最新|コロナ後遺症の疲労とセレン不足:自己抗体が重なるとリスク2倍
体調を崩してから何か月も経つのに、朝から体が重く、以前のように動けない。血液検査を受けても特に異常はありませんと言われてしまう。新型コロナウイルスに感染した後、そうした状態が続いている方は少なくないかもしれません。
コロナ後遺症の疲労は、多くの場合、通常の血液検査だけでは原因がはっきりしないまま時間が過ぎていくことが知られています。甲状腺の状態を映すとされるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の値も、正常範囲に収まっていることが珍しくありません。
2026年6月、ドイツの研究チームが発表した論文は、この「検査に映りにくい疲労」の背景に、必須ミネラルであるセレンの状態と、体内でつくられるある自己抗体との組み合わせが関わっている可能性を報告しています。
セレン不足だけでも、自己抗体だけでもなく、その両方が重なったときに、持続的な疲労の割合が大きく上がっていたというのです。
◼️記事の要点
ドイツの研究で、感染から平均約22か月後の750人のうち、血清セレンやSELENOPが低く自己抗体もあると、疲労の割合が2倍以上に高まったと報告されています。
セレンを運ぶSELENOPを自己抗体が妨げると、甲状腺ホルモンを活性化する酵素DIOが働きにくくなり、通常のTSH検査に表れにくい代謝の低下を招くとされています。
当てはまるのは感染者の一部とされていますが、世界的な感染者数を踏まえれば数百万人規模になり得るとされ、セレン補給が治療戦略として期待されています。
そもそも、コロナ後遺症の疲労とは何か
今回報告されたのは、「PostCoVe研究」と呼ばれる横断的な集団ベースの研究です。
2020年2月から11月にかけて新型コロナウイルスに感染した801人のうち、疲労とセレンの状態の両方のデータがそろった成人750人(女性54.1%)を対象にしています。PCR検査で感染が確認されてから平均21.9±4.0か月後という、比較的長い期間を経た時点での調査です。
持続的な疲労は本人の申告にもとづいて把握され、750人中173人、23.1%が該当していました。
年齢や性別、教育を受けた期間、感染からの経過月数、ウイルスベクターワクチンの接種の有無といった要因を調整したうえで、セレンの状態や自己抗体との関連が調べられています。
感染から1年以上が過ぎても4人に1人近くが疲労を抱えている一方、その原因を血液検査だけで説明するのは簡単ではありません。この研究は、その説明のつかない部分に、セレンという切り口から光を当てようとしたものです。
問いを解く鍵になる、セレンの運ばれ方

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