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嫁が出産で死にかけた話(急性妊娠性脂肪肝)

レアケースらしい。
7000〜10000に1人くらい。
死亡率は10%程度。

※ほぼその日に書き殴っている為、乱筆ご容赦願います。


出産前

妊娠後期になってから歩くのもしんどそうなレベル。
便秘が酷く、酸化マグネシウム等を処方してもらったが中々改善せず。
腸に水分を持っていかれるからか、かなり水を飲んでいた。
足のむくみが酷い。

出産5日前の血液検査で血栓の疑いがあり、エコー検査となったが血栓は認められなかった。

出産2日前、少し顔が黄色っぽい気がする。
(この時、無理にでも病院に連れて行かなかった事を本当に悔いている。)


出産当日

朝4時頃「破水したかも」で起床。
ただ、そこまで量が多くない+なんか色が変(黒っぽい赤と黄色)。

病院に電話、立っていると流液が止まらないようなので車で向かう。

産院到着後、黄疸が認められる。
子宮が下がってきていない為、破水かどうかは確認出来ず。
医師の判断で大きな病院へ救急搬送。

転院先の病院に到着後、すぐに血液検査。
しばらくして呼び出され、嫁さんと説明を受ける。

「破水してます。」

あっ、やっぱ破水してたんだな。

「で、血液検査の結果なんですが、肝臓と腎臓の数値がグチャグチャです。多数の項目が基準値を大きく上回ってます。」

ヘッダー画像の値はこの時の物。
AST/ALTなど肝臓まわりの数値の他、血小板数の値が「7」となっており、このままだと血液が凝固せず出血多量のリスクが示された。

「恐らく急性妊娠性脂肪肝です。胎児が居る限り悪化が続くので、緊急帝王切開になります。」

まぁそうなるよな。

「ただ、手術中に出血が止まらない可能性もあるため、輸血しながらになります。場合によってはそのまま子宮摘出になる可能性もあります。」
(後にこの出血が如何にヤバかったかを知らされる事に)

あっはい。

今思えばこの時、説明を受けても事の重大さをあまり理解していなかったと思う。
早朝から淡々と対応してた流れもあるけど。

3時間ほど経ち、無事出産完了という報告が来た。
嫁さんは全身麻酔での手術になり、HCU(ICUほどではない集中治療室)での経過観察となった。

面会でHCUへ入ると、そこには管を何本も刺されている、すこしゲッソリとした嫁さんが寝ていた。
意識は戻っているが全身麻酔での手術だった事もあり、まだまともに会話はできそうにない。

当然、本人はまだ生まれた子供に会いに行けない。

流石にちょっと泣きそうになった。

嫁さんに先んじて子供に会いに行く。
早産などの場合は赤ちゃん用の集中治療室HICU/GCUに送られる。
帝王切開による早産という事もあり、呼吸がまだ安定していないようだ。
羊水が汚かったので、それを取り込んで苦しくなっていたのかも、とのこと。
破水時の変な色はそれか…。

保育器入りの赤ちゃんの第一印象は
意外と毛深いな…
という感慨もクソもない物だったが、思ったより元気で安心した。
呼びかけると少し反応した様子。
まだ抱っこする事は出来ないが、握手は出来た。

「おしゃぶりはすごいあむあむするし、泣き声もだいぶ大きいですよ!」

と担当さん。
そうか…声デカいのかお前…。

声がデカい(と言われる)自分と既に重ねている。
こんな事がこの後も続くんだろうなぁ。なんて考えつつ写真やら動画やらを撮り、嫁さんの元へ戻る。動画と写真を見せた所、「かわいい…」と麻酔でぎこちない笑顔を見せた。
早く治して抱っこしにいこうな。

諸々入院手続きやら報告やらをして帰宅。
一旦の安心を得たので少しぶっ倒れ、起きて飯食って寝ました。

緊急対応用に断酒してたんだけど、
流石にめでたい日という事で少しだけ良いお酒を飲んでから。


翌日

まず嫁さんへの面会でHCUに向かう。

そこには
























左手の固定具(シーネ)を
            口で頬張りながら

病院のスタッフと

    虚ろな目で

会話をしている

           様子のお   かし   い

    嫁さんが                       


居    
   た   。 











せん妄だ。

珍しいものではないし、一時的なものである。とされている。


「ちょっとさっき点滴自分で抜いてしまって、固定させてもらってます。」

点滴を????
自分で?????????

