検索広告の次は「会話広告」へ?ChatGPT Adsで変わるマーケティング
こんにちは、ハコスコAI部です。
何かを買うとき、旅行先を探すとき、仕事で使うサービスを比較するとき。
これまでは、まずGoogleなどで「検索する」という行動が一般的でした。
しかし最近は、
「3万円以内でおすすめのイヤホンを比較して」
「東京から2時間くらいで行ける、週末旅行におすすめの場所は?」
「10人くらいのチームで使いやすいタスク管理ツールを教えて」
と、検索する代わりにAIへ相談する場面も増えています。
そんな中、OpenAIが本格的に展開を広げているのがChatGPT Adsです。
OpenAIは2026年2月、米国でChatGPT内の広告テストを開始しました。
3月にはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドへ試験地域を拡大。8月11日には日本、英国、メキシコ、ブラジル、韓国でも提供を開始しました。
さらに8月18日には、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなど欧州31市場への拡大を発表しています。欧州では8月24日から提供が始まります。
一見すると、単に「ChatGPTにも広告が表示されるようになった」というニュースです。
しかしマーケティングの視点で見ると、もう少し大きな変化が見えてきます。
これまで広告が捉えてきた「検索」という行動から、ユーザーが相談し、比較し、意思決定していく“会話”そのものが、新しい顧客接点になり始めているからです。
この記事では、
ChatGPT Adsとは何か
なぜ今OpenAIが広告を拡大しているのか
検索広告と「会話広告」は何が違うのか
消費者の購買行動はどう変わるのか
企業やマーケターは何を考えるべきなのか
について詳しく見ていきます。
ChatGPT Adsとは?

ChatGPT Adsは、その名の通りChatGPT内に表示される広告です。
現在、広告が表示される可能性があるのはFree・Goプランです。
一方、Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduでは広告は表示されません。また、18歳未満と判定されたアカウントにも広告を表示しない方針が示されています。
広告が表示される場合は、ChatGPTの回答とは分離され、回答の下などに「スポンサー」であることが分かる形で表示されます。
重要なのは、広告を出した企業がお金を払うことで、ChatGPTの回答内容を変えられるわけではないという点です。
OpenAIによると、ChatGPTの回答を生成する仕組みと広告配信システムは分離されており、広告主が回答の内容や順位を操作することはできません。
たとえば、
「おすすめのランニングシューズを教えて」
と質問したときに、広告費を多く払ったブランドの商品がChatGPTの回答内で1位になる、という仕組みではありません。
ChatGPTは回答を生成し、その回答とは別に、関連性のある広告がスポンサー枠として表示されます。
この「回答と広告を分ける」という設計は、後ほど触れるAIへの信頼とも大きく関係しています。
なぜOpenAIは今、広告を広げているのか
背景の一つにあるのが、AIサービスを提供するための大きなコストです。
ChatGPTのような生成AIを何億人ものユーザーに提供するためには、大規模な計算インフラや継続的な開発投資が必要です。
OpenAIは広告について、Free・Goプランを含む無料・低価格でのAIアクセスを維持・拡大するための収益源として位置づけています。
つまり広告は、
「ChatGPTで新たに収益を上げる」
だけではなく、
「より多くの人が高性能なAIを使える状態を維持する」
ための仕組みでもあります。
実際、Freeユーザーには、広告を見る代わりに通常の無料利用枠を使う選択肢だけでなく、1日あたりのメッセージ数や一部機能が制限される代わりに、広告を表示しない無料オプションも用意されています。
ただし、この選択肢の利用可否は地域や時期によって異なります。
広告を見るか。
利用できる機能や回数を減らすか。
あるいは有料プランを選ぶか。
ChatGPTでも、ユーザーが自分に合った使い方を選べる仕組みが整い始めています。
すでに「広告プラットフォーム」になり始めている

