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はじめての仕事は、私を潰した。それでも、無駄じゃなかった

はじめての仕事は、地方公務員だった。

社会人になりたての私は、ただがむしゃらだった。わからないことだらけで、とにかく覚えて、学んで、必死に食らいついた。誰かに認められたいというより、目の前の仕事を、ちゃんとやりたかった。それだけでした。

でも、その真面目さが、うまくいかない原因になるとは、当時の私は想像もしていませんでした。

## でる杭は、打たれた

今思い返しても、本当にそれだけだったと思います。

でる杭は打たれる。

真面目にやろうとするほど、地味な嫌がらせが増えていきました。必要だと思って上げた稟議に、なかなかハンコをついてもらえない。後回しにされる。よかれと思って進めたことを、なぜか詰められる。

はじめての仕事だったから、「こういうものなのかな」と、しばらくは自分に言い聞かせていました。私のやり方が悪いんだ、もっとうまくやらなきゃ、と。

でも、違ったんです。

ある日、隣の席の同僚が、出社しなくなりました。私は必要だと思って、仕事のリマインドをしていただけでした。それなのに、返ってきたのは「お前が追い詰めた」という言葉。会議室で、何をしたのか、何を言ったのか、長い時間、問い詰められました。

その頃には、私の心はもう、限界に近づいていました。残業も、休日の振替を含めれば、年に数百時間。体も気持ちも、すり減っていく一方でした。

そうして私は、適応障害と診断されました。はじめての仕事で。

適応障害は、ストレスの原因から離れられないままでいると、少しずつ形を変えていきます。私の場合も、やがてそれは、うつ病へと変わっていきました。

## 今思えば、あれは業務マネジメントの不在だった

いま振り返ると、はっきり言えることがあります。

あれは、業務のマネジメントが、まるで機能していなかった結果でした。

本来なら、上長が業務全体の進捗を管理し、品質を管理し、リスクを管理する。それが管理職の仕事のはずです。でも、それがほとんど回っていませんでした。

だから、まだ業務経験を数年重ねただけの若手だった私が、必要に迫られて、その穴を埋めるようになっていきました。誰も作らないマニュアルを作る。「あの案件、遅れていませんか」と進捗のリマインドをして回る。本来は管理する側がやるべきことを、実行する側の私が肩代わりしていたんです。

それなのに、いざ何かを進めようとすると、上長は「自分が指示したわけではないから」と承認しない。後回しにする。

そうして防げたはずのミスやクレームが増えて——その皺寄せは結局、いちばん業務をわかっている私のところに戻ってきました。

管理する権限は与えられないまま、管理の責任と、その失敗のツケだけを背負わされる。今ならわかります。あの構造では、遅かれ早かれ、誰かが壊れていた。それが、たまたま私だっただけなんです。

## 数年後に届いた、ひとつの言葉

ここで話が終わっていたら、私はこの仕事を、ただの「潰された場所」としてしか覚えていなかったと思います。

でも、公務員を辞めて数年経ったある日、親族づてに、こんな言葉を聞きました。

当時の職場の役職者が、こう言っていたと。

「惜しい人材を失ったよ」

——見ている人は、ちゃんと見ていた。

打たれ続けた杭の、その根っこの部分を、誰かはちゃんと見てくれていた。それを知ったとき、張り詰めていた何かが、少しだけ、ほどけた気がしました。

## はじめての仕事が、私に残したもの

はじめての仕事は、私にうつ病をくれました。それは事実です。

でも同時に、確かなものも残してくれました。

書類を正確に、丁寧に扱う力。手続きを段取りよく進める力。公務員時代に叩き込まれた事務処理能力は、その後の転職先でも、間違いなく私を助けてくれました。転職の面接で、自分の強みとして胸を張って話せたことのひとつです。

潰れた経験も、無駄ではありませんでした。

「真面目にやることが、必ずしも報われるとは限らない」と身をもって知ったこと。「合わない場所では、どれだけ頑張っても消耗するだけ」だと学んだこと。それは、次の場所で自分を守るための、大事な知恵になりました。

## 当時の自分に、言いたいこと

もし、はじめての仕事で潰れかけている過去の自分に、ひとつだけ声をかけられるなら。

「あなたは、悪くないよ」と伝えたい。

やり方が下手だったわけでも、弱かったわけでもない。ただ、合わない場所で、真面目すぎるくらい真面目に頑張っただけ。その頑張りは、ちゃんと誰かの目に映っていたし、次の場所であなたを支える力になるから。

だから、逃げてもいい。休んでもいい。それは負けじゃない。

はじめての仕事は、私を精神疾患にしました。

それでも——無駄じゃ、なかったんです。

いま、はじめての仕事で苦しんでいる誰かに、この言葉が少しでも届きますように。

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