「老後2000万円問題」より怖い話〜忙しい会社員が見落としていること
老後に2000万円が必要だ、
という話は多くの人が聞いたことがあると思う。2019年に金融庁が出したレポートで一気に広まり、「とりあえず貯金しなきゃ」という空気ができた。
でも、ここで一つ冷静に振り返ってほしい。
その話を聞いてから、あなたの行動は何か変わっただろうか。おそらく多くの人は変わっていない。私もそうだった。
40代に入って、「このままじゃまずい」と思いながら、結局何もしていない期間が続いていた。
忙しいから後回しにする。少し調べて、よくわからなくて閉じる。その繰り返しで、気づけば数年が過ぎていた。危機感はあるのに、行動にはつながらない。この状態が一番長く続く。
ここで一つ、はっきり言っておきたいことがある。2000万円問題より、もっと怖い現実がある。
それは「インフレ」だ。
今の日本は、確実に物価が上がっている。2023年から2025年にかけて、食料品も光熱費も日用品も、ほぼすべて値上がりした。
スーパーでの買い物、電気代の請求書、コンビニのおにぎり、外食の価格。体感としても分かるレベルで上がっている。
でも、多くの人はここを正しく認識していない。銀行口座に100万円あるとする。数字は変わらない。だから「減っていない」と感じる。
でも現実は違う。その100万円で買えるものは、毎年確実に減っている。

預金金利は0.01%前後のまま変わらない。一方で物価は2〜3%上がり続ける。何もしなければ、資産は「増えていない」のではなく、「気づかないうちに減っている」状態になる。
例えば1000万円。年2%のインフレが20年続けば、購買力は約670万円まで落ちる。数字は1000万円のままなのに、使える価値は大きく削られている。これが現実だ。
これが何を意味するか。「貯金しているから安心」という感覚が、実は一番リスクが高いということだ。何もしていないことが、安全ではなく、むしろ静かな損失になっている。
もう一つ、見落とされがちなものがある。時間だ。
お金を増やすうえで、最も重要なのは金額ではない。時間だ。複利は、時間が長いほど効く。
40代で始めるのと、50代で始めるのでは、同じことをしても結果は大きく変わる。「いつかやろう」と思っている間に、その“いつか”は静かにコストになっている。
何もしない1年は、ただの1年ではない。取り返せない1年だ。
選択を先送りした分だけ、将来の選択肢は確実に減っていく。
難しい話をしたいわけではない。ただ一つだけ、現実として知っておいてほしい。「貯金しているから大丈夫」という前提は、すでに崩れている。
では、どうすればいいのか。なぜ貯金だけでは資産は増えないのか。そして、忙しい会社員でも現実的に動ける方法はあるのか。

次の記事で、ここを具体的に整理する。
和泉澤 裕(いずみさわ ひろし)
40代・都内IT企業の中間管理職。
「テック×ライフ」をテーマに、忙しさの中でも人生の時間を取り戻すために、思考・判断・生活をどう削るかを、実体験ベースで書いています。