注目したいのは、ChatGPT Adsの提供地域が増えただけではありません。
この半年ほどで、広告を配信・運用するための仕組みも急速に整備されています。
OpenAIは2026年5月、広告主が直接キャンペーンを作成・運用できるセルフサービス型Ads Managerのベータ版を発表しました。
あわせて、当初のCPM(広告表示回数を基準とする課金)だけでなく、CPC(クリック課金)にも対応。
Ads Managerでは、予算や入札額の設定、広告クリエイティブの登録、キャンペーン管理、パフォーマンス確認などを行えるようになっています。
さらに現在では、
CPM・CPCでの広告購入
コンバージョン最適化
地域ターゲティング
カスタムオーディエンス
OpenAI Pixel
Conversions API
外部の効果測定サービスとの連携
など、一般的なデジタル広告プラットフォームに近い仕組みが次々と追加されています。
OpenAIによれば、これまでに数万の広告主がChatGPTへ出稿しています。
欧州では当初、OpenAI Ads Solutionsチームや代理店、技術パートナーを通じて広告を提供し、その後Ads Managerによるセルフサービス利用も開放する予定です。
つまりChatGPT Adsは、
「AIの画面に試しに広告を置いてみる」
という段階から、
広告出稿・ターゲティング・計測・コンバージョン最適化まで備えた、一つの広告プラットフォーム
へ進み始めているのです。
ここからが、マーケティングとして特に面白いところです。
検索広告と「会話広告」は何が違う?

Googleなどの検索広告では、ユーザーが入力する検索語が重要なシグナルの一つになります。
たとえば、
「新宿 ホテル」
「CRM おすすめ」
「転職エージェント IT」
といった検索から、その人が何を求めているのかを読み取ります。
もちろん現在の検索広告は検索キーワードだけではなく、さまざまなシグナルやAIを活用しています。
それでも、ユーザーのニーズが表れる大きな入口の一つが「検索」であることは変わりません。
一方、ChatGPTでは少し違います。
たとえば旅行について相談するとき、
「9月に恋人と2泊3日で旅行したい。東京から行きやすくて、車なしでも楽しめて、温泉があって、予算は1人5万円くらい。観光地すぎないところがいい」
といった形で、かなり細かく条件を伝えることができます。
ここには、時期同行者予算交通手段目的好み避けたい条件まで含まれています。
検索窓では数語だったニーズが、AIとの会話では背景や条件を含む文章として表れます。
OpenAIもChatGPT Adsについて、ユーザーがChatGPT上で探索し、比較し、意思決定している場面で企業が接点を持てる仕組みとして説明しています。
つまり広告の接点が、「何を検索したか」だけではなく、
「何を実現したくて、何を比較し、どんな条件で悩んでいるのか」
という、より広い文脈へ広がる可能性があります。
この記事では、この変化を分かりやすく「会話広告」と呼んでいます。
「検索」ではなく「相談」の途中に広告が入る
ここで大きく変わりそうなのが、広告と接触するタイミングです。
これまでの商品購入では、
課題を感じる↓検索する↓いくつかのサイトを見る↓比較する↓購入する
という流れが一般的でした。
ところが生成AIでは、
課題をAIに相談する↓条件を伝える↓候補を出してもらう↓違いを比較する↓さらに質問する↓意思決定する
という一連の行動が、一つのチャット画面の中で進みます。
つまりChatGPTは、単なる「情報検索の入口」だけではなく、意思決定のプロセスそのものに入り込み始めています。
OpenAI自身も、ChatGPTが使われる場面として、旅行の計画やビジネスソフトウェアの比較、家具選び、新しい趣味の検討などを挙げています。
広告主にとっては、商品を探し始めた瞬間だけではなく、「どれを選ぼうか」と比較・検討している瞬間にも接点を持てることになります。
これは検索広告とは少し違う、生成AIならではの広告体験になりそうです。
ChatGPTが会話内容を広告主に渡すの?
ここで気になるのが、プライバシーです。
「会話の内容に合った広告が出るなら、広告主にもChatGPTとの会話が渡っているのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、広告主がユーザーのChatGPTとの会話を見ることはできません。
OpenAIは、広告主にユーザーのチャット、チャット履歴、メモリ、氏名やメールアドレスなどの個人情報を提供せず、広告主が受け取るのは広告の表示回数やクリック数などの集計された情報だと説明しています。
一方で、広告を選ぶOpenAI側のシステムでは、現在の会話の文脈や目的が広告との関連性を判断するために利用されます。
さらに広告のパーソナライズを有効にしている場合には、過去のチャットやメモリ、過去の広告への反応など、一部のシグナルも利用される場合があります。
ここは混同しないことが重要です。
会話の情報をOpenAI側の広告システムが関連性判断に利用すること
と、
広告主がユーザーの会話を直接見ること
は別です。
また、広告のパーソナライズは設定から無効にできます。
広告データの削除、特定広告の非表示、広告が表示された理由の確認など、ユーザー側で管理できる仕組みも用意されています。
AIに広告を入れても「信頼」を保てるのか
ChatGPT Adsで、もう一つ重要なのがAIへの信頼です。
Google検索やSNSを見るとき、多くの人は「広告がある」と理解した上で利用しています。
しかしChatGPTは、
「仕事について相談する」
「自分に合うものを選んでもらう」
「複雑なことを整理してもらう」
といった、より相談相手に近い使い方をされることがあります。
だからこそ、
「この商品を勧めているのは、本当に自分に合っているからなのか?」
「広告費を払っている企業だから勧められているのか?」
という疑問が生まれれば、AIそのものへの信頼にも影響しかねません。
OpenAIが、
回答と広告を別システムにする
スポンサー広告であることを明示する
広告主に回答を操作させない
会話を広告主へ提供しない
といった原則を強調しているのも、そのためです。
また、個人の健康に関する会話など、機微な内容の近くには広告を表示しない方針が示されており、政治広告も現在は禁止されています。
ChatGPT Adsが今後定着するかどうかは、広告の売上だけではなく、
「便利な広告体験」と「相談相手としてのAIへの信頼」をどこまで両立できるか
にかかっているとも言えそうです。
企業のマーケティングはどう変わる?