スタッフとの会話は、たどたどしいのはまだしも、
会話がところどころ噛み合っていない。

会話中で単語がおかしくなる。
わかりやすくボケた老人と会話をしている感じ。

    言葉が出ない。

昨日まで正常だった彼女が、ボケ老人のようになっている。

    固まって動けない。

スタッフがお話を終えて部屋から出て二人きりになる。
とりあえず椅子に腰掛けた。

    言葉が出ない。

顔をベッドの脇に突っ伏して、深呼吸して落ち着く。








「昨日より元気そうでよかったよ。」





たどたどしくも、子供の名前の事や手続きまわりの会話をする。
あとは家のネコチャン×2は嫁さんが居なくてテンション低いという話も。


他に何話したか覚えてない。







子供に会いに産科へ。
ベイビーは昨日に比べてかなり元気になっており、ミルクも自分で吸っているとのこと。
めちゃくちゃ動いてる…。


昨日は浮腫んでいた顔が少しマシになっている。
ふと目があった。

…笑った気がする…。

生まれてから初めて親の顔見ると笑う、というのは本当だったらしい。
ここでようやく少し親になった実感が湧いてきた。


面会を終え、昨日出来ていなかった入院手続きやら出生届の準備などで病院を歩き回り、帰宅。






嫁さんの担当医は忙しかったらしく、病院では直接説明してもらえなかったので帰宅後に電話をもらった。

  • 血液の状態が変わらず良くない。

  • 腎臓系の値は戻ってきているが、肝臓系がまだ戻ってこない。

  • 尿が出ておらず、水分が体に溜まったままで血液が薄い状態。

  • 輸血を続けてなんとか体内の血液機能を保っている。

  • 手術後のお腹の状態は今のところ出血しているような感じはない。

  • が、血液の凝固機能がまだ怪しいので油断できない状況。

  • 経過は横這い、と言う事になります。


「今回、早期に対応出来たのが本当に幸いでした。」


これで早いの?????
と思ったら、どうやら産後に発覚するパターンが多いみたい。

…これそのまま出産してたらそりゃ血止まらず死んじゃうわ。

確かに不幸中の幸いだったかもしれない。

お腹の中の子供が助けてくれたのかもしれない。
と、思う事にした。


嫁さんの親御さんから電話がかかってきた。
LINEの既読が付かなかったので心配してこっちにかけてきたのだと言う。

「既読付かないし、今朝○○の良くない夢を見てね。心配になっちゃって…。」

これが親の感、ってやつなんだろう。
落ち着いたら本人から連絡したい、とその日話していたので、僕からは連絡してませんでしたとお詫びを入れつつ状況説明。

あまり心配をかけないよう気をつけつつ、落ち着いたら会いに来てくださいねと会話を終えた。


あまりにも動揺しすぎているのが自分でもわかる。

「とりあえずnoteにでも書き溜めておこう。」

と、この記事をこの時点で書き始めた。


不安を喉から押し流すように、酒を2杯だけ飲んで寝た。


産後2日目

午前中に出生届を出しに行った。
流石に30代後半にもなると役所で手続きするのも慣れたもんだ。

最初にお世話になっていた産院に連絡を入れ忘れていたので、面会時間までの合間に電話を入れつつ昼飯。


と、ここで嫁さんの担当医から電話。今日は早いな。


昨日から状況はあまり変わっていない様子。
せん妄も引き続いているようで、会話が通じているのかわからないとのこと。
点滴も外してしまう恐れがあるので、両腕は軽く固定してあるそうだ。


