【「犬にやさしいサロン」を、もっと応援したい。だからこそ伝えたいこと】
━━━━━━━━◽️増えてきたこと、心から嬉しい━━━━━━━━━━
「犬にやさしいサロン」
たくさんのトリマーさんやオーナーさんと話す機会もそれなりにあります。「犬にやさしいサロン」を目指したい。そんなお店が、増えてきたと実感しています。
ドッグトレーナーとして、これは心から嬉しいことです。 全力で応援したい。
僕はこの30年、トリミングの現場に立ってきました。 一時期は、サロンを3店舗経営していたこともあります。
だからこそわかります。 「犬にやさしくしたい」と思うこと自体が、 簡単なようで、実はとても難しいということを。
現場は、時間との勝負です。
予約は詰まっている。 スタッフの手も足りない。
それでも「この子に、少しでも負担のない時間を」と考えているサロンが増えている。
それは、業界にとって、間違いなく良い変化です。
だからこそ、思うことがあります。
━━━━━◽️感覚でわかることと、言葉にできることは、違う━━━━━
たとえば。
サロンに入店した瞬間の犬の様子は?
バリカンの音を聞いた瞬間は?
足を触られた瞬間は?
そこで何が起きているか、 見えていても、対処できていますか。
もちろん、接しているからこそ、感覚ではわかっているはずです。
経験を積んだトリマーさんほど、「この子、ちょっと緊張してるな」ということは、当然のように肌で感じ取れます。
けれど、イヤがっていたとしても、 "この子はそんなもんだよね" でスルーしていないでしょうか。
感覚でわかることと、言葉にできることは、違います。
何が起きているのかを言葉にするのは、また別の技術です。
これは、決して「わかっていない」という話ではありません。
むしろ逆で、わかっているからこそ、 それを言葉して、さらに一歩を踏み出せていない、というケースがとても多いのではないでしょうか。
━━━━━━◽️「言葉にできない」と、何が困るのか━━━━━━━━━
感覚だけに頼った判断には、いくつかの落とし穴があります。
・スタッフによって基準がバラバラになる 同じ犬を見ても、「大丈夫」と判断する人と「無理させすぎ」と判断する人が出てくる。
・引き継ぎが難しい 担当が変わったとき、「この子はこういう子です」を口頭でしか伝えられない。
・飼い主さんへの説明が難しい 「がんばってくれました」だけでは、何がどう大変だったのか、飼い主さんには伝わりません。
・自分自身も、次第に基準が揺らぐ 忙しい日と余裕がある日とで、無意識に「大丈夫」のラインが変わってしまう。
これは、トリマーさんの技術不足ではありません。 感覚を言葉にする"仕組み"が、現場になかっただけです。
━━━━◽️だから作りました。犬の環境適応評価シート━━━━━━━
僕自身、この難しさに、ずっと引っかかっていました。
見えているものを、その子に合った接し方につなげる。 そのための橋渡しが、これまでありませんでした。
そう考えて作ったのが「犬の環境適応評価シート」です。
入店(飼い主がいるとき/いなくなってから)・ケージ内での様子・体に触れる工程・バリカンやドライヤーの音・シャンプー・爪切り・足回りのカットやバリカン・カット中・施術後の様子
全10場面、それぞれの場面で、その子の"大丈夫"と"まだ難しい"を見分けるためのシートです。
感覚を、記録に落とす。 記録に落とせば、その子に合った進め方が見えてくる。
シートは、動物病院・ペットホテル・トリミングサロンでの活用を想定して設計しており、 まずはトリミングサロン版から配布を始めています(有料note記事にて詳しい使い方と合わせて公開中です)。
━━━━━━━◽️言語化できたら、何が変わるのか━━━━━━━━
「犬にやさしい」を掲げるサロンが、 その根拠まで言語化して示せるようになったら。
犬たちは、もっと暮らしやすくなります。 飼い主さんは、もっとトリマーさんを頼りにするようになります。 トリマーさんは、もっとトリミングがしやすくなります。
そんな場所が増えるほど、業界はもっと変わる。
そう思っています。
━━━━━━◽️シートは、ゴールではなくスタートです━━━━━━━━
このシートでできることは、まずその子に何ができるのか?を考える「第一歩」です。
今、その子がどの場面で、どれだけ対処できているか。
それを、感覚ではなく記録として、まず把握できる形にすること。
そして、それをスタッフ同士で、飼い主さんと、共有できるようにすること。
これが、最初の一歩です。
本当に大事なのは、そこから先です。
見えてきたその子の"まだ難しい"を、 どう工程に落とし込めば、負担が減るのか。
どう接し方を変えれば、その子にとって本当の優しさになるのか。
そこまで含めて、初めて「犬にやさしい」と言えると思っています。
その"どうすれば"の部分は、もちろん、一枚のシートだけでは伝えきれません。
これからnoteで、場面ごとの具体的な工夫や考え方を、一つずつ記事にしていくつもりです。
そして、記事だけでは届かない部分は、個別のご相談という形で、直接お手伝いしていきます。
現状を把握できることと、そこからどう変えていくか。
その両方を、これから少しずつ、一緒に埋めていきたいと思っています。
━━━━━━━━━━◽️これからのこと━━━━━━━━━━
このシートは、これで完成というものではありません。
現場のトリマーさんたちの声を聞きながら、これまでも改良を重ねてきました。 そして、ここからが本番だと思っています。
これから、
・病院版・ペットホテル版を展開し、トリミングサロン以外の現場でも使えるようにしていきます
・実際に使ってみた現場からのフィードバックを、随時シートに反映していきます
・「うちのサロンではこう使っている」という声を集め、使い方の事例としてまとめていきます
・希望があれば、チェックだけで自動採点されるデジタル版の開発も検討していきます
このシートを、一度作って終わりのものにするつもりはありません。
現場の声を聞きながら、育て続けていきます。
「犬にやさしいサロン」を目指す現場の力に、なれるように。 そして、そう思ってくださる方と一緒に、このシートを前に進めていけるように。
そのつもりで、これからも取り組んでいきます。
━━━━━━━━━━◽️最後に━━━━━━━━━━
「犬にやさしいサロン」という言葉を掲げてくださっているみなさんへ。
その気持ちを、心から応援しています。
そのうえで、もし「感覚はあるけれど、言葉にできていないかもしれない」と感じることがあったら。 その一歩を、このシートが後押しできたら嬉しいです。
シートの詳しい使い方・配布については、こちらの記事で紹介しています。
【トリミング中の"がんばり"、10項目・100点満点で数値化してみた】
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