Photo by
ferdinand_ja_jp
バス通りの芙蓉の花
近くのバス停の前の家に植木鉢が並んでいて、大ぶりな花が、毎朝2つか3つ咲いている。
私の背の高さほどもある茎は、まっすぐに伸び、その先に花をふわっとつけている。
混じりけのないピンク色の花びらは、砂埃が舞う灰色のアスファルトのバス通りに、そこだけ清らかに見える。
5枚の大きな花びらの真ん中から、黄色く長い部分が伸びている。
ハイビスカスのようだ。
ハイビスカスよりも、花びらも葉も薄く、触れれば形を崩してしまいそうにふんわりとしている。
帰りの夜には、その花はピンク色を残したまま、軽くねじれたように萎んでいる。
なんという名の花だったかな。
そうだ。
「これは、芙蓉ね」と、小さい頃に一緒に散歩した祖母の言葉を思い出した。
祖母は、子供にもおしゃべりな人ではなかったが、ぽつりと言った祖母の姿を、おぼろげに覚えている。
朝早く、娘の合宿で駅まで送った日も、新しくピンクの花が咲いていた。
スマホを眺めながら歩く娘に「きれいに咲いてるね」と花の方を指した。
娘はにっこりと笑顔を返したが、すぐさま、待ち合わせしている友達とのやり取りに戻った。
娘の忙しい日常も、砂埃が舞うバス通りの芙蓉の花に負けないくらい、キラキラして見えた。
※素敵な芙蓉の写真をお借りしました。ありがとうございます。
