【烏のみちびき】EP.12 私という国の、始まりの場所

誰もいなかった。
とても静かな境内で、綺麗に整備されていた。
神武天皇を大和へ導いた、八咫烏を祀る社。
この旅の、原点にいる存在。
導いてくれたことへの感謝を、ここで捧げた。
次に向かったのは大神(おおみわ)神社。
三輪山そのものが御神体という、
日本最古級の社。
人が、とても多かった。
全然知らなかったけれど、
きっとこのあたりでは、
とても愛されている場所なんだろうと感じた。
八咫烏神社の静けさとの落差が、印象的だった。
門前の酒屋で、冷やし甘酒を飲んだ。
旅も中盤。
体に、栄養を注入しておく。
暑さで頭が回らなくなる前に。
夕方、明日香村にきた。
道の駅で泊まることにした。
飛鳥(あすか)こっちの表記もあって、
カラスが飛んでいくというメッセージかな?
来る途中の信号機に
町の名前が書いてあった。
その名も「雷」
一文字で、いかづち。
雷が落ちるんだろうなあ、と思っていたら、
車を停めてゆっくりしていた時に、
ぴかっと光った。すぐ近くだった。
あとで調べたら、
古代からここは雷が降りる場所とされていて、
雷丘(いかづちのおか)という丘まであるらしい。
地名がそのまま。
海、月、風、土、水、火、そして最後に雷。
自分で探しに行ったんじゃなくて、
向こうから落ちてきた。
7/19。橿原神宮。

大きくて、とても洗練された場所だった。
神武東征の、ゴール地点。
八咫烏に導かれた天皇が、ついに即位した場所。
この国の、始まりの場所だ。
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参道を抜けながら、考えていた。
なぜ自分は、
カラスの導きに身を委ねてきたんだろう。
たぶん、自分もまた、
人を導いていきたいからだ。
自分という国を
目に見えないこの領域を
どんどん広げていって、
そこに調和した時間や、
人とのやり取りが生まれるように。
改めて、そう歩んでいこうと思った。
導かれてばかりだと思ってたけど、
いつか導く側になるんだよね。
というか、導かれてる最中に、
もう始まってる。
国のはじまりを見に来たつもりが、
自分の国のはじまりを宣言していた。
私という国の始まり。
境内を出ると、空が明るかった。
昨夜、あんなに雷が落ちていたのに。
第二章、熊野・奈良編 了。
次は、烏が飛び立ち、一気に西へ。
第三章スタートです。
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