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  宮本浩次という男  


                             菊地ひろみ

 私は昔からエレファントカシマシの大ファンだ。

 今では宮本浩次さん、個人として活動されている。

 この人の魅力を私などが書いていいものではないが、書かずにいられな
 い。

 今年で60歳。
 それなのに今もステージで飛び跳ねている。

 変わらないルックス、いや渋みが増してさらにかっこいい。

 でも、本当にかっこいいのは外見より中身なのだ。

 歌は、文学青年だけあって言葉に重みがあり、それでいて聴く人の心を掴
 む旋律。

 「俺たちの明日」

 この曲は、誰しも聴いたことがあるのではないだろうか。

 一見応援ソングに聞こえるが、そうではない。

 自分の不甲斐なさを含めて一緒に歩んできた友を称える、そんな曲だ。

 どの曲もそうなのだが、押しつけがましくない。

 私はどの曲も好きなのだが、一番好きなのが「風に吹かれて」。

 「本当はこれで、そう本当はこのままで、何もかも素晴らしいのに」

 様々な言葉が飛び交い、使い回される。
 しかし、この一文は秀逸だと思うのだ。

 あるがままが美しい、そう言ってもらえているような気持ちになる。

 もちろん、ご本人の意思と私の解釈は違うのかもしれない。

 それでも、おしつけることなく、そっと背中を押してくれる歌詞と胸に響
 くメロディーに深く感銘を受ける。

 もう一つ。

 「友だちがいるのさ」

 この歌詞の中で印象的な言葉がある。

 「テレビづけ、おもちゃづけ、こんな感じで一日終わっちまうんだ。明
 日、飛び立つために今日はねてしまうんだ」

 人は何もかも綺麗にはおさめられない。
 人は何もかも理由をつけて生きてはいない。

 それを少しスローなテンポで唄っている声を聞くと思い出す。

 以前の職場で落ち込んだ時、何もできずただテレビを観ていた私を。
 そして、この曲に助けられた。

 大泣きした。

 かっこ悪くてもいい、今の自分でいいと。

 最近出たアルバム「I AM HERO」についても少しだけ語りたい。

 アルバムのどの曲も素敵なのだが、「零地点Bonb」はロックの塊だ。
 聴いていると、年齢なんて言い訳に思えてくる。

 60歳で20代のようなロックを唄ってくれる姿に、負けるもんかと私が勝手
 に奮い立つ。

 宮本さんのもう一つの魅力は、剥き出しの感情をそのまま語ってくれると
 ころだ。

 だからか、生番組には向いていない。

 「ブランド品が好き」
 「有名になりたい」
 「お金持ちになりたい」

 俗物的な発言に見えるが、普通の人間であると正直にいえる度胸。

 エレカシファン、宮本ファンが読んだら怒られるかもしれない。

 でも、今もなおピョンピョン跳ねながら、MCほぼなしでライブをする体
 力と精神力には脱帽の一言なのだ。

 ずっと長生きして欲しい。
 ずっと唄って欲しい。
 ずっとかっこよくいて欲しい。

 これだけは、私以外のファンも分かってくれるのではないだろうか。


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