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短編小説 : 遠くからみたら

遠くから見たら、ベッドの上のわらび。

彼の指は私の舌のうえ、唾液をねだって掬っていく。私はそれをなだめるように軽く噛む。合図。早く脱いでよ「早くして」。「もっと遅くして」。

彼の指が私の唇を抜けていく。
私はそれも嫌だと怒る。

いやだ、もっとここにいて、早くして。マラソンみたいに苦しくして。唾液まみれの彼の指が弦を引っ張る。私の脚は弓のようにしなる。私の的に彼が放たれる。まず、最初はアーチェリー。

また、「わらび」ね。

私は逆さになって彼のカッコつけた裸の角を頬張る。先は舌で優しくして根本を唇で強く締めてやる。私はそのまま喋る。

「あわ、あわしわう。だうう、だううう」
「おお? おおええ? もっおううう?」

振動が口にこもってだらだらとヨダレはたれていく。彼が好きなこと、私も好きなこと。私の股の唇に同じことしてよ早くして。もっとゆっくりして。だから、二人は糸電話。もしもし? 最高に気持ちいいよ。もうやだ。鼻水も出てきた。悔しいから歯も少し当ててやる。

私たちは近くの行為に名前をつけた。彼がまた「水遊び」をねだる。私は彼の中指を咥えた。ほんの数時間前まで小さな手を握ってた彼のそれを、私は皿まで舐めまわして唾液まみれにした。それで触って。小さな名前をもっとたくさん呼んで。遠くから呼ばれないように。遠くから簡単に「不倫」と呼ばれないように。


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