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#14_倧きな構想は、どう垂堎になるのか 〜バむオものづくりの珟圚地〜

埮生物で燃料やプラスチックの原料を぀くり、石油ぞの䟝存を枛らす。囜は2023幎床から2032幎床たで、玄2,700億円芏暡の「バむオものづくり革呜掚進事業」を進めおいたす。「革呜」ずいう蚀葉からは、化孊産業の原料が䞀気に眮き換わる未来を想像したす。

ずころが、政府の戊略や䌁業の発衚を远っおいくず、具䜓的な甚途ずしお目に入るのは、釣りのルアヌや化粧品向けの赀い色玠でした。倧きな構想は、こうした小さく芋える甚途から、どのように垂堎ぞ広がるのでしょうか。

以前、私は埮生物からタンパク質を぀くる研究に関わっおいたした。ラボでは手応えがあっおも、量を増やす話になるず、倧きな蚭備ず投資が必芁になる。「぀くれる」の次には、工堎を建おる前に䜕を誰ぞ売るのか、ずいう別の問いがありたした。
今回は、バむオものづくりの技術を網矅するのではなく、どの補品から垂堎ぞ入り、誰が工堎ず需芁を぀なごうずしおいるのかを远っおみたす。


「石油の代わり」を、党郚同時には぀くれない

箄2,700億円は、すでに䜿われた蚭備投資額や垂堎の売䞊ではなく、10幎間の事業芏暡です。察象も埮生物の開発だけではありたせん。原料の調達や前凊理、倧量培逊、回収・粟補、補品評䟡、暙準化たでが含たれおいたす。

政府の「バむオ゚コノミヌ戊略」を読むず、垂堎ぞ入る順番も描かれおいたした。燃料や基瀎化孊品のように、安く倧量に䜿われる補品は、倧きな蚭備が必芁な䞀方で単䟡が䜎く、珟時点では投資を成立させにくい。たずは高付加䟡倀領域に力を入れ、䞭長期で汎甚品ぞ広げるずいう考え方です。

政策資料が高付加䟡倀領域の䟋ずしお挙げるのは、革新的な機胜・性胜や、環境負荷の䜎枛ずいった䟡倀です。今回の事䟋では、玔床や安党性、既存の補造工皋ぞ入れやすいこずも、顧客評䟡ぞ進む条件ずしお芋えおきたす。単に倀段の高い補品、ずいう意味ではなさそうです。

この順番を知るず、バむオものづくりの芋え方が少し倉わりたした。「石油由来の原料を眮き換えられるか」ずいう倧きな問いの前に、「最初にどの甚途なら遞ばれるか」ずいう補品の遞別がある。政策も、䜕でも同時に眮き換えられるずは芋おいたせん。第䞀章の#3氎玠関連の蚘事でたずめたこずず同じ流れのように芋えたす。

ただし、高付加䟡倀品から始める道が唯䞀ずは限りたせん。芏制が先に需芁を぀くる垂堎もありたす。今回は、日本の政策が珟圚、有力な入口ずしお瀺しおいる流れを芋おいきたす。

䞀぀目の道䟡栌以倖の理由から、甚途を぀くる

䞀぀目の道を考える材料ずしお芋たのが、カネカの生分解性バむオポリマヌ「Green Planet」です。怍物油などを原料に、埮生物を䜿っお぀くる玠材で、同瀟は2011幎から生産しおいるず説明しおいたす。珟圚の幎2䞇トンはパむロット生産の蚭備胜力です。ストロヌや袋、カトラリヌ、食品容噚包装材などぞ甚途が広がり、2026幎にはシマノの釣り甚ルアヌにも採甚されたした。

ルアヌは最初の甚途ではなく、生産開始から15幎埌に公衚された甚途拡倧の䞀䟋です。プラスチック垂堎党䜓から芋れば小さくおも、䟡栌以倖の理由で甚途を増やす動きずしお興味を匕かれたした。カネカはGreen Planetに぀いお、海氎䞭でも生分解する特城を挙げおいたす。氎䞭で䜿う釣り具なら、玠材の環境特性ず䜿甚堎面を結び぀けやすい。公衚資料では、ルアヌずしおの操䜜性ず、繰り返し䜿う際の耐久性も評䟡されたずしおいたす。
公衚された評䟡項目は、「バむオ由来か」だけではありたせん。補品ずしおきちんず機胜するこずたで含めお、既存材料から替える理由が組み立おられおいたす。

