[この駅がすき] 駅に会いに、電車に乗る @旗の台駅
私には、お気に入りの駅がある。
東急池上線の旗の台駅だ。
東京都品川区五反田駅から、大田区蒲田駅をつなぐ、比較的短い路線の東急池上線。その路線に旗の台駅はある。
「木になるリニューアル」プロジェクトで2019年に美しく変わった旗の台駅は、一定のリズムを奏でるように規則正しく並んだ、木造のデザインが印象的だ。

旗の台駅
木のぬくもりを存分に味わえるベンチに座ると、電車に乗るのがもったいなくなってくる。
レトロな雰囲気の、三両編成の車両の池上線がゆっくりと駅に入ってくる。
私はもう少しホームにいたいので、電車を見逃し、ガランとしたホームで明るい木の梁でできた屋根を眺める。
パラパラと人が集まり出し、ホームに並び始めた。
…もう少し、ベンチに座っていたい。
ここのベンチは、なかなか居心地が良いのだ。
息子が幼稚園に入園する前、よく一緒に電車を見に出かけた。
息子とホームに入ってくる電車を見る度、私は鉄道ファンの気持ちが分かる気がした。
単純にかっこいい、と思った。
今、私は1人で駅のベンチに座る。
大学生になった息子は、自分が電車好きだったことをあまり覚えていない。
あの頃は私が息子を抱っこしていたけれど、今彼は私よりずっとずっと背が高く、駅よりもっと遠くの景色を見つめている。
旗の台駅を降りると、商店街が広がり、賑やかだ。のんびりと、あちこちのぞいてみる。下町らしさと若者文化が程よく混じり合っている。
大学病院のキャンパスがあるせいか、学生をちらほら見かける。

数分歩くと、こじんまりとしたカフェがあった。落ち着いた雰囲気が心地よく、私は焼き菓子とカフェラテを頼み、一息ついた。

毎日旗の台駅を利用する人たちは幸せだ。
どんなに慌ただしく毎日を過ごしていても、必ず一瞬、丸みを帯びた電車の車体と、この柔らかな光を持つ駅舎を目にするのだ。
それはとても豊かなことだと思う。
私は、高校生の娘の部活の大会の応援に毎年行っている。
旗の台駅に出合ったのも、大会会場へ行くための乗り継ぎ駅だったのがきっかけだ。
大会会場までのルートは、いくつもある。
でも、私は旗の台駅経由のルート
一択だ。
駅に会いに行く大切な用事が、
私にはある。
[引用]
駅ホーム写真:グッドデザインギャラリー
商店街:東急公式サイト
カフェ:
Chilling Coffee& Bake Instagram
