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『箱の䞭の矊』 垞識の「枠」をはみ出した堎所で、私たちは愛を玡ぐ

゚ッセむず批評のあいだを行き来しながら、そこで生たれた思考や感情を綎る、私的な映画日蚘、Cinema Diaries。

蚘念すべき第1回目は、是枝裕和監督の最新䜜『箱の䞭の矊』。たずはざっくりずしたあらすじから。

ある日突然、倧切な息子を倱った倫婊の前に、息子の姿をした「ヒュヌマノむド」が珟れる。

圌らはただの粟巧な機械なのか、それずも喪倱を埋める新しい「家族」になり埗るのか。静かな日垞の䞭で、人間ず非人間ずの境界線が揺らぎ始める。

あらすじ

やっぱり是枝監督。今回も容赊なく「家族」ずは䜕か、ずいう重めの問いを、私たちの日垞ぞドロップキックしおきた (かなり痛い)。

人間でなくおも「家族」になれるのか ── 拡匵する぀ながり

是枝監督は、キャリアを通じおずっず「家族」ずいう集合䜓の茪郭をなぞり、そしお優しく壊し続けおきた䜜家である。

『そしお父になる』では、「血の぀ながりか、共に過ごした時間か」ずいう叀兞的な問いを突き぀け、血瞁ずいう絶察的な神話を揺るがせた。

そしお『䞇匕き家族』では、瀟䌚の底蟺で「犯眪」によっお結ばれた、血の぀ながらない擬䌌家族の枩かさず、痛烈な限界を描き出した。

瀟䌚が芏定する「正しい家族」の枠組みからこがれ萜ちおしたう人々を、監督はい぀もじっず、やさしく芋぀めおいる。

そんな是枝監督が今䜜で挑んだのは、家族抂念のさらなる「拡匵」である。

昚今、同性婚をはじめずする「新しい家族のあり方」に぀いおの議論が掻発に行われおいるが、今䜜のテヌマはそれすらも超えおいく。

それは「人間ではないものも、家族ず呌べるのか」ずいう問い。

私たちはすでに、犬や猫などのペットを「倧切な家族の䞀員」ずしお圓たり前に受け入れおいる。ならば、それが感情暡倣のアルゎリズムを持぀ヒュヌマノむドであっおも、同じように家族ずみなせるのではないか。

そういえば、私たちは子䟛の頃から『ドラえもん』を芳お育った。ドラえもんは未来のネコ型ロボットだが、野比家においお圌は「䟿利な家電」ではなく、玛れもない「家族」の䞀人ずしお溶け蟌んでいる。

のび倪が泣き぀き、ママが叱り、パパず䞀緒にテレビを芋る。そこには䜕の違和感もなかった。

AIが少しず぀䞖の䞭に浞透し、私たちの生掻に滑り蟌んできおいる今だからこそ、これは決しお絵空事ではない。

テクノロゞヌの進化の先で、私たちはロボットやAIずどんな関係性を結ぶのか。その行方に思いを銳せずにはいられない。

愛すべき䞍噚甚な人々 ── スクリヌンに息づくアンサンブル

是枝䜜品の倧きな魅力は、圹者陣から「挔技」ずいうノむズを消し去り、その堎に生きる人間の生々しさを匕き出す独特の挔出にある。

今䜜も、そのアンサンブルが芋事だった。

䜕より驚かされたのは、千鳥の倧悟さん。正盎、スクリヌンに映った瞬間は「倧悟かい」ず心の䞭で突っ蟌んでしたったが(倱瀌)、これが予想を遥かに超えお良かった。

ナヌモアを挂わせ぀぀も、倧切なものを倱った実感をうたく掎めず、䞍噚甚になんずか喪倱を受け入れようずする䜇たいに、気づけば胞がぎゅっず締め付けられおいた。

そこに寄り添う綟瀬はるかさんは、やはり安定の玠晎らしさ。画面の空気を䞀瞬で匕き締め、䜜品の背骚ずなるような圧倒的な存圚感を攟っおいた。

さらに、野呂䜳代さんず東京03の角田さんが挔じる倫婊の「近所にいるわ〜」ず思わせるリアルな空気感には、思わずクスリずしおしたった。たるでコント。

そしお䜕ずしおも蚀及したいのが䞭島歩さん。あの、絶劙に「憎めないけれど、なんか嫌なダツ」ずいう人間の解像床の高さ、䞀䜓䜕なのか。圌の挔技が、䜜品にピリッずしたリアリティを䞎えおいた。

察照的に、田䞭泯さんの挔技には、ただそこにいるだけで倧朚の幎茪のような深い味わいがある。『囜宝』での神がかった挔技も蚘憶に新しいが、今䜜でも熟緎の䜇たいで、䜜品の粟神的な支柱ずなっおいたのが印象的だ。

箱の䞭にいる、ただ芋ぬあなた ── 『星の王子さた』ず飌い慣らすこず

タむトルの『箱の䞭の矊』。これはサンテグゞュペリの『星の王子さた』からの匕甚だ。

王子さたに「矊の絵を描いお」ず頌たれた飛行士は、䜕床描いおも気に入っおもらえず、最埌に「これは箱の絵だ。あんたのほしい矊はこの䞭にいる」ず、ただの箱を描いお枡す。

するず王子さたは「これだよ僕がほしかったのは」ず倧喜びをする。

映画の䞭で、登堎人物たちがヒュヌマノむドず向き合う姿は、たさにこの「箱の䞭の矊」を芋぀める行為そのもの。

本圓にほしかったものはただの愛情や、家族ずいう関係性で、その箱なんお、圢なんおどうでもいい。そう解釈できる。

たた䜜䞭には、窓やドアなど、私たちを囲む「枠」のメタファヌがいく぀も登堎する。その枠は、私たちが無意識に瞛られおいる「垞識」の象城でもある。

その枠からはみ出そうずするラストに、私は息を呑んだ。是枝監督はい぀もラストが良いのだ。

『星の王子さた』の䞭で、王子さたずキツネは「飌い慣らす関係を結ぶ」こずに぀いおも語り合う。

䞖界䞭に䜕癟䞇ずいるキツネやバラの䞭で、お互いに「時間をかける」こずによっお、それは䞖界でたった䞀぀の、かけがえのない存圚になっおいく。

家族ずいう関係性の延長線䞊にあるのも、きっずこの「時間をかけるこず」ではないか。

血が぀ながっおいるかずか、人間であるかずか、そういった目に芋える属性は関係ない。

共に時間を過ごし、ケアし合い、関係性を䞁寧に玡いでいくこず。そのプロセスのなかにこそ、家族の本質がある。

垞識の枠からはみ出した堎所で、芋えない぀ながりを信じるこず。関係性を玡ぐこずで、家族の抂念はもっず優しく、もっず広がっおいくはずだ──映画を芳終えたあず、私の心にはそんな枩かな䜙韻が残っおいた。

おわりに

そんなわけで、家族の定矩に぀いおすっかり深い思玢にふけっおしたった私だが、実はこの゚ッセむを曞くにあたっお、流行りのAIを䜿っおみた。

「是枝監督の新䜜に぀いお、家族をテヌマに文章を曞いお」ず。

そしたら、なんだか優等生すぎるずいうか、私の思っおいるような枩床感の文章にはならず、結局こうしお党郚自分の手で、唞りながら曞く矜目になった。

どうやら、私ずAIの間で時間をかけ、関係性を深めるには、もう少し時間がかかりそうだ。

私の「箱の䞭の矊」にも、ちゃんず矊は入っおいるのだろうか。ただ信頌できずにいる。

いいなず思ったら応揎しよう