…そんな姿、見たくねぇなぁ…。
と、弱音が頭によぎりつつ面会の準備をする。


病室に入ると昨日よりボーッとした感じの嫁さん。
どうやら喋れないようだ。

前日の子供の写真を見せつつ話す。

「寝れた?」

ゆっくり頷く

「まだ痛い?」

頷かない。

「あんまりわからないか。」

頷く。

意思の疎通は問題なさそう。ホッとする。


「さっき出生届出してきた。」
「赤ちゃんはね、昨日ちょっと目を開けてくれて目が合ったんだ。ちゃんと笑ってくれたよ。」


「早く、会いたいよね?」


その問いに、泣きそうな顔で頷く。


「なら、早く治さないと。俺も足折った時に
『ぜってー早期退院してやるからな…』
って、気合いで実際早く退院できたしさ。
大変かもしれないけど、『絶対やってやるからな…』って気合いで取り組むの、あなた得意でしょう?頑張る根性論、好きでしょう?
病は気から、ってのはバカに出来ないんだから、気合い入れて頼んますよ。」



大きく頷いた。




産科に移り、ベイビーの様子を見に行くと何と既に保育器から出ていた。
マジでママより元気やん。


ここでようやく初の抱っこ&おむつ交換。
待たせたね。これから腕折れそうになる程やる事になると思うけど、何卒お手柔らかに頼むよ?


抱っこ中は痙攣気味にメチャクチャ足で蹴り飛ばす動作をしていたのだけど、嫁のお腹でメチャクチャ蹴っていた感覚と全く一緒だったので「生キックや〜〜〜!そりゃ痛えよこんだけ力強かったら…。将来サッカーでもやるかい…?」などととりあえず話しかけてみたり。

今日はまだやる事が他にあるのでスタッフにお任せして帰宅。

晩飯の準備と米のセットをして…


という所で病院から電話。



「奥さんなんですが、やはり今日の午後の採血結果も変わらずでした。輸血も続けたままなので…明日まだ状況変わらなければ"血漿交換"で対応したいと思っています。詳しくご説明したいので、再度病院に来てもらえますか?」



帰宅して早々に病院へトンボ帰りとなった。

とはいえ、先の見通しが立たない精神的ストレスに苛まれているこの状況。
改善方向へ向かう急な呼び出しは苦になるはずも無かった。

一通り説明を受け、治療の同意書を書く。
既に病名は「肝不全」と書かれていた。


帰宅して作り置きのミネストローネと、少し失敗したキーマカレーを食う。
あ、嫁さん用にストックしてた納豆の賞味期限がそろそろか。
カレーにぶち込んでしまおう。



役所でもらってきた書類や手続き周りの整理。
各種連絡をして風呂。

寝る前に「超かぐや姫!」を見てしまった。
何あれ…頭おかしくなる…何食ったらあの企画書書けるんや…


産後3日目

朝飯食ってから病院へ。
嫁さんはほぼ意識が無い。目を少し開ける程度。

ちょうど透析を回している所で、刺さっている管が増えていた。必要な荷物が増えたので明日持っていくようメモをする。

ここで看護師さんから提案。

「お母さん、まだ赤ちゃんと対面出来て無いんですよね?他のスタッフとも相談したんですが、検査のタイミングに合わせてHICUの方に向かって会わせてあげたいと思ってるんですが…。」

願ってもない申し出で泣きそうになる。
ぜひお願いします。とお伝え。


子供の方に会いにいく。
相変わらず元気だ。

少し早産だったので、保険も込めて点滴が入っているが、ミルクも安定して飲むようになってきたのでそろそろ外れるかもとの事。



CT帰りの嫁さんと子供をNICU内の部屋で会わせてもらった。
意識はハッキリしていないが、子供の方を向こうと懸命に頭を動かしていた。


少し横に子供を寝かせて、軽く触れ合わせる事も出来た。

子供をベッドに戻そうとしたその時、険しい表情で嫁さんが必死に固定された手を伸ばそうとする。




そうだね。離れたくないよね。
早く治して、ちゃんと抱っこしに行こう。






病院に持っていく荷物をまとめ、飯を作って食った所で「多分このタイミングしかない。」と思い、レイトショーで閃光のハサウェイを見に行った。

なるほどね~~~~~~そう来たか~~~~~~~。
ここでは感想は伏せます。


ふと、今、嫁さんに聞かせたい曲はなんだろうと考えた時に思い浮かんだのはやはり本人の推しである坂本真綾さんだった。
冬が終わり春を迎える「誓い」…もいいけどこれ死別を思わせる曲だし縁起でもねぇんだよな…

