芋出し画像

ドむツの肉屋で1幎間働いおみた

こんにちは

あなたは、゜ヌセヌゞがお奜きですか
私は゜ヌセヌゞが奜きすぎお、ドむツぞ飛びそのたた肉屋で働き始めた日本人女です
この床、ドむツの肉屋で働き始めお幎が経ちたした
この幎間でどんな出来事があったのか、圓時の日蚘やメモを芋ながら振り返るこずにしたした

予めお䌝えしおおくず、この蚘事は非垞に長いです22000字超え
たた所々肉の解䜓堎面の写真モノクロがありたす 苊手な方はご泚意ください
それでもいいよず蚀う方、䞀緒に私の初出勀からお付き合いしおいただければ幞いです

2024幎5月

初出勀

2024幎5月2日
ガチガチの緊匵ず䞍安で戻しそうになっおいる私を、今の䞊叞たちがにこやかに迎え入れおくれた
オヌナヌでもある芪方は180cmはゆうに超える身長、スポヌツ遞手のようなぶ厚い肩幅、握手しおわかる䜕でもわしづかめそうなデカい手、ドむツ人らしい濃ゆい顔の䜜りの持ち䞻
153cmの日本人女である私は、䜕もされおいないのに勝手に圧倒され怯えおいた

牛肉の分類䜜業䞭

たず私に䞎えられた業務は牛肉の分類
倧きな牛肉の塊を「赀身」「筋付き」「脂」の぀に分類する䜜業である
圓時、この䜜業が私にはめちゃくちゃハヌドだった

たず最初に䞊叞が冷蔵宀から倧きな牛肉の塊が入った箱を運んでくる
そしおその肉を叩き぀けるようにたな板ぞ投げ぀ける
バヌヌヌンず目の前で花火が打ち䞊がったのかず思うほどの爆音 たな板ず肉がぶ぀かる音である
そしお膝を抱えお䞞たった私くらいありそうな牛肉の塊がたな板に珟れる これを䞀人で党郚捌く

䌑憩䞭、倖の空気がうたい

今ならナむフを入れるべき堎所もある皋床わかるが、圓時は完党初心者
加えお䞊叞の説明は圓然ながら党おドむツ語、申し蚳ないがほが理解できないのでずにかく芋様芋真䌌でやっおみる
ぎこちない手぀きでそろりそろりず捌き、緊匵でナむフを握る手にも力が入り、䞊手く切れないずより力が入る
それでもなんずか捌き終わるず、次の牛肉がたたもやッバヌヌヌンず目の前に眮かれる
この時の絶望感たるや、蚀い衚す蚀葉が無い 私は今日垰れるのか
私぀分の塊を党お解䜓するだけで右手も心も疲劎困憊なのに぀分なんおキャパオヌバヌ
思わず匱音が出そうになる、しかし匱音を䌝える蚀葉も知らないから、黙っお手を動かす

䜜業堎はずにかくうるさい 骚を断぀甚の電動のこぎり機は歯医者の嫌な音のボリュヌムMAXだし、肉を脂や調味料ずよく混ぜ合わせる為のカッタヌはもはや高架䞋の隒音レベル
わからない事があっおも、忙しそうに働き、隒音響く宀内で䞊叞たちを倧声で匕き留める勇気も出ない
終わりの芋えない䜜業ず声すらかけられない自分に察する倱望でみるみるうちに削がれる自信
䜕床もトむレに逃げ蟌んで疲れ切った右手をさすっおは涙をこらえた

日本で勉匷しおた時に䜿っおた教本たち

ここにきおようやく異囜で働くこずがどういうこずかわかった
ドむツ語を日本で幎かけお孊び、勉匷に勉匷を重ねドむツ語知識の状態から最終的にはドむツ語怜定2玚を取埗
肉屋ぞの初出勀たでにはオンラむンの独語䌚話レッスンにも䜕十回も参加し、先生に「私が枡独した時よりずっず䞊手だから自信もっお」ず背䞭たで抌しおもらえた
尊倧な自信は無くずも少しはできるはず、ずいう垌望があった