工堎偎でも、埮生物が玠材を぀くった埌の回収方法が芋盎されおいたした。圓初の溶剀抜出は、倧きな溶剀回収蚭備が必芁になるため、呚囲の菌䜓成分を掗い流す方法ぞ転換したず、開発担圓者が語っおいたす。技術の现郚以䞊に、取り出し方を倉える刀断が、必芁な蚭備ず投資を倉えた点が印象に残りたした。

ただし、蚭備胜力は実際の幎間生産量や販売量ではありたせん。皌働率や採算、ルアヌを含む各甚途の継続賌入量は、今回確認した公開資料からは分かりたせんでした。䞀぀の採甚を垂堎党䜓の普及ずは呌べたせんが、機胜ず䜿甚堎面を組み合わせお甚途を増やす動きは芋えたす。

同じ道の手前にある䟋が、埮生物で぀くる赀い色玠、リコピンです。NEDOなどは2026幎3月、3,000Lでの培逊実蚌に成功し、別途、菌䜓から回収・粟補しお高玔床粉末にする工皋も構築したず発衚したした。化粧品向けの安党性詊隓を通過し、ハリマ化成はサンプル提䟛を始めおいたす。販売開始は2026幎床内の目暙で、継続販売や採算はただ確認できたせん。
リコピンで顧客ぞ枡るのは発酵液ではなく、玔床ず安党性を確かめた赀い粉末です。倧量に安く䜿う原料よりも、色玠ずしおの機胜や品質を評䟡しおもらうずころから垂堎を探しおいるように芋えたす。

Green Planetずリコピンは、補品も進み具合も違いたす。前者は生産開始から耇数甚途ぞの採甚を重ね、埌者はサンプルを通じお最初の顧客を探しおいる段階です。二぀を䞊べるず、䟡栌以倖の理由を説明しやすい補品で評䟡を受け、甚途ず顧客を増やす道が芋えおきたす。ただし、リコピンはただ販売前で、Green Planetも実販売量は非公開です。この道がどこたで量の倧きな垂堎ぞ続くかは確認できたせん。

工堎が先か、䜿い道が先か

甚途が芋぀かっおも、すぐに倧きな垂堎になるわけではありたせん。顧客は、品質ず安定䟛絊が芋えなければ、䞻力補品の原料を替えにくい。䞀方、䟛絊する偎は、どれだけの量が䜕幎間買われるか分からなければ、倧型蚭備ぞ投資しにくい。工堎ず需芁が互いを埅぀関係です。

Green Planetの幎2䞇トンずいう数字も、この関係の途䞭にありたす。蚭備胜力があるこず、実際にその量を生産するこず、芏栌に合う補品を出荷するこず、その量を顧客が継続しお買うこずは、それぞれ別です。
政府の戊略が想定するのは、採甚を別の甚途や顧客ぞ広げ、量産ず䜎コスト化ぞ぀なぐ流れです。最初の甚途が工堎を満たすほど倧きくなくおも、顧客が求める品質や圢を具䜓化できる。泚文が繰り返されれば、蚭備を動かす量が増え、工皋改善の䜙地も生たれたす。

今回の事䟋から確認できたのは、その前半たででした。Green Planetでは耇数の甚途、リコピンではサンプル提䟛たで芋えたすが、継続泚文、実皌働、䟡栌䜎䞋、汎甚品ぞの展開を䞀本の流れずしお瀺す公開情報はありたせん。この先は、確認枈みの結果ではなく、垂堎が広がるための仮説です。
反察に、䞀甚途で止たれば、蚭備胜力がそのたた垂堎の倧きさになるこずはありたせん。新玠材のニュヌスで「幎産○䞇トン」ず「○○に採甚」が別々に発衚される理由も、この二぀がただ結び切っおいないからかもしれたせん。

もう䞀぀の道工堎ず需芁を先に぀なぐ

工堎ず需芁の鶏卵問題に察しお、䞀瀟ですべおを抱えない動きもありたす。
囜内では、関東圏バむオファりンドリに0.25Lから3,000Lたでの蚭備が敎備されおいたす。2025幎6月たでに300Lたたは3,000Lでの怜蚌を終えた7案件では、条件を調敎した結果、委蚗元のラボず同等以䞊の培逊生産性が確認されたした。販売を保蚌する斜蚭ではありたせんが、䌁業が最初から自瀟の倧型工堎を持たず、次の芏暡を確かめる堎所にはなっおいたす。

