転職で発見した、すぐに何でも忘れてしまう上司の仕組み(図解付き)
ぼくたちはロックと言ってるくらいでちょうどいい。
焔(ほのむら)です。
わたしは転職が多い。転職が多いと、強制的にいろいろな人と関わることになる。
転職で得られる学びは、なにもスキルや知識に限らない。人についての理解がぐっと深まる。
特に、極端な上司が登場したときは大チャンス。その人は、きっと何かしらの真理を与えてくれる。
その心理が深淵であればあるほど、被る迷惑のパワーも大きくなるのだけれど。
わたしがかつて、大迷惑と引き換えに得た真理がこれ。
外からの見え方を気にしすぎるとどうなるのか?
未来が消滅する。
わたしは上司に恵まれたことがない。
上司たち(笑)
今回ご紹介する「忘却部長」もなかなかのインパクトがあった(暫定ワースト2かな……)。
年の若い部長だったが、とにかく外からどう見られるかを気にする。

見た目、立ち振る舞いは、わかりやすくキザな感じなのだが、重要なのは内面のほう。
一度、忘却部長がその根っこにある考え方について説明してくれたことがある。
「たとえば、家族のために部屋を掃除したとするだろ? いいことをした。でも、自分が掃除をしたと言わなければ気づいてもらえないかもしれない。せっかくいいことをしたのに、もったいないじゃないか。だから、しっかりアピールしなきゃいけない。ときどき、アピールがきついと言われることもあるけどね」
わからなくはない。
この発想が、忘却部長がよく口にする「外からの見え方が大事なんだ」につながっていることは明白だった。
「見え方が大事」のレベルで留まっていれば、害はなかった。
周囲にも、本人にも。
だが、忘却部長のそれは「どう見えるかがすべて」に先鋭化してしまっていた。
忘却部長は、何をするにも芝居がかっている。海外のドラマに出てくる人のようだ。
今ぱっとその人をイメージすると、人差し指と中指を眉間に当てて、真剣に考えているフリをするポーズが思い浮かぶ。
磨き続けた見え方のテクニックによって、上層部からはそれなりに評価された。
「ここ10年で最低のマネジメントや」
これはベテラン女性社員Mさんのセリフ。
部内からの評判は最低だった。
わたしが観察した忘却部長の動きはこう。
なんでも勝手に決めてしまう。
それを忘れ、違うことを言い出し、また忘れる。
その状態をもって、理不尽に怒りだす。
部下からすると、一貫性がまったくない。昨日と今日で違う人間を相手にしているかのような錯覚に陥る。
昨日のイエスが今日ノーになっている人間はぜったい信用できない。
なぜこんなにも物事を忘れてしまうのか?
わたしは本気で若年性認知症を疑った。本当に病気なら仕方がない。
だが、病気でないとするならば、わたしはその原因が「どう見えるかがすべて」の精神にあるのではないかと疑っている。
◇ ◇ ◇
部下からプロジェクト(PJ)の課題について相談されたとする。
課題というのは、なんでもそうだが、その瞬間だけで解決するものはあまりない。
普通は今日決めた判断が、明日、あさって、ひと月後というふうに影響していく。課題はある程度の期間をもって付き合っていかなければならない。
ところが、忘却部長の中ではそうではないのだ。
その瞬間に「自分がどう見えるか」がすべて。
部下に何かの指示を出し、「見た目」的に恰好がついた時点で、課題は消滅している。
行動の因果を未来に引き継がない!

こういう人は本当にあてにできない。
「忙しいなか、よくこの案件を引き受けてくれたね。ぼくは君のことを高く評価するよ」
嘘だ!
この件は、忘却部長が格好よく台詞を決めた時点で消滅している。
言われた側には、案件だけが残り、忘却部長はまた新たな案件を持ってくる。
「忙しい? 君がそんなモチベーションで仕事していたとは失望したよ」
ぜったいに嫌でしょ、こんな人?
その人をひさびさに思い出してみて、絶望的な気持ちになった。
何人もの社員が忘却部長の「見え方」のために、職場を去った。辞める必要のない優秀な社員もいた。
しかし、怒りの気持ちは湧いてこない。わたしは彼を憐れんでいる。
強力な力に罰せられることが目に見えているから。
そういう人は、家族から制裁を受けるのだ。
家族に「見え方」は通用しない。
檻の中の獣は、恐ろしく冷めた目で「中身」だけを見ている。

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