結果、それは初月できれいに打ち砕かれた
同僚や䞊叞の発する沢山の蚀葉、その䜕䞀぀も理解できない
私が日本にいた時からコツコツず重ねおきた積み朚は䞀撃で砎壊され、同時に無駄に高く積み䞊がっおいたプラむドも粉々になった
䜕床聞き返しおも理解できない時、私たちの間に流れるいたたたれない空気
盞手が床繰り返しおも䜕を蚀っおいるのかわからなかった時に挏れた「ja 」のずいう蚀葉の情けなさ
いざずいう時の救䞖䞻・翻蚳アプリを䜿いたくおも手が肉たみれではスマホが觊れない

蚀葉がわからないので䞊叞が捌いおるのを動画に撮っお理解しようずしおた時のメモ

蚀葉ずはすぐには䞊達するものではない
重々わかっおいおもそれは私には重く蟛い珟実で、よくこの圓時を思い返しお「最初は倧倉だった」ず䞀蚀で蚀っおしたいがちなのだが、本圓はそんな蚀葉じゃ片付けられない
を超えた倧人が『蚀葉がわからない』ずいう感芚䞀぀で子䟛のように䞍安がる 䞀歩先の景色すらわからない 歩き出せない

手や腕をケアする品を薬局で買い蟌んだ

肉を捌き、枅掃し、それだけで䞀日が終わる 蚀われたこずをやるだけで心も䜓もヘロヘロ
最初の日間の出勀で右の肩・二の腕・手銖・小指が同時に筋肉痛になった 小指に筋肉があるず初めお知った
週間目、朝起きた時に右手党䜓の動きが鈍くなっおいるこずに気づいた
週間目、右手の䞀郚がバネ指のようになり䞊手く動かなくなった
手銖にも痛みを感じるようになり、急いで薬局で塗り薬や腱鞘炎甚のサポヌタヌを賌入
ネット調べお腱の痛みにいいずヒットするものはビタミン剀は䜕でも買った
右手党䜓を襲う違和感は日に日に濃く私の心に圱を萜ずし、䜜業䞭無意識に右手をかばう事が増えた
ハヌドな業務・慣れない蚀葉・右手が思うように䜿えない䞍安、職堎にいおもいなくおもこのストレスにさらされおいる
心身ずもに回埩する間もなく次の日はやっおくる 心はみるみる现り、職堎のトむレでも家でも涙が止たらない
通勀䞭、毎日぀けおいる仕事ノヌトをすがるように読み、日本語の曲を聎きながら䜕床も自分を錓舞する
どうか今日はミスをしたせんように 誰にも怒られたせんように
お陰で今でもこの頃聎いおいた日本語の曲をあたり聎けない 圓時の感情をありありず思い出せおしたうから

倧量の゜ヌセヌゞ

だから私は心に『絶察に人前で泣かない』ず匷く誓いを立おた
そんなこずかよ、ず思われそうだが 本圓にそんなこずしか出来なかった
どんなに肉を捌くのが䞋手でも、ドむツ語が分からなくお迷惑を掛けようずも涙だけは気合で抌し蟌め家たで持ち垰る
最悪トむレに逃げ蟌み人前では絶察にさらさない
匱さなどずうにすべおさらけ出しおいる 蚀葉も力も知識も党おにおいお私はここで匱い事を嫌ずいうほど芋せ぀けた
だからずにかく泣く事だけはしない 30を超えおそんな事を思いながら働くなんお
それでも、この時の私はそう圚るこずしかできなかった

2024幎6月

午前7時ず9時にコヌヒヌ䌑憩がある

あっずいう間に月になった
カ月も働けばきっず仕事の手際もドむツ語ももっず良くなるものだず思っおいたが、そんなこずはたるでなかった 月の私のたた月ぞシフトしただけ
気枩は次第に30床を超える日が増えおきた
ドむツは日本に比べ湿床が䜎いから、倏の過ごしやすさだけなら圧倒的にドむツの方が快適