ではChatGPT Adsが広がっていった場合、企業側には何が求められるのでしょうか。
一つは、「どんなキーワードで検索されるか」だけでは足りなくなることです。
たとえばホテルを販売するとしても、
「箱根 ホテル」
というキーワードだけを考えるのではなく、
「子ども連れでも過ごしやすい」
「車がなくても行ける」
「ワーケーションできる」
「記念日に使いたい」
「静かな場所でゆっくりしたい」
など、顧客がどんな状況で、何を実現したいのかをこれまで以上に理解することが重要になります。
つまり企業側が整理すべきなのは、
「自社の商品は何なのか」
だけではありません。
「どんな人の、どんな状況の、どんな悩みを解決できるのか」
まで言語化する必要があります。
広告クリエイティブについても、
「業界No.1」
「今だけ20%OFF」
といった訴求だけではなく、
「この人の今の状況に、なぜこの商品が合っているのか」
を伝える重要性が高まるかもしれません。
SEOだけでなく「AIに理解される情報設計」へ
この変化は、広告だけの話でもありません。
ユーザーがAIに相談しながら商品やサービスを探すようになれば、AIが企業や商品の情報を正しく理解できることも重要になります。
これまで企業のWebマーケティングでは、
Googleでどう検索されるか
検索結果でどう上位表示されるか
を考えるSEOが重要でした。
しかし生成AIが情報探索の入口になるにつれて、
AIが自社の商品をどう理解するのか
どんな質問をされたとき、自社の商品が候補になり得るのか
という視点も必要になってきます。
そこで注目されているのが、GEO(Generative Engine Optimization)やAEO(Answer Engine Optimization)と呼ばれる考え方です。
もちろん、すぐにSEOがなくなるわけではありません。
むしろこれからは、
検索エンジンに見つけてもらうこと
と、
生成AIに内容を正しく理解してもらうこと
の両方を考える必要が出てくる可能性があります。
ChatGPT Adsの登場は、広告運用だけでなく、企業がWeb上でどのように情報を発信するかにも影響を与えていきそうです。
広告のKPIも「表示・クリック」からその先へ
ChatGPT Adsの進化を見ると、広告効果の測り方も変わり始めています。
テスト開始当初は、CPMを中心とした広告モデルでした。
その後CPCが追加され、現在ではコンバージョン最適化、OpenAI Pixel、Conversions API、外部の効果測定サービスとの連携まで提供されています。
つまり、
広告が表示された
だけではなく、
・クリックされた
・購入した
・問い合わせた
・登録した
といった、その先の成果まで含めて広告を最適化する方向へ進んでいます。
検索広告やSNS広告が長い時間をかけて発展させてきた仕組みを、ChatGPT Adsも急速に整備していることが分かります。
そして今後、ChatGPT上での商品比較や企業とのやり取りなど新しい広告フォーマットが増えていけば、
AIに相談する↓商品を知る↓比較する↓購入・問い合わせをする
という流れが、さらに一つの体験としてつながっていく可能性があります。
私たちの買い物はどう変わる?

