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【烏のみちびき】EP.6内なる灯火


内宮を出て、
そのまま熊野那智へ向かうつもりだった。

けれど地図に「瀧原宮」の文字を見つけて、
少し寄り道をすることにした。

着いてみると、驚くほどの静けさ。

杉の巨木に囲まれた長い参道、
脇を流れる水。

内宮とよく似た空気なのに、
人はほとんどいない。

ここは「元伊勢」と呼ばれる場所で、今の内宮ができる前、アマテラスが実際にここに祀られていたという。

二千年前、
倭姫命(やまとひめのみこと)という皇女が、
アマテラスを祀るのにふさわしい土地を探して
旅をしていた。

宮川の急流を渡れずに困っていたところ、
土地の神・真奈胡神(まなごのかみ)が
舟で渡してくれた。

そのお礼に社を建て、
さらに進んだ先の美しい土地に、
アマテラスを祀る宮を建てた。

それがここだ。


境内には若宮神社があった。
水の神を祀るという。

海、月、風、太陽、水。
自然が揃っていることに気づいた。

残るは火か。

けれど、
どこを探しても火の神には出会わない。

しばらく考えて、思った。

外側に見当たらないなら、
探す場所を間違えていたのかもしれない。

火は、すでに自分の中にあったんだ。
最初から灯っていたもの。

伊勢を堪能し、ようやく熊野へ向かう。

第一章、了。

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