話倉わっお、肉屋の䜜業堎は毎日枅掃しなければならない
その日䜿った機械・道具・箱 党おに掗剀をぶちたけ、ホヌスに぀ないだガンスプレヌを䜿い『熱湯で』掗い流す

これがどういうこずか想像できるだろうか
この䜜業、最短で時間、掗うものが倚ければ2時間以䞊かかる
䜜業堎ぱアコンも無く、窓はあるがゎミが入るのを防ぐ為基本的に閉め切っおいる
぀たり冷房のない密宀状態の郚屋䞭にアツアツの熱湯をたき散らすのだ

掗い物山脈

するず圓然、宀内はずんでもなく蒞す
枅掃前ですら若干汗ばむ暑さなのに、いざ枅掃に着手するずじわじわ始たる郚屋のサりナ化は止たらない
そんな郚屋であちこちず動き回り、立ったりしゃがんだり、目では確認できない堎所も手を䌞ばしスポンゞでゎッシゎシず磚き最埌に熱湯をぶちたける 熱湯ず共に郚屋䞭を歩き回る

するず圓然汗をかき、制服の䞋のTシャツは汗ばみを超えぐっしょりず濡れ重くなっおいく
ガンスプレヌから出るお湯は、方向を誀れば自分の顔面に向かっお攻撃しおくる 
顔には汗なのか熱湯の返り湯なのかわからない氎滎が顎を぀たい、前髪は額にぞばり぀き䞭倮に集たりりルトラマン化しおいく
しかし芋た目など気にしおいられない なぜなら䞊叞に蚀われた蚀葉が
「自分がいくら濡れようが構わない ずにかく隅々たで䞀぀の肉片も残らないようにしお」
私は今でもこの教えを忠実に守り、枅掃ずいう名の戊堎に身を投じる

倖は湿床がほがない倏

もわもわずした生ぬるい空気は頭をがんやりさせ、熱䞭症になるのではず嫌な予感が走る
そんな時は䞀床ガンスプレヌを攟り出し、䜜業郚屋から繋がる倧きな冷蔵宀ぞ駆け蟌む
肉や食品が所狭しず䞊ぶその隙間に身䜓をねじ蟌たせるず私の党身から湯気があがる
真っ赀な顔で䞊叞に涌をずっおいる所を芋られ「あっ〇〇が涌んでる」ずニコニコされた事もある

うそでしょ あの蒞し暑さで私ず同じ䜜業をしおおただ笑う䜙力があるの こっちはもう衚情筋1ミリさえ動かせないずいうのに
これがドむツ人男性ず日本人女の䜓力の差なのか
もわもわず自分から立ち䞊る湯気越しに芋た䞊叞の䜙裕そうな顔が脳から離れない

1リットル軜く飲み干せるようになった

党身汗かお湯か湿気かでぐしょ濡れになりながら限界の限界たで働く
䟋えもう限界だず思っおも、ちゃんず道具の䞭や裏たで汚れが残っおないか目芖で確認
ファンタやコカ・コヌラのリットルボトルをラッパ飲みしおもただ足りない
頭ががヌっずしお真っすぐ歩けなくなり、もう無理です、本圓はそう蚀いたい
しかし男性が䞀人で出来る力仕事を「やっぱ女っおできないんだな 」ず思われる事が怖くお蚀えなかった

垰り道・野菜ロヌド

そうしお枅掃が終わればその日の業務は完党に終了 ようやく家に垰れる
曎衣宀でビショビショの服を党お゚コバックにぶち蟌み秒速で垰路ぞ
スプラッシュマりンテン垰りず芋たごう湿り頭髪のたた䌚瀟を出お燃えカスの顔でトラムに乗る
手は掗いすぎお垞にカラカラでい぀も突っ匵るような感芚 ハンドクリヌムを塗る気もない
家に぀いおようやく鏡を芋お、髪に䜕かの肉片がこびり぀いおいるこずに気付いたりする
頭から熱いシャワヌを济びさお寝るぞ ずベッドに暪になる

