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(書評) 最近読んだ本からランダムに⑫---人工建造物を愛でる本たち。トンネル、ダム、階段、鉄塔...

※私が最近読んだという意味で、新刊とは限りません。
記事中の画像は、本の中の写真ではなくイメージです。

追記:noteから。閲覧・スキ、ありがとうございました。


濃い内容の文芸書や、考えさせられる社会派の本等をある程度読むと、私の中の「シリアス部」が満杯になって(⌒-⌒; ) 何も考えずに眺める本に手が伸びます。
赤瀬川原平のトマソンとか路上観察系の本も大好物なんだけど、今回のラインナップはインフラ系(末尾に硬派の本の話も)。
※見出し及び文中の画像は本からではなく、イメージです。

★「日常の絶景 知ってる街の、知らない見方」 八馬 智 (学芸出版社)


著者は工業デザインの教授。建築、デザインを学んでいる人だけでなく、私たち一般人も楽しめる本。ドラマ化もされたとか。

載っているのは、よく見ているものばかり。エアコン室外機、自販機の横の空き缶入れ、建物のパイプ、ダクト、避難階段、通信鉄塔、コンテナ、消波ブロック、放水路、砂防、ダム… 誰もが普段目にしているのに、気に留めないものばかり15項目。

「それらは日常の中に溶け込んでおり、見ようとしなければ見えない、つまり、一般的には「わかりにくい」ものたちである」(本書より)


普段気に留めないそれらを幾つも集めて見せられると、圧倒的な迫力と存在感。元はどれも無機質な ” 機能一点張り " なのに、不思議な緊張感と整然とした美しさに驚くこと請け合い。

通信鉄塔には多数のバリエーションがあるし、消波ブロックの集団が並んでいる大迫力の風景は、SF映画か近未来のようにシュール。

空き缶入れ(リサイクルボックス)は著者いわく「囚われのドロイド」。
よく見ると大きな目のロボットのようにも見えてくる。
右は「もう勘弁」と言っているような…

 出典  (左)  (右)


絶景というと観光地の風光明媚な風景を連想するけれど、見方を変えれば私たちのすぐそばに、絶景たちは普通の顔をして存在している。街は急に不思議空間に変わるのだ。
著者がいわく「見方をわずかに変えると、それまで見えなかった姿が次第に浮かび上がる」。

日常の中の非日常を味わいたいときに。


別の著者の本ですが、こちらもオススメ。パイロン、ブロック塀…


★「世界の魅惑のトンネル」洋泉社編集部編 (洋泉社)


寝る前に見ると、夢で異世界に行きそうな?写真集。

世界の魅力的なトンネル、洞窟、鍾乳洞 等の写真が集められた本。
特にトンネルが多く、90ヵ所以上の芸術的なトンネルが載っている(私は知らないものばかりだった)。


他にもモントリオールの世界最大の地下街(総延長32km)とか、長いトンネルの先に核シェルターのあるディーフェンバンカー冷戦博物館(カナダ)とか、世界で最も美しい炭鉱と言われる、ツォルフェライン炭鉱業遺産群(ドイツ)等の歴史的遺産も載っている。

テクノロジーを結集して人工的に作られたものだけでなく、欧米、アジア等の天然の幻想的な洞窟、鉱山、氷河…自然が作り上げた美しい造形も。
「人が、自然が、偶然が、創り出した造形美」(カバーより)

SF映画の宇宙船には、よくメタリックな長い廊下が出て来ますよね。近未来的なトンネルは本当に宇宙船の内部のようで、眺めていると宇宙のどこかにワープしそうな…。


左は世界最長の道路トンネル、ノルウェーのランダールトンネル。右は中国・上海の外灘観光トンネル


★「ダム」 萩原 雅紀 (文庫ダ・ヴィンチ)

国内唯一のダブルアーチダム。宮城・大倉ダム 。私も2~3回行きました。


著者はダム界の第一人者。ダムカレー、ダムカード等、ダムマニアは多く、ダムの本も多数出ている。これはその中では手に取りやすく、ダムの魅力がコンパクトにまとまっている。

本書には、ダムの基礎知識、ダム用語から、北海道・東北等の東日本を中心にしたダムの写真等、ダムについて知っておきたい事が網羅されている。これを読むとダムビギナーもひと通りの知識が得られる。

ダムにも色んな構造があり、それぞれに違いがあり、全く同じものがない所が魅力のようだ。何と言っても巨大だし。
水が放流される様子は圧巻で、人類の偉業みたいな感慨も。
ただ、ダム建設のために沈んだ村とか、ダム建設に関する抗争等の歴史も忘れてはいけないですよね。



涼を呼ぶダムの放流シーン集


★硬派の本の話も少し

下の本について、きちんとした書評を書く気力体力がないので簡単に。

老いや死について考えるのは、私を含めてあまり楽しくないけれど、これは中高年の方には特に読んでほしいと思った一冊。
誰にでもやってくる老いについて正面から考察された、読み応えのある本。介護をしているorしていた方にも頷ける部分があるかも。
私は、耕治人(作家)と妻の最期についての部分にとても感動した。耕治人は前に山口瞳の本で知った、赤貧の生活をしていた私小説作家。
鶴見俊輔、吉本隆明という” 知の巨人" 二人の老いの実態についても詳しく考察されている。

「ぼくたちはどう老いるか」 高橋源一郎 (朝日新書)


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