なら「クローバー」か。
育児という新しい朝を迎えるにはピッタリだ。
聞かせてあげたいね。病室はスマホ厳禁だけども。


とか言ってたら今週末は雪らしい。
帰って、風呂に入り、酒を二杯だけ飲んで寝た。


産後4日目

病院から電話がかかってきた。
HCUからICUに移動するとのこと。
まぁこの状況なら妥当だな。

ちなみにHCUとICUの定義の違いはいくつかあるけど、わかりやすい違いとして一人の看護師が担当する患者が減り、1患者あたりを担当する看護師が増えるというもの。
もっと小刻みに観察していく、というイメージだろうか。

昼飯を食い、掃除をし、病院への荷物をまとめ、向かう。

ICUに到着し、嫁さんに声を掛けると目を開けた。
「眠い?って聞いたら頷いてくれましたよ。」
との事だったので俺からも聞いてみたら頷いてくれた。
薄くははあるものの、意識はあるみたいでホッとする。

病室では昨日に引き続き透析が行われており、血液の浄化が進められていた。ただ、血液の凝固機能はまだ低いらしく、輸血は続けているらしい。

バインダーに記載されている、投入した多量の血液パックの履歴を見ると、如何に献血という行為が人を救っているのか。献血はプロモーションで一部から叩かれるような事件もあったが、こういう事態に直面すると

「うるせぇ!!!!命がかかってんだよ!!!!!四の五の言ってる場合じゃなく興味持ってくれるなら出来る限りの手は尽くすべきなんだ!!!!」

などと思うようにもなる。
自分も献血は学生時代に 献血ルームのお菓子目当てで 何度かしたことがあるが、最近は行ってなかったなぁと思い返す。
また再開しよう。


子供の様子を見に産科へ。

昨日の話通り、点滴は外れていた。
ちょうどミルクを飲み終わったタイミングなのか、気分良さそうに爆睡している。

明日には沐浴チャレンジもさせてくれるとのこと。
嫁さんが動けない分、自分が色々蓄積していかなければね。

ここで嫁さんのご両親に連絡。
新生児病棟は面会出来ないが、ICUは親族なら面会可能だということだったので予定を組んでもらう事にした。

病院着のレンタルの手続きなどを終え、一旦帰宅。
日が落ちる前にクルマのタイヤをスタッドレスに交換してしまう事にする。

交換後、少し時間が取れたので買い物。
土日までの材料は買い込んでおこう。
そういえばクックドゥの極シリーズの回鍋肉が気になってた。
作ってみるか。
家に帰り、今日の所はスーパーの割引弁当で腹を満たす。

もう5日も経ってしまうし、そろそろ表でも言うかという事でSNS等で子供が産まれました報告をした。
ありがたい事に、様々な方からお祝いの言葉を頂いた。

一旦、嫁さんの病状については伏せる事にした。
最初は言おうかと思ってはいたのだけど、あまり落ち込む話を広げるもんでもないし、オープンな場で無闇に同情を乞うような真似も良くないなと。
もちろんそんなつもりは無いのだけど、端から見たらわからんもんね。

個別で連絡を取っていた一部の方には裏でお伝えをしていたけども、とはいえ週明け目処くらいでもうちょい詳細な事言えそうなら言っておこうかな、位で考えていた。


ここまでの数日、ネトフリでアニメ見たり、映画を見に行ったり、
外食は極力避け、家で料理は出来るだけ行い、
破水準備でしていた断酒を中断して酒を飲み、ゲームもする。

これはある意味自己防衛だ。
この「日常」が全うできなくなった/崩れた瞬間、多分メンタルが終わってしまうのだろう。

ただでさえ、子供の方が先に退院しそうでワンオペ育児も視野になっている。
家の育児準備も含めての、嫁さんが居ても変わりない日常を守ることが身を守ることにも繋がる。

そう言い聞かせ、今日も酒を2杯だけ飲む。


産後5日目

今日は先に産科に行き、看護師さんから沐浴とミルクのレクチャーを受ける。手つきでお風呂に入れてあげるのだけど、一回やるだけで腰と腕が終わる…。

そりゃこれが売れるわけだ…置きっぱなしでいいもんな…。
(もう買ってある)