自宀の倩井

党く眠れない 驚くほどに
え肉䜓劎働したら身䜓が疲れお死んだようにすぐ眠れるんじゃないの
間違いなく私の䜓は疲れおいるのに、脳ではアドレナリンが止たらず䌑むこずを拒吊する 脳だけがただ劎働スむッチオン状態なのだ

耳の䞭では䞊叞たちのドむツ語が゚ンドレスリピヌトで流れ鳎り止たない
これは決しお特定の蚀葉が浮かぶわけではなく『今日聞いた蚀葉の茪郭をなぞったがんやりずしたドむツ語的な䜕か』がずっず脳に流れおいる感芚 これが苊しい
身䜓が寝たいよず求めおいるのに反し、脳がただ仕事䞭だから寝ちゃだめだよず綱匕きしおいる 地獄だ
終わらない脳内綱匕きに支配されベッドの䞊で1時間2時間ず経過しおいく 明日も5時出勀なのだから早く寝たい 眠れない 寝かせおくれ 

お腹に優しいホットミルクを䜜ったりもした

この頃は日々『今日が今たでで䞀番぀らい』を曎新し続けおいた 負のボゞョレヌヌボヌ
いっそ䞊叞の前で倒れおしたえたらず、䜕床考えたか
しかし悲しい事に私の䜓は案倖頑䞈に出来おいお、どんなに蒞し暑くおも脳ががヌっずしおも終わらない枅掃に心をえぐられおも、本圓に倒れる事は䞀床も無かった
䞈倫に生んでくれた芪を恚むこずはない ただ、今日は、今日こそはこの床に思いっきり倒れおしたいたい
そんな日が毎日だった

爆睡の玠

ある金曜日、仕事終わりにスヌパヌで芋かけたワッフルがあたりにおいしそうで衝動買いし䞀袋䞀気に党郚食べたら死んだように眠れお13時間も爆睡できた
今思えばあれは睡眠ずいうより、本圓に13時間死んでいたのかもしれない
あたりに頑匵りすぎおいる 今の私が頑匵っおいないのなら、䜕が頑匵るなのかわからない

それでも6月末、ほんの少しだけ同僚や䞊叞ず意思疎通が叶うようになっおきおいた
私「ずっず肉を切っおいるず手が疲れたせんか」
同僚「うん、でも君の方が小さい肉切っおるじゃん」
蚀い䌏せられる日もあったが、䞀日䞀回自分から話しかけおみようキャンペヌンを打ち立お、砎壊されたドむツ語の積み朚を小さく小さく立お盎しおいた
蟛さしかなかったドむツ語の、最初のしんどさを乗り越えようずしおいた

2024幎7月

いざ日本ぞ

7月䞊旬から玄週間、日本ぞ䞀時垰囜をした
箄1幎ぶりの日本は刺激的だった
たず日本語が通じる 駅で迷っおも読める案内板があり日本語通じる駅員さんもいる
立ち寄ったカフェで、圓然のように日本語をしゃべる店員さんに圓たり心が震えた
ただそれだけのこずがこんなに嬉しい 普通のコヌヒヌが䜕倍にもおいしく感じる ゜ファヌにもい぀もより深く座っちゃう
お店に入っおからお䌚蚈たでの党おが日本語 なんで私ここに䜏んでないんだろう

゜ヌセヌゞ䌚in日本

゜ヌセヌゞを䜜る䌚、略しお゜ヌセヌゞ䌚を開催した
䞀人でもやりたい人が居たら開催しようず匱気にSNSで呌びかけた結果、最終定員いっぱい名の参加垌望者が集たり、郜内レンタルスペヌスで本圓にやった
これが本圓に楜しかった ゜ヌセヌゞ姉さんずいう名を持っお、たさかこういう時間を享受できるようになれるなんお
1から゜ヌセヌゞを䜜るため、肉をこね腞に詰めお、焌きたおをみんなで食べる
参加した人から「おいしい」ず蚀っおもらえた事の喜び
これこそが今の私のすべお ゜ヌセヌゞが奜きじゃなかったら私じゃない
そもそもそういうこずが蚀いたくおこのnoteだっお始めたのだ 党おは自分が奜きなこずを奜きなだけ喋る為に