消費者側から見ると、この変化は単に「広告が増える」という話ではありません。
これまで広告は、
検索結果を見る
SNSを見る
Webサイトを見る
といった場面で目にすることが多いものでした。
これからは、
AIに相談している瞬間
も企業との接点になっていきます。
たとえば、
「初心者がランニングを始めるなら何を揃えればいい?」
と相談しているとき。
AIが必要なものを整理してくれ、その回答の下に、自分の条件に関連するランニングシューズやウェアの広告が表示される。
ユーザーからすれば「広告を探しに行く」のではなく、自分の課題を整理している途中で選択肢に出会うことになります。
広告がうまく機能すれば、従来よりも自分に合った商品を見つけやすくなるかもしれません。
一方で、相談相手として使っているAIだからこそ、広告との境界が曖昧になれば違和感も大きくなります。
だからこそChatGPT Adsでは、
広告が便利かどうか
だけでなく、
AIへの信頼を壊さないか
という点が、これまで以上に重要になりそうです。
まとめ
ChatGPT Adsの拡大は、単に「ChatGPTに広告が追加された」というニュースではありません。
より大きく見ると、
「検索して情報を探す」時代から、「AIに相談しながら意思決定する」時代へ
というユーザー行動の変化に、広告も追いつき始めた出来事だと考えられます。
2026年2月に米国で始まった広告テストは、3月にカナダ・オーストラリア・ニュージーランドへ拡大。
8月11日には日本を含む5市場へ広がり、8月24日には欧州31市場でも提供が始まります。
広告機能もCPMからCPCへ広がり、Ads Manager、コンバージョン最適化、Pixel、Conversions APIなどが次々と整備されています。
ChatGPT Adsはすでに、単なる広告枠ではなく新しい広告プラットフォームへ進み始めています。
これまでマーケターが考えてきた大きな問いの一つは、
「ユーザーは何と検索するのか?」
でした。
しかしこれからは、
「ユーザーはAIに何を相談し、どんな条件で比較し、何を決めようとしているのか?」
まで考える必要が出てくるかもしれません。
検索キーワードを捉える広告から、意思決定の文脈に寄り添う広告へ。
検索広告の次に広がるのは、「会話」という新しい広告接点なのか。
ChatGPT Adsは、AIそのものだけでなく、マーケティングのあり方も大きく変えていきそうです。
▶ あわせて読みたい
ノーコードやAI活用の流れは、自治体だけでなく企業の業務改善にも広がっています。
ハコスコnoteでは、AI社員や業務改善に関する事例・解説も発信しています。
▶ ハコスコAI部|マガジンはこちら
ハコスコAI部では、業務で使えるAIの動きを毎週わかりやすく紹介しています。
■ハコスコでは、AI×人の協働を支援しています

👉 メタデスクを詳しく見る(無料デモあり・導入相談受付中)
👉 [資料ダウンロード]
👉 [サービスについてのお問い合わせ]
ハコスコはVRゴーグルもつくっています
AIと人が協働するための取り組みと並行して、ハコスコはVRをもっと身近にするためのプロダクトもつくっています。
スマホで気軽にVRを楽しめる『ハコスコ』は、紙製・折りたたみ式のVRゴーグルです。
持ち運びや保管にも場所を取らず、手に取りやすい価格なので、イベントや研修などで多くの人にVR体験を届けたい場面にも向いています。
技術を使う人の体験を、少しでも豊かにできるように。
そんな思いで、AIにもVRにも取り組んでいます。


💡ハコスコでは、各SNSでさまざまな情報を発信しています。
ぜひ興味に合わせてフォローしてみてください!
導入事例や制作の裏話を読む → note
よくある質問(FAQ)
Q. ChatGPT Adsは日本でも表示されますか?
はい。
OpenAIは2026年8月11日、日本、英国、メキシコ、ブラジル、韓国でChatGPT Adsの提供を開始したと発表しています。
Q. 誰に広告が表示されますか?
現在、Free・Goプランのユーザーには広告が表示される可能性があります。
Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduでは広告は表示されません。
また、OpenAIは18歳未満と判定されたアカウントには広告を表示しないとしています。
Q. Freeプランでも広告を消せますか?
地域や提供状況によりますが、Freeプランでは、1日あたりのメッセージ数や一部ツールの利用を制限する代わりに、広告を表示しない無料オプションが用意されています。
広告なしで通常の利用枠を使いたい場合は、PlusやProなどの広告なしプランを選ぶ方法もあります。
Q. 広告費を払えばChatGPTの回答に商品を載せられますか?
いいえ。
広告とChatGPTの回答は別のシステムで処理されており、広告主が回答の内容や順位を操作することはできません。
広告は回答とは別に、スポンサーであることが分かる形で表示されます。
Q. 広告主にChatGPTとの会話を見られることはありますか?
OpenAIによると、広告主がユーザーのチャット、チャット履歴、メモリ、氏名、メールアドレスなどを見ることはできません。
広告主には、広告の表示回数やクリック数など、個人を特定しない集計情報が提供されます。