ミルクの前にビタミンKのシロップ摂取。
聞き慣れないけど、新生児は必ずこれを飲ませるらしい。
なるほど、現代の食事だとあまり意識する栄養素ではないけど、ミルクだけだと摂取出来ないもんなぁ。

ビタミンKとは:出血を止め、骨を強くする「止血と骨のビタミン」

ビタミンKは、脂溶性ビタミン(脂に溶けるビタミン)の一種です。私たちの体内で「血液を固める」役割と「骨を丈夫にする」役割の2つを大きく担っており、健康維持に欠かせない栄養素です。

noteもAI機能あるんだなぁ。

ミルクは65ccほど飲んだ。
お前は本当に順調だな…。


ICUに向かう前に嫁ご両親を迎えに行く。
一緒に面会をするよう昨日調整をしていた。

病室につくと何やら看護師と話している。
意識戻っとるやん!!

と、思ったがやっぱりちょっと様子がおかしい。
まだ軽くせん妄が残っている様子。
でもまぁ出産翌日の状態に比べればかなり良い。

…が、ご両親はちょっとびっくりしてしまっているようだ。
ちょっと興奮状態の嫁さんをなだめながら、一旦外で待ってもらう事にする。

会話を続けていると、だんだんと意識の混乱が戻ってきたのか普通に会話のラリーが出来る時間が増えてきた。
ここで先生から説明を受ける。

  • 肝臓、腎臓の数値は少し戻ってきた。 開腹部の出血がダラダラと止まらない(1日1Lくらい)。 通常の帝王切開でも発生する小さな傷だが、血液状態が正常であれば止血されるサイズだと推測。 しかし凝固因子が血液に不足している状態なので、止血されていないのが現状。 このままでは改善が見込めないため、再度開腹して止血の手術をします。

  • 止血方法は開腹して傷を確認しないとなんとも言えないが、縫えない場合はガーゼで埋めてそのまま縫合し圧迫止血する。
    (そんなパワープレイあんのか…)

また手術か…と思いつつも、肝臓腎臓に回復の兆しが見えたのが一番うれしいニュースだ。
とはいえ一週間で二度の全身麻酔かぁ…。

同意書を書いた後にご両親に改めて詳しい経緯説明とこの後の手術の説明をする。
(圧迫止血の説明したら驚愕していたがそりゃそうよな)

今日の所はご帰宅いただいて、もうちょっと良くなったら再度面会に来てもらう事にした。

手術はこの後すぐ行われるということで準備が始まった。
病室で嫁さんに我が家のネコチャン動画を見せると初めて猫を見た人のような激しいテンションになるいつも通りの反応だったのでホッとする。

出産時の時にも担当してくれた麻酔の先生が麻酔ラインの確認とヒアリングに来た。

麻酔医「私麻酔の担当なんですが、今一番つらいことなんですか?」

嫁さん「赤ちゃんをまだ抱けてない事です…」

麻酔医「そぉぉぉれはそぅだぁぁぁ~~~…!!」
(泣きそうな顔で膝から崩れる)

良い先生すぎる

手術終わるまで待機して欲しいとの事だったので別室で待機しつつ、各所に連絡したり小腹を満たしたりK9VS回したりしていた。ムズいよこれ…。


手術完了の電話が入り、恐らく止血できたであろうという話だった。
そもそも元の出血も小さな傷ではあったので、こればっかりは経過を見ないとわからない。

元々出血で膨れていたであろう腹部も小さくなっていた。
あれが全部出血だったとしたらそりゃ辛かっただろうな…。


やれる事は無いので帰る。
遅くなってしまったので途中松屋に寄って腹を埋める。

帰宅後、ソシャゲのデイリー回して風呂って酒を2杯飲んで寝る。

産後6日目

ICUに行くと若干だけ意識が戻っている嫁さん。
昨日の手術からまだそんなに経ってないのでまぁこんなもんだろう。
出血状況は悪く無さそうだが、まだ様子見かな。

洗濯物を受けとり、産科病棟へ。
しかし、昨日からの寒暖差のせいか鼻水が止まらなくなってきた。
寒暖差アレルギーでこうなるのはいつもの事なのだけど、安牌切る形で子供の顔だけ見てすぐに帰宅することに。

