最新|セレンとフェロトーシス:細胞を鉄の酸化から守るミネラルのネットワーク
セレンという栄養素は、鉄や亜鉛ほど日常で意識される機会が少ないミネラルかもしれません。必要な量もごくわずかで、日本では魚介類などから自然に摂れているため、あらためて語られることは多くありません。
ところが近年、この地味な微量ミネラルが、細胞の生死に関わる仕組みの中心で注目を集めています。手がかりになっているのが「フェロトーシス」という細胞死の研究です。
2026年7月、東北大学の齋藤芳郎教授が、セレンの代謝とフェロトーシスの関わりを整理した総説を専門誌に発表しました。日本の研究者による最新のレビューが描く、セレンの新しい姿を見ていきます。
記事の要点
フェロトーシスは鉄が関わり脂質の酸化によって進む細胞死で、齋藤教授の新しい総説では、その起こりやすさがGPX4という酵素だけでなく、セレンを使う広い代謝ネットワーク全体で決まると論じられています。
セレンは25種類以上のセレンタンパク質の材料になり、細胞を酸化から守るしくみを支えていて、この網の目が乱れることが、がんや神経変性など幅広い病態と関わると紹介されています。
セレンは魚介類や卵、穀類などから摂れる微量ミネラルで、日々の食事から無理なく確保する大切さが改めて見直されています。
まず知っておきたい、フェロトーシスとは何か
ここから先は
2,215字
/
2画像
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