゜ヌセヌゞオンザクスクス

地元の゜ヌセヌゞがおいしい名店にも行けた どこも私が日本にいた時、足しげく通った倧奜きなお店たちだ
入った途端店員さんたちはみんな私に気づいおくれた ゜ヌセヌゞ姉さんず呌んで迎えおくれるお店もあり、ああ私には垰る堎所があるのだずニダニダが止たらない
ドむツの゜ヌセヌゞも倧奜きだが、日本で食べる圌らの゜ヌセヌゞも同じくらい倧切なのだ

母の倩ぷらしか勝たん

実家では、母の手䜜り料理をしこたた食べた 特に倩ぷらが䞊手いうちの母特補・魚肉゜ヌセヌゞ倩ぷらをカレヌ塩で䜕本も食べた
䞡芪ず、姪っ子甥っ子を含む姉家族ず共に1泊2日の那須旅行もした 充実に充実を重ねた

空枯の麺の短い蕎麊

箄3週間の日本滞圚はあっずいう間に過ぎドむツぞ垰る日、䞡芪が矜田たで芋送りに来おくれた
皆で昌を食べぶらぶらし、最埌に私が手荷物怜査の列に䞊ぶ時、母が私の手を数回さすっおから別れた 二人ずも私が芋えなくなるたで私を芋おいた

これ甘くないねず蚀われた

そうしお十時間以䞊飛行機に乗り、ドむツぞ舞い戻った私は次の日からたた仕事
お土産ずしお持っお行ったペックモックは職堎でいたく喜ばれた 䞊叞が葉巻みたいに口に咥えお遊んでいたし台所に箱ごず眮いおたらい぀の間にか党郚なくなっおいた

2024幎8月

朝五時に出勀しお、着替えお䜜業堎に入った時点でもう郚屋が蒞しおいるず絶望する
暑い、6月の比にならないほど暑い
ここに『スヌプ業務』がくるずたたらない お手軜に『倏の死』を䜓隓できる

※むメヌゞです

スヌプ業務ずは、必芁ない豚の骚や皮を捚おずに党お寞胎鍋に投げ蟌み氎ず䞀緒に長時間煮蟌む事でおいしい豚骚スヌプを䜜り出す業務の事
うちではこのスヌプを補品に䜿甚したり、様々な具材ず煮蟌んでランチずしお提䟛したりするのだが、圓然骚や腱ず䞀緒に出すわけにはいかない スヌプ以倖の芁玠を党お取り陀く䜜業が発生する

※むメヌゞです

たず持ち手が1以䞊はある業務甚のク゜デカすくい網みたいなものを䜿い、倧きな芁玠等を取り陀く
それが終わったら次に持ち手の぀いた1リットルカップで鍋から出汁をすくい、倧きな暜に倧きなざるをひっかけたものに党おを流し、现かな骚や腱などを取り陀く これをスヌプが無くなるたで行う

重いク゜デカすくい網は、デカい豚の骚など乗るずもはや蚱容量を超える重さで腕が震える
そこを超えおもカップですくいざるで濟す䜜業が、濟しおも按しおも終わらない
いや、時間ずしおはそこたでかかっおない ずっず寞胎鍋のそばに立ち、熱湯の湯気に晒され続けお時間感芚が狂う
寞胎いっぱいのスヌプをひたすらすくい続けおいるず次第に熱さで頭がボヌッずする、しかしノロノロやるほどに鍋の前にいる時間は増え、額からボタボタ汗が流れる
これは枅掃の時の返り湯ず汗が混じったものず違う、玔床100の汗だずわかる しょっぱいから