今日の晩飯は回鍋肉。

産後7日目

もう一週間経ってしまった…。
そして雪が結構積もっている。
クルマの雪を降ろしてから病院へ。
産科で子供のお風呂を入れた後にICUへ。

どうやら意識を取り戻しているようだが、まだ軽く麻酔が効いているのか声は出そうにない。呼吸器もまだ外れてないようだ。
しかしよく見ると輸血がされていない。という事は血液の状態は悪くないんだろうな。

ちょっとボーっとしてるけど、意識は結構ハッキリしてるみたいなので、明日にはもうちょっとマシになってそうではある。

帰りにラーメンを啜ってから帰宅。
選挙の速報見つつ風呂入って寝る。

産後8日目

産科に行くと担当医から呼び出し。

「今週末に赤ちゃんが先に退院という形になるのですが、家の事情的に現実問題として退院できそうですか?」

ですよね~~~~~~。
まぁ仕方ない。
頼れる親を頼りつつ回していこう。という方針でお話をさせていただいた。

嫁さんの方に行くと昨日より意識がある様子。
呼吸器は外れておらず、まだ喋れないみたいだが意思表示はしっかり出来ていた。明日には外れていると良いなぁ。

両親に手伝いのお願いをしつつ、退院に向けて家の準備も進めていく。

産後9日目

嫁さんの呼吸器が外れており、極細の掠れ声だが会話もできた。
医師から説明を聞いた感じでも悪く無さそう。
腎臓の数値と凝固因子は問題ない所まで来たようで、あとは肝臓が戻ってくれば…という所。

ここで嫁さんに子供の退院について説明する。
看護師や医師にも確認したが、原則ICUには未就学児は面会出来ない。

つまりこのままだと母親が子供を抱けないまま子供が退院してしまう。
先日病院の計らいで会わせてもらった時は意識障害があるタイミングだったので、本人はこの事を覚えていない。

出産から10日経つというのに、子供も抱けず母乳もあげられていない。
流石に本人もショックを受け涙を流している。

「何とか上手い事できないか、考えてみます。」

そう担当医からも言ってもらえたので、何とかなる事を祈るしかない。
もしくは嫁さんに爆速で回復してもらい、一般病棟に移るしかない。

一旦の山は超えたし、家と子供はなんとかするんでサッサと治そう。と話し、ICUを後にする。


子供は相変わらず元気で、沐浴も少しは慣れた。
ミルクもめっちゃ飲む(80cc)。デカくなりそうだなぁ。

退院についての確認をしつつ帰る。


いよいよワンオペ育児が差し迫ってきて、自分の睡眠や食事の事を考え始める。
Xでつぶやいたら「とにかくストックして楽しろ(要約)」だったので、冷食等も検討しつつ良い回し方を考えることにする。
エアフライヤーとか自動調理器使うのも視野だけど、初手の1ヶ月ってそんな物すら使う余裕あるんか…?

いざとなったら宅配でなんとかなる便利な世の中である。
出来るだけ家計を圧迫したくはない気持ちもあるけど、周りの話聞いてる感じ「んな事言ってられんから観念して楽しろ」になりそうな気はしてる。

まぁ、やれる事をやるだけである。
猫で学んだが、生き物を育てるのは「常にままならない」のだ。

産後10日目

母親から
「2月の仕事全部休める事になったから泊まり込みで手伝うぞ!!!」
というありがたい打診があった。助かる~~~。
初孫という事でテンション高いのもあるが、嫁さんの状況を聞いて居ても立っても居られない様子だった。

病院から電話があり、容態も安定してきたのでICUからHCUに戻るという連絡があった。
面会に行ってみると昨日はカスカス声だったのが結構ハッキリ喋れるようになっていた。
意識がだいぶハッキリしてきたのか、ちゃんと声かけられた第一声が
「助けてくれてありがとう」
だった。
いや、助けたかと言われると間接的にだし、本当にあなたの事を助けたのは空気読んで破水させてくれた赤ちゃんと、治療してくれたお医者さん達やで。
病院食も食べれており、順調そうだ。

