義母、80代後半。現在もバイト中
私は、義母とまあまあ仲がいい。
結婚した当初からかわいがってもらい、大きなトラブルもなく今日まで来た。
義母を三つの言葉で表すなら、「お人よし、物怖じしない、面倒見がいい」
聞こえはいい。
ただ、聞こえがいいだけで終わらないのが、この人のすごいところで、その裏にはちゃんと「見返りを求める、皮肉を言う、仕切りたがる」が張り付いている。
三点セットの裏に、また三点セット。
きれいに対になっている。
そして何より、行動力がある。
80代後半、一人暮らし。わが家からは車で15分。近くもなく、遠くもない。この絶妙な距離感が、実は一番怖いのではあるが…
頭の回転は昔からとてつもなく早く、しかも賢い。おしゃべりは「マシンガントーク」という言葉では生ぬるい。電話がかかってくれば、10分で終わったためしがないし、遊びに行けば、必ず誰かしらご近所さんが来ている。
料理も上手で、人をもてなすことが異常に好きだ。もはや義母の家は、勝手に人が集まる小さな社交場になっている。
ちなみに、義母のスマホ代は私たち夫婦が払っているのだが、明細を見るたび、割引前の通話料金の欄が恐ろしいことになっている。
毎月、軒並み3万円超え!
定額プランに高齢者割引もついているので、いくら話しても実際に払う金額は変わらない。変わらないのに、律儀に3万円という数字だけは毎月出てくる。いったい、誰と何をそんなに話しているのだろう。
そして2年前から、義母には新しい肩書きができた。
バイトである。
何かのサークルで知り合った90代のおばあさんの通院にタクシーで往復付き添い、日給5000円 月に2、3回ほどあるそうだ。
本人が堂々と「バイト」と言うので、私もバイトと呼ぶしかない。
80代が、90代に付き添うバイト…
聞いた瞬間、驚きより先に浮かんだのは、
「ああ、義母ならやるだろうな」
だった。
驚きすらないくらい、義母らしい。

ただ、その90代のおばあさんも、なかなか一癖ある人らしく、すぐ電話をかけてきては、家族の愚痴を言うそうだ!
ああ、これは愚痴の無限ループだ、と思う。
若い頃は若い頃で誰かの愚痴を聞き、年を取れば年を取ったで、また誰かの愚痴を聞く。相手が90代になったところで、やっていることはたいして変わらない。
今日も義母は、おしゃべりをし、人をもてなし、バイトをして、忙しく過ごしているのだろう。笑
そして、そこで聞いた愚痴は最終的に私のところへ回ってくる…。
たぶん、この先もずっとそうなのだと思う。
ちょっと面倒くさいけれど、それが続いているうちは、なんだか安心する。
明細の通話料金欄が毎月3万円を超えてもいい。
できればこのまま、元気に誰かの世話を焼き続けていてほしいと嫁の私は思う。
