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一番小さなドミノから倒したい

一撃でそれを倒せないような問題にぶち当たることが人生ではよくある。
結婚や就職に進学といった人生の一大イベントもそうだし、今日使った食器を洗う気力が起きないなんて日常の小さなイベントもそうだ。たいていの場合、理想的なゴールとそこに至る道筋のようなものだけがうっすらと脳裏に浮かんでいて、その道を歩む気力が無かったりする。
ならどうするか。その大きな壁に向かって延々と徒手空拳を繰り出し続けるのも一つの道ではあるし、壁を見なかったことにして迂回するのも一つの手だ。ただ、前者は非常に疲れる上に成算が立たないし、後者はいずれまた別の壁が目の前に立ちはだかることになる。
ままならない、ね。

だからたいていの場合、一番大きな壁を倒すために二番目に大きな壁を用意することになる。就職という一番最後のドミノを倒すために、その手前に就活というこれまたそれなりに大きめのドミノを立てるわけだ。そしてそのドミノを倒すために、手前にさっきよりもちょっと小さめな三番目のドミノを立てる。これを延々と繰り返していって、最終的に小指で軽く突いただけで倒せるドミノを一番前に並べ、念願かなってそのドミノを人差し指で突く。そうすると、ドミノの波がたどり着くまでに多少時間はかかるかもしれないが、いずれは最後の壁も倒れてくれるわけだ。
迂遠だと思う。だが神ならざる身の人間としては、こういう発想を生かしていくしかない。

ここまで書いてきた脳裏に、「でもそれって、理想的な道筋に沿ってドミノを並べていくのと何が違うの?」という至極当然の問いがはっきりと浮かんできた。確かにそうだ。
そうやって順々にドミノを並べていけるなら、初めから苦労はしない。
一番言いたかったのは、初手に倒すドミノは気軽に倒せるドミノ、それこそ小指で突いて倒せるような気軽にできる行動からスタートしたい、ということだ。よく、テスト前になって急に部屋の片づけを始めたりする人がいるし、何なら俺もそうなのだが、ともかくそういうところから始めたっていいじゃないか。そういうことが言いたい。
テスト前に部屋を片付けたところでおそらく目に見える成果は出ない。だが、その次に並んでいるだろう「実際に手を動かして勉強する」というドミノは、完全に倒れはしないだろうけど少しは傾いたりして多少倒れやすくなっているだろう。多分一歩目はそんなもんでいいのだ。
大目標にたどり着くために工程を逆算して考えよう!的な標語は多い。だが、多いということはそれだけ実現可能性が低く、それゆえに人の心に刺さりやすいのだろう。それよりは、志を低く目線を低く、とりあえず目の前のゴミを捨てるところから始めたっていいんじゃないか。
でもとりあえず、まずはこの膝の上の猫を心行くまで撫でるところから始めようかな。

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