そして、車椅子で赤ちゃんへの面会が可能になった。
明日車椅子で産科まで移動し、面会できるそう。
出産後11日目にしてようやくの抱っこだ。

赤ちゃんのお世話をして帰宅。

産後11日目

待ちに待ちすぎた赤ちゃんご対面。
赤ちゃんを抱いた嫁さんはテンション上がりすぎたのか脈拍が早くなってしまいアラート鳴りまくっていた。そりゃそうよな。
長時間の座る体制がまだキツいのか、みるみる顔色が悪くなっていくが、子供を抱いていたいという葛藤でフィジカルとメンタルがぐちゃぐちゃになっている。そりゃそうよな。
一旦お別れをして病室に戻り、自分は赤ちゃんのお世話へ。

「明日、退院前にも赤ちゃん面会出来るそうです。」
と、手配をしていただいた旨を看護師さんから聞く。ありがてぇ。

母親が前日入りで来てくれた。
寝床やら何やら一通り準備しつつ、明日以降に備える。

産後12日目

子供の退院当日。
会計を済ませて母親と子供を迎えに行き、そのまま嫁さんの元へ。

ベッドでやつれた嫁さんが子供を抱っこしている。
…のを見た母親が嗚咽を漏らしながら号泣している。

こんなに泣いてるのは婆ちゃんの葬式以来だ。
看護師さん達も貰い泣きしている。

まだ若干せん妄気味だったが、昨日よりしっかり子供を抱っこしたのもあり意識が更にハッキリしてきた。
本人にも気合いが入ったようで、良い顔をしていた。

駐車場で待ち合わせていた嫁さんのご両親と自宅へ戻り、孫を囲む会をしてもらう。
両家両親が会う機会もあまり無かったからね。中々話し込んでいた。
ご両親が帰宅し、本格的に自宅育児開始。

その後

この後は育児メインと回復経過になるので割愛するが、結果的にこの後約1ヶ月で退院となった。
これは同症例としてもかなりの長さらしく(大体1週間くらいで退院する事がほとんど)、如何に重篤化していたかがわかる。

あとこれは後日聞いた担当医からの話。

  • 帝王切開時、出血があまりにも止まらないので
    途中で輸血パックのカウントをやめたらしい。

  • 「最終的に何リットルくらい出血したんです…?」
    「多分20Lくらいですね(?????????)」

  • 「そもそも肝不全の時点で5割死にますから生きててよかったですね。」

振り返ってみてもまさに死の淵だった。
幸い現在は体調も血液状態も良好で、体力を戻す肉体的なリハビリをこなしていくだけとなっている。

教訓

・判断無理すぎる
妊娠後期の不調として

  • 倦怠感

  • ひどい便秘

  • 痛みを伴うむくみ

などが訴えられていたが、正直後期悪阻と言われればそうかもというくらいに判断が難しい。
妊娠後期で酷い不調を感じる場合、もし可能なら血液検査で肝臓値を測ってみてもらっても良いかもしれません。
あと「肌黄色っぽいかも?」と思ったら即病院へ電話。

‪・出産大変すぎる
‪妊娠期から体がボロボロな上にコレ。本当によく無事だった。‬

‪・現代医療、医療保障が凄すぎる
‪高い保険料に文句言えないわ。医療従事者の方々には本当に頭上がりません。‬

‪・献血大事すぎる
‪本当に人の命を救っているので、行きましょう。‬

・父親も自分の身を守れ
日常を崩すな。ヘラるな。
お前が折れたら誰が家族を守るんや。

あと、これは教訓というよりただの感想だけども

身近な人、大切な人が壊れるという体験は二度とごめんだ。
身体的にも精神的にもね。

生きていてくれて、ありがとう。



追記:
「いくらメンタルやられてるからと言って、いつ病院に呼び出されるかもわからない状態で酒飲んだり、ましてや連絡取れなくなる映画なんて見に行くべきではない。」
と、ご意見を頂きました。
それはそう。全く以てその通りの正論です。
自分の弱さを恥じると共に、後の方々への反面教師になればと思いますので、追記させていただきます。

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