サカナAIって何?
日経の記事読んで、よくわからなかったので
詳しく調べてみました
サカナAIって何?
日本発のAI企業は、なぜ世界から注目されているのか
「サカナAI」という名前を聞いたことがあるだろうか。
AIに詳しい人なら知っているかもしれない。
しかし、
「サカナって魚のこと?」
「日本のAI企業なの?」
「ChatGPTみたいなもの?」
「結局、何を作っている会社なの?」
という人も多いと思う。
実はサカナAIは、単純に「日本版ChatGPTを作っている会社」というわけではない。
むしろ面白いのは、巨大なAIを正面から作るのではなく、AIそのものの作り方を変えようとしている会社だということだ。
そもそも「サカナAI」とは?
サカナAI(Sakana AI)は、2023年に東京で設立されたAI企業だ。
創業者の一人が、GoogleでAI研究を行っていたデビッド・ハ氏。
そして、機械学習研究で知られるライオン・ジョーンズ氏らが創業に参加している。
会社名の「Sakana」は日本語の「魚」。
一見すると、かなり変わった名前だ。
しかし、この名前には意味がある。
魚は群れを作り、それぞれが巨大な司令塔を持っているわけではない。
一匹一匹は比較的単純な存在でも、集団になると複雑な動きをする。
サカナAIが目指しているAIも、ある意味ではこれに近い。
「ものすごく巨大な1個のAIを作る」のではなく、「複数のAIを組み合わせることで、より賢いシステムを作れないか?」
という発想だ。
ChatGPTとは何が違うのか?
ここが一番重要だ。
ChatGPTのような生成AIでは、基本的に巨大なモデルを大量のデータで学習させる。
ものすごく大量の計算資源が必要になる。
AI競争が激しくなるにつれて、
「もっと大きなモデルを」
「もっと大量のデータを」
「もっと大量のGPUを」
という方向に進んできた。
OpenAI、Google、Anthropic、Metaなどが巨額の資金を投入しているのも、このためだ。
ところがサカナAIは、そこに別の方向から挑もうとしている。
「AIを混ぜる」という発想
サカナAIが世界的に注目されるきっかけの一つになったのが、
AIモデル同士を組み合わせる
という考え方だ。
例えば、
AI Aは文章を書くのが得意。
AI Bは数学が得意。
AI Cはプログラミングが得意。
だったら、
「全部をゼロから学習させて巨大なAIを作るのではなく、既存のAIをうまく組み合わせればいいのでは?」
という発想になる。
これは生物の進化にも少し似ている。
自然界では、必ずしも毎回ゼロから新しい生物が誕生するわけではない。
既存のものが変化し、組み合わさり、環境に適応していく。
サカナAIは、こうした自然界の仕組みをAI開発に応用しようとしている。
「進化するAI」という考え方
サカナAIを理解するうえで重要なのが、
進化
というキーワードだ。
従来のAI開発では、
AIを設計する
大量のデータを集める
GPUで学習させる
性能を測る
改良する
という、人間がかなり細かく設計する方法が中心だった。
サカナAIは、そこに「進化」という考え方を取り入れる。
複数のAIを用意して、
「どの組み合わせが優秀なのか?」
を探索する。
そして良いものを残し、さらに組み合わせる。
生物の進化になぞらえるなら、
突然変異 → 選択 → 改良 → 次世代へ
という流れだ。
AI自身を、ある程度「AIに作らせる」。
これがサカナAIの面白いところだ。
「ダーウィン・ゲーデル・マシン」
サカナAIを語るうえで、もう一つ重要なのが「ダーウィン・ゲーデル・マシン(Darwin Gödel Machine)」だ。
これは、AIエージェントが自分自身を改良していくという考え方につながる研究だ。
普通のプログラムなら、
「人間がコードを書く」
↓
「コンピューターが実行する」
という関係だ。
ところが自己改良型のAIでは、
「AIが自分の仕組みを分析する」
↓
「改良方法を考える」
↓
「改良する」
↓
「改良されたAIでさらに探索する」
というループを作ることができる。
もちろん、現時点でSF映画のように「AIが勝手に無限進化する」という話ではない。
しかし、
AIを人間が完成品として作るのではなく、AI自身に改良させる
という方向性は、これからのAI研究を考えるうえで非常に興味深い。
なぜ「日本発」が注目されるのか?
