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#07|辞めることも、残ることも怖かった

人から見れば、
「そんな会社、とっとと辞めればいいのに」
と思うかもしれません。
でも正直、20年も同じ会社で働いていると、ほかで働くのが怖くなりました。
給料もまともに払えない会社に残ることも不安でした。
でも再就職のことを考えると、スパッと辞めることはできませんでした。

長く勤めた人ほど、動きにくい事情があった

会社には、長く勤めている人が何人も残っていました。
ローンがある。
家族を支えている。
年齢を考えると、次の仕事を探すこと自体が重い。
長く勤めた分、退職金もあるはずでした。
でも、今辞めて本当に払われるのか。
もう少し待てば会社が持ち直すのか。
それも分かりませんでした。

夫婦で同じ会社に勤めている人たちもいました。
二人とも給料が遅れ、ボーナスも出ない。
どちらが先に辞めるのか。
それとも二人とも残るのか。
家の中でも意見が合わず、ケンカになったという話を聞きました。
大変だったと思います。

夫婦で同じ会社にいなくとも、辞めるかどうかは本人だけの問題ではありません。
家族がいれば、家中みんなの生活にも関わります。
危ないと分かっていても、辞めたあとの生活を考えると、簡単には決められなかったと思います。

会社は仕事をするだけの場所ではなかった

私自身も、会社を離れることに迷いがありました。
二十歳頃から、ずっと同じ会社で働いてきました。
仕事は好きだったし、自分にも向いていると思っていました。
長く一緒に働いてきた人たちもいました。
会社へ行くことも、その人たちと働くことも、もう日常。
会社は職場ではありましたが、長い時間をかけて作った自分の居場所のような感じでした。
その場所がおかしくなっているからといって、簡単に手放すことはできませんでした。
長く勤めていることは、本来なら安定してることなのに。
でもその安定にどっぷり浸かっていただけに、逆に動きにくくなりました。

言い訳を抜きにすると、自信がなかった

とはいえ、辞められなかった本当のことを言えば、自信がなかった。
この年齢で、採用してくれる会社があるのか。
自分の経験を活かせる職は、たぶんない。
知らない業種の未経験の仕事をやれるのか。
人間関係を一から始めるのか。
長く同じ会社にいたぶん、ほかの会社のことがわからなすぎる。

そして、焦って探した再就職先が、今よりよくなる保証はない。
吟味できる状況でもなく、そのとき募集のあるところに応募するしかない。
キャリアアップのための転職とはわけが違う。
会社から逃げるための転職なのです。

そんなことを考えると、転職後のしんどさばかりを想像して、他でやっていける自信が持てませんでした。
危ないと分かっていても、今いる場所に残るほうがましではないかと思ってしまいました。

それに、当時はまだ、会社が持ち直すかもしれないとも思っていました。
渦中にいる時は、この先、会社がさらにおかしくなっていくなんて知りません。
でも、問題は給料の遅れだけではありませんでした。

次回は、給与明細では引かれていたのに、納められていなかったお金について書きます。


#06|長くいるうちに、会社のおかしさが普通になっていた
#07|辞めることも、残ることも怖かった
#08|給与明細から引かれていたお金は、どこへ行ったのか


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