映画日記 『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』 ロックン・ロールと自由とファミリーと
2023年の1月に亡くなったギタリスト、鮎川誠のドキュメンタリー映画を配信で見た。『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』というタイトルだった。
不思議なものを見たという印象だ。鮎川一家の家族の結びつきがとても強いのだ。家族って、これくらい結びついているのが、普通なのだろうか? それとも、鮎川家が特別なのだろうか?
自分が育った家庭を思い返してみると、我が家は鮎川家と違って、もっと淡白だった。我が家は、父、母、兄と私の4人の核家族だった。
高校を卒業してから、兄も私もそれぞれ独立して、その後、兄も私も結婚をして家庭を築いているから、家族は三つに分かれて暮らしている。
父と母は、ともに90代で、まだ二人で暮らしている。私のところは子供がいないので妻と二人暮らしだ。両親が高齢なので、月に一回くらい帰省しているが、関係は、以前と一緒で、結構、淡白だ。
鮎川家は、鮎川誠と、残念ながら故人となってしまった妻のシーナと、三人の娘さんたちと、その連れ合いと、一人の孫で構成されている。娘はそれぞれ仕事を持っているようだが、東京でライブがあるとなると、3人の娘と孫娘が必ず集結しているようだった。
シーナが亡くなったあとは、次女がシーナ&ザ・ロケッツのマネージャーになり、三女がバンドメンバーになってボーカルをやるようになっていた。端から見ると、新ボーカルは、残念なレベルに感じるのだが、鮎川家の人達にとっては、三女がボーカルをやるのは当たり前で、何の違和感もなく受け入れているように見えた。
もう、本当に、親娘三代が一丸となっている感じなのだ。子供がいなくて、妻と二人暮らしの私には、鮎川家のような濃密な家族が、羨ましい気もするし、鬱陶しくも見える。あんなに絆の強い家族だと、何があってもフォローしあって大丈夫な気もするし、あんなに家族が密着していたら、私なら息が詰まって生きていけない気もするのだ。
でも、ロック・バンドって、こういうものかもしれない、とも思った。幼稚園とか小学校とかから一緒の二人とか三人が、成長して、そのままバンドになったケースなんていくらでもある。
オリジナル・メンバーが欠けた場合、新たなメンバーになるのは、欠けたメンバーの子供であることも、老舗バンドではよくある。親子でツアーをやるようになったバンドも、本当に多い。
もはやロックも、ファミリー・ビジネスの領域なのだ。もう新曲なんか作らないで、往年の名曲だけをやっているバンドも多い。シーナ&ザ・ロケッツは、鮎川誠がもう少し生きていたら、新譜を出しただろうか?
途中何度も登場する甲本ヒロトの語る鮎川誠が印象的だった。鮎川誠が、ロックと言うよりも、極めつけに自由で、とことんオープンな大器だったことが伝わって来た。
あらためて合掌。
