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第9話 私が「この店は危ない」と5分で感じる瞬間。

OFCとして、100店舗以上を訪問してきた。

数字を見る前に、店に入った瞬間、わかることがある。

「この店は危ない」

そう感じる瞬間は、いつも同じところに現れる。

それは、レジの動きでも、棚の乱れでもない。

スタッフの目線だ。

危ない店に入ると、スタッフは誰も、お客様の方を見ていない。作業には集中している。手は動いている。だが、視線が上がらない。

来店したお客様が何を探しているか、レジに並んでいる人がどんな表情をしているか。そういうことに、誰も気づいていない。

これは、サボっているという話ではない。むしろ真面目に働いているスタッフほど、この状態に陥りやすい。

「作業」に集中するあまり、「お客様」が視界から消えている。

なぜこうなるのか。

私が見てきた限り、原因はオーナーやマネージャーの側にある。

「作業をちゃんとやれ」とは言うが、「お客様をどう見るか」を教えられていない店で、必ずこの状態が起きる。

数字で言えば、こういう店は、まだ大きく崩れていないことが多い。売上も、客数も、ぱっと見は問題ない水準に見える。

だが、私はこの状態を見た店の9割で、半年から1年以内に数字が崩れ始めるのを見てきた。

視線が下がっている店は、お客様の小さな変化に気づけない。困っている表情、迷っている素振り、何かを探して諦めて帰っていく後ろ姿。

それら全部を、見逃し続けている。

逆に、伸びている店に入ると、スタッフの視線がよく動いている。作業をしながらも、レジの列、入店してきた人、棚の前で立ち止まっている人。ちゃんと見えている。

これは、教育の問題であり、同時に、オーナーが「何を大事にしているか」がスタッフに伝わっているかどうかの問題でもある。

視線が下がった店を、もう一度上げるためには、何をすればいいのか。

これは、これまでの9話の中で書いてきた「発注」「POS」「従業員への向き合い方」、そのすべてがつながって初めて答えが見えてくる話だ。

次が、このシリーズの最終話になる。

17年間、本部の中にいて、私が一番伝えたかったこと。それを、最後に書く。

店は、ある日突然悪くなるわけではありません。 静かに落ちます。 だから、気づいた人だけが戻れます。 続く。

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