海倖のQoreは、高付加䟡倀甚途から評䟡を積み䞊げる道ずは別の入口を瀺したす。同瀟が぀くるQIRAは、衣料や暹脂などに䜿われるバむオ由来の1,4-ブタンゞオヌルです。既存の石油由来品ず同じ補造工皋で䜿える䞭間原料ずしお、工堎ず長期需芁を先に぀なぐ組み方です。

発酵技術はGenomaticaから導入し、蟲産物原料ず倧型発酵の基盀を持぀Cargill、化孊品の垂堎開拓を担うHELMが合匁䌚瀟Qoreを蚭立したした。工堎が動く前の2023幎にはBASFずの長期䟛絊契玄が結ばれ、別の関係ずしお、The LYCRA Companyの繊維甚途ぞの採甚方針も公衚されおいたす。技術、原料・補造、垂堎開拓、誘導䜓・繊維甚途が、異なる䌁業関係を通じお先に぀ながれおいたす。

Qoreは2025幎7月に米囜工堎で生産を始めたした。公衚された幎6侇6,000トンは蚭備胜力であり、実生産量や販売量ではありたせん。それでも、工堎が完成しおから買い手を探すのではなく、建蚭䞭から長期調達先を結んだ点は、蚭備投資ず需芁を同時に぀くる方法ずしお読めたす。

Green Planetずリコピンでは、䟡栌以倖の理由を説明しやすい甚途で評䟡を受け、甚途ず顧客を増やす道が芋えたした。Qoreでは、既存甚途を持぀䞭間原料を遞び、工堎皌働前に長期需芁を結ぶ別の道が芋えたす。共甚蚭備ず䌁業間の分業は、どちらの道でも「䞀瀟が埮生物の開発から商甚工堎、顧客開拓たで背負う」ずいう圢を倉えおいたす。

高付加䟡倀品は、汎甚品ぞの橋になるか

今回芋えた垂堎ぞの入り方は、䞀぀ではありたせんでした。Green Planetずリコピンでは、䟡栌以倖の䟡倀を説明しやすい甚途から評䟡を積み、甚途ず顧客を増やす流れがありたす。䞀方、Qoreは、既存工皋ぞ入れやすい䞭間原料を遞び、工堎皌働前に長期需芁を結ぶ別のルヌトです。共通しおいたのは、蚭備胜力だけを先に眮かず、補品仕様ず買い手を工堎に぀なごうずしおいる点でした。

確認した公開情報に限れば、高付加䟡倀甚途から汎甚品ぞ自然に広がったずはただ蚀えたせん。Green Planetでは耇数甚途ぞの採甚、リコピンではサンプル提䟛、Qoreでは生産開始ず長期契玄たで確認できたすが、実販売量、蚭備皌働率、採算は十分に芋えたせん。

これから芋おおきたい数字も、二぀の道で少し違いたす。甚途を積み䞊げる道では、採甚先ず顧客が増えるか、初回評䟡が継続調達ぞ倉わるか、実出荷量が䌞びるか。工堎ず需芁を先に぀なぐ道では、長期契玄が実玍入ぞ倉わり、蚭備が継続しお動くか。その先で、䟡栌ず量で競う汎甚品ぞ近づけるかを远っおみたいず思いたす。

私が研究で感じた蚭備投資の壁を公開事䟋ず重ねるず、その手前には「誰が最初の量を買うのか」、その先には「次の甚途ぞ広がるのか」ずいう垂堎の問いがありたした。
バむオものづくりの珟圚地は、巚倧垂堎が䞀気に眮き換わる盎前ずいうより、甚途を䞀぀ず぀増やす道ず、工堎ず長期需芁を先に぀なぐ道を詊しおいる段階に芋えたす。倧きな原料転換は、䞀本の階段を䞊るのではなく、異なる始たり方を実際の生産ず継続需芁ぞ結べたずきに、垂堎の圢を持぀のかもしれたせん。

出兞メモ

・NEDO「バむオものづくり革呜掚進事業」
・統合むノベヌション戊略掚進䌚議「バむオ゚コノミヌ戊略」2024幎6月
・䞀般財団法人バむオむンダストリヌ協䌚「カネカ生分解性ポリマヌPHBHの開発」
・カネカ「生分解性バむオポリマヌ」、“Biodegradable polymer”、「Green Planet® シマノのルアヌに採甚」
・NEDO「スマヌトセルによる『リコピン』の倧量生産技術を開発したした」、ハリマ化成「䞖界初、リコピンの商甚スケヌルでの培逊実蚌に成功」
・NEDO「関東圏バむオファりンドリにおいお培逊条件怜蚎により生産性3倍でスケヌルアップに成功したした」

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