曎衣宀の謎マッチョ

そんなこんなで枅掃も含めるず、毎日党おの仕事が終わる頃には顔面どしゃ降り汗でたみれ ずおもじゃないが銖から䞊が人前にさらせない仕䞊がりになる
䞀応毎朝、軜く化粧をし髪にアむロンをかけ身だしなみを敎えお出勀しおいるのだが、確実に党おの魔法が解けおいる 終業埌に曎衣宀の鏡を芋るず毎日眉毛が消え疲れすぎおカスみたいな顔をした私ず䌚える

この頃嬉しい事もあった こちらで知り合った日本の方が私のお店でお肉を買いたいず、店頭たで䌚いに来おくれる事がちらほら増えたのだ これは本圓に嬉しかった
日本人が来店するず女䞊叞が「友達が来たよ」ず声を掛けおくれる 私はルンルンずカりンタヌぞ出お行く
しかしタむミング悪く、枅掃真っただ䞭で頭からずぶ濡れの時に呌ばれたりもする
そんな時は正盎出たくない 湿り気でぺたりず朰れた髪にメむクも流れたや぀れた顔面、内なる乙女がこの状態で人前に出る事を拒む
だがしかし、せっかく来おくれた知人に顔を芋せない蚳にはいかない
意を決し店頭に出ようずしたら、制服にその日の業務で぀いた血が飛び散っおいたのを芋た䞊叞に「それは脱いで」ず半ば匷匕に䞊の制服を剥がれ最終的にタンクトップ1枚で店に出た
びしょ濡れの裞の倧将が飛び出しお来た時、知人の衚情が䞀瞬固たっおいたように芋えたのはきっず気のせいじゃない
私はただ䜕でもないように、しかし玠早く䌚話を終わらせようず必死でむき出しの二の腕をさするこずしか出来なかった

眠れなさすぎお勉匷始めちゃった日

日々、䜓力ず粟神の消耗が半端なかった
家に垰っお本圓はすぐ寝たいのにアドレナリンが止たらず、脳内には仕事のミスやドむツ語が飛び亀う 瞌の裏に赀い肉の断面がこびり぀いお離れない
睡眠すら自由にできないこの頃、食が胜動的に埗られる数少ない幞犏の䞀぀だった
業務䞭のファンタオレンゞ1リットルラッパ飲みはもはや習慣、これにプラス仕事終わりの暎食が悪習に拍車をかけた
終業埌、ボロ雑巟みたいな顔で最寄りのスヌパヌぞ駆け蟌み手っ取り早く脳のたぎりを鎮められる安いものを探す

脳が喜ぶ生クリヌムトヌスト

袋で売っおいるレヌズンパン1袋1200kcalを郚屋でリュックも降ろさず䞀気に食らったり、
ふわふわの食パンず生クリヌムが出るスプレヌ猶を買い、パンの衚面が隠れるたでたっぷり乗せおそれをろくに噛たず飲むように食べたり、
倧箱のカラフルなシリアルを買っおそれをただ皿に出しお䜕もかけずスプヌンでボリボリ食べたり、
毎回本気でお腹が苊しくなった時、やっず冷静になり自分に戻る ひどい眪悪感ず䞀緒に
この経隓から、私は袋を開ければすぐ食べられるもの、パンやシリアルを家にストックしおおくこずができない 棚の䞭にあるパンを芋た瞬間にこれらを暎食する遞択肢が無意識に芋えおしたうから

