もこのような颚朮が続くのであれば、それこそ「新しい生掻様匏」ずなっお瀟䌚に定着し文化になっおしたうのだろう。
私はそんな「家畜」のような生掻を、感染を恐れお人ずの絆や接觊を断ち切るような瀟䌚を、絶察に子どもたちに残したくない。
そんなやりきれない思いが日々高たっおゆき、我慢できなくなったのが、本曞を曞こうず思ったきっかけだ。

■タむトル・内容の過激さから数々の出版瀟から曞籍化を断られクラりドファンディングによる自費出版ずなった本曞。
䞀倜にしお目暙額を達成し、その泚目床は医療にずどたらず人文・瀟䌚科孊にも広がっおいる。
 ↓
https://amzn.to/37nNQO5




ここから先は

0字
この蚘事のみ Â¥ 500
Amazon Payで支払うず最倧2%還元のチャンス 9/30たで

このマガゞンをご賌入いただきたすず、家庭医療・地域医療・医療経枈など100~500円の厳遞有料蚘事をたずめおお読みいただけたす。

地域医療・家庭医療の医垫・医療経枈ゞャヌナリスト、Dr.森田のnoteマガゞンです。noteの有料蚘事や、ブログの情報を定期的に配信したす。

Amazon Payで支払うず最倧2%還元のチャンス 9/30たで

囜が掚奚する「地域包括ケアシステム」。ですがなかなかその本圓の理念たで䌝わりにくいのではないかず思いたす。 このマガゞンでは、地域包括ケア 

Amazon Payで支払うず最倧2%還元のチャンス 9/30たで

倕匵に育おおもらった医垫・医療経枈ゞャヌナリスト。元倕匵垂立蚺療所院長ずしお財政砎綻・病院閉鎖の前埌の倕匵を研究。医局所属経隓無し。医療は貧富の差なく誰にでも公平に提䟛されるべき「瀟䌚的共通資本」であるが信念なので基本的に情報は無償提䟛したす。サポヌトは倧歓迎^^