現在のAI業界を見ると、アメリカ企業の存在感が圧倒的だ。
OpenAI。
Google。
Anthropic。
Meta。
Microsoft。
そしてNVIDIA。
AI開発には巨大なGPU、データセンター、資金、人材が必要になる。
そのため、
「日本企業が世界最先端のAIを作るのは難しいのでは?」
と思われても不思議ではない。
そんな中で登場したのがサカナAIだった。
しかも、
「アメリカ企業と同じ方法で勝負する」のではなく、「そもそもAIの作り方を変える」
というアプローチを取っている。
ここが注目された理由の一つだ。
巨大AIには「お金」がかかる
現在のAI競争で問題になるのが、開発コストだ。
巨大なAIモデルを作ろうとすれば、
・大量のGPU
・巨大なデータセンター
・膨大な電力
・大量のデータ
・AI研究者
・エンジニア
などが必要になる。
つまり、
AI競争=資本力の競争
になりやすい。
GoogleやMicrosoft、Amazon、Metaなどの巨大企業なら、この競争に参加できる。
しかし、すべての企業が同じことをできるわけではない。
そこで、
「もっと少ない計算資源で、もっと効率よくAIを作れないか?」
という研究には大きな意味がある。
サカナAIのアプローチは、ここにもつながっている。
「日本版OpenAI」ではない
サカナAIを説明するとき、
「日本版OpenAI」
と紹介されることがある。
これは分かりやすい反面、少し誤解を生む。
OpenAIの代表的なサービスはChatGPT。
一方、サカナAIは一般ユーザー向けの巨大チャットAIを作ることだけを目的にしているわけではない。
むしろ、
AIの研究開発そのものを効率化する
というところに大きな特徴がある。
だから、
「ChatGPTの日本版がサカナAI」
と考えるより、
「AIをどう作るかを研究している日本発のAI研究企業」
と考えたほうが近い。
そして「小さいAI」にも可能性がある
ここも重要だ。
AIというと、
「巨大なモデルほど賢い」
というイメージがある。
確かに、モデルの規模は重要だ。
しかし、すべての用途で巨大モデルが必要とは限らない。
例えば、
「メールを分類する」
「社内文書を検索する」
「特定業務の手順を確認する」
「工場の異常を検知する」
といった仕事なら、
何でもできる巨大AIより、
特定の仕事に特化した小さなAI
のほうが効率的な場合もある。
サカナAIの研究は、
「巨大な一つのAI」
だけではないAIの未来を考える材料にもなる。
魚の群れとAI
ここで会社名に戻ってみる。
「Sakana」。
魚。
魚の群れは、リーダーが全員に命令して動いているわけではない。
それぞれの魚が周囲を見ながら動く。
しかし、全体として見ると、
まるで一つの巨大な生き物のような動きをすることがある。
これをAIに置き換えると、
「一つの巨大なAIが全部を担当する」
のではなく、
「複数のAIが協調して、一つの大きな知能のように振る舞う」
という考え方になる。
これが「Sakana」という名前にもつながっている。
では、サカナAIはOpenAIに勝てるのか?
ここは冷静に考えたほうがいい。
「日本発のAI企業がOpenAIを倒す!」
という単純な話ではない。
そもそも両社は完全に同じ競技をしているわけではない。
巨大な基盤モデルを作る企業。
AIエージェントを作る企業。
AI半導体を作る企業。
AI研究をする企業。
それぞれ戦っている場所が違う。
だから、
「ChatGPTよりサカナAIのほうが賢い」
という比較をするのも、少し違う。
むしろ面白いのは、
「AIを巨大化する以外にも、AIを進化させる方法があるのではないか」
という問いを投げかけているところだ。
AIの次の競争は「大きさ」だけではない?
これまでのAI競争は、
「どっちのモデルが大きい?」
「どっちのベンチマークが高い?」
「どっちが長い文章を処理できる?」
という方向に進んできた。
しかし今後は、
「AIをどう組み合わせるか」
「AI自身にどう改善させるか」
「どれだけ少ない計算資源で性能を出すか」
「複数のAIをどう協調させるか」
といった競争も重要になってくるかもしれない。
そう考えると、サカナAIは単なる「日本のAI企業」ではない。
AIの進化そのものについて、
別のルートを提案している企業
と見ることができる。
私たちにとって何が面白いのか?
一般ユーザーからすると、
「サカナAIが新しいAIモデルを作った」
と言われても、ChatGPTやClaudeを使っているだけなら、それほどピンとこないかもしれない。
しかし、
AIがAIを作る。
AI同士を組み合わせる。
AI自身が改良方法を探す。
そんな世界が進んでいけば、
「AIを使う人間」
と
「AIを作る人間」
の境界も変わってくる可能性がある。
今までは、
人間がAIを作り、
人間がAIを使っていた。
これからは、
AIがAIを作り、
AIがAIを改善し、
人間がそれを使う。
そんな構造が少しずつ現実になっていくかもしれない。
「サカナAIって何?」への答え
結局、一言で説明するなら、
サカナAIとは、日本発のAI研究企業で、複数のAIを組み合わせたり、進化的な手法を使ったりして、「AIをどう作るか」そのものを研究している会社だ。
ChatGPTのような巨大AIを正面から作るだけではない。
「もっと効率的にAIを作れないか?」
「AI同士を組み合わせたらどうなる?」
「AI自身にAIを改善させたら?」
という発想を研究している。
だから、サカナAIを見るときは、
「日本版ChatGPT」
として見るより、
「AIの作り方そのものを変えようとしている会社」
として見ると面白い。
そして、もしこの方向が大きく発展すれば、
AIの未来は「ひたすら巨大なAIを作る競争」から、
「小さなAIを組み合わせ、進化させ、協調させる競争」
へ変わっていく可能性もある。
魚の群れが、一匹の巨大な魚より強いことがあるように。
AIも「巨大な一匹」より「賢い群れ」のほうが強い。
サカナAIという名前には、そんな未来への発想が込められているのかもしれない。