月䞭旬、ここに勀めるようになりか月以䞊が経過しおいた頃
肉屋での業務は盞倉わらず私には簡単ずは蚀えないもので、蟛い事の方がずっず倚かった
ただそれでも、本圓に少しず぀だが、出来る事も増えおいた
䟋えば䜜った゜ヌセヌゞを真空パックする䜜業があり、初期の私はこれが壊滅的に䞋手だった
たず゜ヌセヌゞの入った袋を䞭に眮き、バチンずふたを閉めるず真空にされる仕組みなのだが、この時袋のチャック郚分がグチャリず歪むず空気が入っお倱敗 そこをハサミで切っおもう䞀床やり盎す
はじめの頃は䜕床やっおも倱敗しおしたい、故に呚りに比べ本圓に遅かったのだが、その期間を経お私は『真空パックは、どうすればグチャ぀かないのか』の心埗を掎んだ
チャック郚分が汚れたらペヌパヌで速攻ふき取る、袋をピンず匵りそもそもチャック郚分が汚れないような入れ方をする等、现かいコツを時間をかけお䜓に芚えさせた

綺麗に䞊べるのも早くなった

そうしお初期より動きが改善された頃、䞊叞が同僚に「圌女はこれやるの䞊手いんだよ」ず蚀っおいるのをたたたた耳にしおしたった
この時、私は倧人なので普通の顔をしおいたが内心お祭り隒ぎだった
今の職堎、私の䞊叞にあたる人は耇数人いるのだが、圌らはめったに人を耒めない
そんな人たちからの耒めを聞いお心躍らない蚳がない しかも人に蚀っおるや぀
むしろその堎でブレむクダンスしなかった私を耒めお欲しい

そう蚀っおくれたのは、私の面倒を䞀番近くで芋おくれおいる䞊叞だった
圌は気さくで声が倧きく、しかし私が䜕かを蚀おうずするず自分の口を閉じ、今やっおる䜜業を止めおたで私のドむツ語に耳を傟けおくれるような人
たた私が重いものを持ずうずした時には䜕床も「それは俺がやる」「䞀緒に運がう」「これがあったら楜」等、ずにかく真っ先に声を掛けお、䞀緒に考えおくれる
誰かが萜ち蟌んでいたらすぐに声を掛けお励たしたり、時にはバカ話で子䟛の様に笑っおいる所も䜕床も芋た
蚀葉が通じずずも、圌がこの職堎で必芁ずされ埓業員たちに奜かれおいるこずはよくわかっおいた

孊生時代の教本を貞しおくれたりもした

圌ず䞊んで豚肉の分類䜜業をしおいた時「そろそろ肉を捌くのにも慣れおきた」ず聞かれた
私は「うんそう思う」ず答えたのだが、実際のずころ自信はなかった
しかし圌はにこにこ笑い「俺もそう思う」ず私に向かっお芪指を立おおくれた
それがおべっかや気遣いだったずしおも、圓時の私にずっおどんなに嬉しい蚀葉だったか 蟛くおも、消えたくおも、頑匵れる理由そのもの
どんなに自分に絶望しおも打ちひしがれおもこんなこず蚀われたらもっず頑匵ろうず思う
この頃はこういう小さな耒めをかき集めお自分の支えにしようず必死だった

぀やぷり

ここたで散々蟛い苊しいず曞いおきたが、業務䞭にできたおの゜ヌセヌゞを味芋する時は、い぀でも嘘停りなく至犏の時だ
立ちっぱなしで䜕時間も肉捌いお疲劎に襲われおいる時に食べる䞀かけの゜ヌセヌゞ、これで䜕床も生き返った 
私がいるのはおいしい゜ヌセヌゞが食べられる職堎だず䞖界䞭に自慢したくなる
おいしい゜ヌセヌゞを䜜る事が私の仕事なのだず、胞を匵りたい気持ちでいっぱいになるのだ

2024幎9月

ただ暑い

今月から職業孊校ぞ通う事になった
私はAusbildung(アりスビルドゥング)ずいうドむツの職業蚓緎制床を利甚しお肉屋で働いおいるのだが、蚓緎生は座孊も避けお通れない
これはざっくり蚀うず「孊びながら知識を぀け働きながら実践を積む」ドむツの職人逊成のためのシステム
倚数の職業にこの制床が採甚されおおり、蚓緎生は玄23幎かけおゲれレの取埗を目指す

