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タイの王様が予言した奇跡の日!8月18日「科学の日」のロマンすぎる真実

学校の理科の授業や、夏休みの自由研究などで「科学」という言葉に堅苦しいイメージを抱いている方は少なくないかもしれません。しかし、歴史を紐解くと、科学の裏側には映画のように劇的で、ロマンに満ち溢れた人間ドラマが隠されています。

実は、8月18日はタイ王国における「科学の日(National Science Day)」に指定されています。一見すると、なぜタイで科学の日が制定されているのか不思議に思うかもしれませんが、その背景には歴史を揺るがす偉大な国王の功績と、世界の科学史を塗り替えることになった「新元素の発見」というダブルの奇跡が眠っているのです。

今回は、8月18日に起きた2つの大きな歴史的出来事について、詳しく解説していきます。


1. タイの「科学の日」の由来となった偉大なる国王の予言

タイにおける「科学の日」は、1982年4月14日、プレーム・ティンスーラーノン内閣の閣議決定によって制定されました。その目的は、青少年や一般市民の科学技術に対する関心と理解を深めることにあります。

この記念日の日付が「8月18日」に定められたのには、1868年8月18日に発生した歴史的な出来事が深く関係しています。その主役となったのが、当時のシャム(現在のタイ)の国王であったラーマ4世(モンクット王)です。

自ら天体を計算した「科学者としての国王」

ラーマ4世は、天文学や西洋科学に極めて深い造詣を持つ、非常にインテリジェントな国王でした。彼は、1868年8月18日に地球規模で発生する「皆既日食」に強い関心を示しました。そして驚くべきことに、天文学者などの部下に計算させるのではなく、国王自らが2年も前の段階から複雑な軌道計算を行い、皆既日食が観測できる正確な日時と場所を導き出したのです。

彼が算出した観測地点は、シャムの南部にある「プラジュアップキリカン県ワコー(Wa Ko)」という場所でした。

予言の的中と国際的な証明

当時、西洋の国々はアジアの科学技術水準を軽視する傾向にありました。しかし、ラーマ4世は自らの計算の正しさを証明するため、イギリスやフランスの外交官、そして一流の天文学者たちをわざわざワコーの地に招待しました。

そして迎えた1868年8月18日。ラーマ4世が予測した通りの時間、通りの場所で、太陽は完全に月に覆い隠され、完璧な皆既日食が観測されたのです。この非の打ち所がない完璧な予測に、西洋の科学者たちは驚愕し、ラーマ4世の知性に深い敬意を表しました。

この偉大な功績を称え、タイ政府はラーマ4世に「タイの科学の父(Father of Science in Thailand)」という称号を贈りました。ちなみに、ラーマ4世は名作ブロードウェイ・ミュージカルや映画として有名な『王様と私』(1956年、主演:ユル・ブリンナー)に登場する王のモデルとしても知られています。劇中のパワフルで知的な王様のイメージは、まさに本物のラーマ4世の姿そのものだったのです。


2. 同日に起きた世界の科学史を揺るがす大発見:新元素「ヘリウム」の誕生

1868年8月18日の皆既日食は、タイの国王の予言を的中させただけでなく、世界の化学史にとっても「世紀の大発見」をもたらした記念すべき日となりました。それは、私たちがよく知るガス、「ヘリウム(原子番号2)」の発見です。

太陽の光から見つかった未知の物質

フランスの天文学者であるピエール・ジャンサンは、この日、インドのグントゥールという場所で皆既日食の観測を行っていました。彼は、太陽から激しく噴き出す「プロミネンス(紅炎)」の光を分光器という装置に通して分析していました。

すると、そこには地球上のどの既知の物質とも一致しない、未知の黄色いスペクトル線(D3線)がくっきりと現れていたのです。ジャンサンは、これが「太陽に存在する、地球上ではまだ見つかっていない未知の元素」であると確信しました。

太陽の神にちなんだ命名

同年、イギリスの天文学者ノーマン・ロッキャーも、ジャンサンとは独立して同じスペクトル線を発見しました。この新しい元素は、ギリシャ語で「太陽」を意味する「ヘリオス(Helios)」にちなんで、「ヘリウム(Helium)」と名付けられました。

今でこそヘリウムは、風船を膨らませたり、吸うと声が高くなったりする身近なガスとして、あるいは超伝導技術などの最先端科学に欠かせない冷却材として地球上で広く利用されています。しかし、その最初の発見は、地球上ではなく「皆既日食中の太陽の光」だったのです。まさに宇宙スケールのロマンが詰まった発見と言えるでしょう。


3. 現代のタイに受け継がれる科学のバトン

ラーマ4世が皆既日食を予測してから150年以上が経過した現在でも、タイにおける「科学の日」の精神は脈々と受け継がれています。

毎年8月になると、タイ高等教育科学研究イノベーション省(MHESI)の主催により、国内最大規模のイベント「タイ科学技術博覧会(National Science and Technology Fair)」が開催されます。

この博覧会には、国内外の大学や研究機関、民間企業が多数出展し、最新のロボット技術や環境技術の展示が行われます。日本からも多くの企業や団体が「日本パビリオン」として参加し、最先端の技術を披露しています。会場では青少年向けの体験型実験ブースやワークショップが充実しており、毎年多くの子供たちが目を輝かせながら科学の不思議に触れています。まさに、ラーマ4世が夢見た「科学による国の発展と人々の知性の向上」が、現代の形となって実を結んでいるのです。


まとめ

8月18日の「科学の日」は、単なるカレンダー上の記念日ではありません。

  • タイの偉大な国王ラーマ4世が、西洋の科学者をも驚かせる知性で皆既日食を予言・観測した日

  • 人類が初めて、太陽の光から新元素「ヘリウム」の存在を突き止めた日

という、歴史と宇宙の奇跡が交差した、とてつもなくロマンチックな1日なのです。次にヘリウム風船を見かけたり、夜空を見上げたりしたときには、ぜひこの1868年8月18日のドラマに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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