エッセイ「尻に敷かれる潔さ」
世間では、恋愛遍歴が長いヤツほどモテる人だなんて言われているけど冗談じゃないよ。それはただ一人の相手と続かないということでしょう。
本当に恋愛が上手い人間というのは、男も女もね、どちらかが手綱を握ってね、相手を引っ張るくらいの気概がないと長続きしないんだよ。私の知人にも年下の嫁さんがたいそうしっかりしていてね、年上の旦那を尻に敷いて上手く回ってる家庭があるんだ。
そもそもね、結婚なんて赤の他人がひとつ屋根の下で暮らすなんていう乱暴な話なわけだから、夫婦平等なんてことを口の端に乗せては、長続きなんてしないんだ。だからね、結婚するにもしないにも、多少は亭主関白かかかあ天下がいいんだよ。
それでね、自分についてきてくれた恋人なり伴侶には感謝を口に出して伝えればいいんです。そうなれば、「夫婦の役割の平等」が成立するんだからね。
あとはね、お互いの年齢とか容姿だとかね、そんなのは付き合う基準としては必要なんだけど、実際に付き合ってしまえば関係なくなるし、そうならないとこれも長続きしないんだ。私の元の妻なんかも三つ四つ上だったけど、いざ所帯を持てば歳の差なんて瑣末事になってしまうし、私が引っ張ればついてきてくれた。逆に歳下のときは、相手がしっかりしていたからね、これも十以上離れていても対等でしたよ。
「対等だからこそ引っ張り、引っ張られ」という役割分担が成り立つ。まあ、こんなことを言っておいて私も結局は独身なんだけど、それは私にも責任があるわけだから、こればかりは自分が不甲斐ないとしか言えませんよ。一度離婚してしまうとね、やはり、同じことを経験した相手のほうが互いを尊重できるとは思うんだけど、何人会おうが相手にも選ぶ権利がありますから。
結局ね、恋愛にしろ結婚にしろ、相手の顔色ばかりうかがわずにね、自分本位で手綱を握るか握らせるかで潔く腹を括ったほうがいいんだよ。
了
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