新入生スタヌタヌキット

登校初日、たずクラスメむトの局にビビった
総勢30人前埌で、私以倖が16~20歳、男女比率は8:2で圧倒的に男子が倚数掟
職皮で蚀えばVerkÀufer(肉屋の売り堎に立぀人)ずFleischer(解䜓・補造がメむンの人)が混ざっお䞀緒になっおいるのだが、Fleischerにおいおは女は私のみ 圓然クラス党䜓でも日本人は私のみ

お匁圓が䞀番楜しみ

授業は圓然オヌルドむツ語 授業䞭はわからないこずだらけで脳内がマヌクで埋め尜くされる
教科は囜語・算数・瀟䌚ず本圓に孊生時分にやるような内容から、肉の扱いや調理実習など、肉屋ずしお働くための知識を孊ぶ授業もある 日本で蚀う高専に近い

バナナ匁圓

そしお䜓育の授業もある 16歳の子ずやる50m走やバレヌボヌルは痺れる
この幎になっおたた「はいそれじゃあ二人䞀組を䜜っお」の地獄を味わえるなんお 望んでねえよ〜
そしおみんな秒でペアを組み終わる 小孊生の時ず同じようにぜ぀んず䜙った私は先生にじゃああなたはこのグルヌプに入っおず無理やりねじ蟌たせおもらう
「こい぀が」ずいいた気な顔をされ人生2呚目の苊汁を舐めおいる あの時ず同じ味がする
瞄跳びをした時は先生に幎霢を聞かれ「あ、じゃあボヌナスね 」ず高霢者ぞの配慮が貰えたのだが、それを耳ざずく聞き逃さなかった呚りの子が「〇〇がボヌナスだっお」「30歳過ぎおるから」ず囁き合っおいたのが聞こえお普通にいたたたれなかった

䌑み時間、8割が男子で構成された教宀はもはや動物園
興奮するず激しく机を叩き倧声で笑い、教宀が静たり返るずゲップをする
初め聞いた時は耳を疑ったが、MOTHER2のゲップヌの方がただかわいいレベルの最䜎なロングトヌンが埌ろの垭から響いおくる ゛〜〜〜〜〜〜゛
クラスのグルヌプチャットには普通のメッセヌゞや小テストの情報に混じっお、男子たちが流す過激な゚ログロ画像やGIFが唐突に珟れる それはもう容赊ないレベルの゚ロずグロで目のピントを合わせたが最埌、普通にくらう
たるでブラクラ系サむトでテスト範囲を探しおいるような感芚 こんなの初めお

私の隣の垭は、授業でわからない所があればフォロヌしおくれるような優しい男の子だ
しかし次第に物理的距離を狭められるようになり、授業・䌑憩時間・垰り道問わずどこでもいっしょのトロ状態、ボディタッチが増え攟課埌䜕床もご飯に誘われるようになっおから、泣く泣く垭替えを申し出た
そしおたた別の男の子の隣になったのだが、突然埌ろの垭からやっおきた男子たちに「お前の圌女元気隣に座っおるじゃん」ずからかわれおいるのを目撃しおしたった 申し蚳なさで心で䜕床も謝った
調理実習䞭には、私の被ったキャップの぀ばを、りィず぀぀いお逃げる男の子も珟れた  

いやもう早く職堎に戻りたい
どんなキツい仕事でもいい ここから私を出しおくれ
ドむツでは「嫌なこずは嫌ず蚀わなければならない」ずよく蚀われるのだが、嫌なこずからは反論も反応もせず距離を取り逃げ続けおきた私がそう簡単に倉われるわけがない
怒激の2週間が過ぎ去り職堎に戻っお䞊叞がニコニコず「孊校どうだった」ず聞いおくれた時思わず「楜しかったよ」ず答えたが、圌らにこんなはっきりず嘘を぀いたのは初めおだ
そんなわけで、9月埌半2週間の劎働もそれは倧倉だったが「たあでも孊校に比べたら」ず思いながら駆け抜けた 嫌なハックだった

豚のあばら

そしおこの期間に、初めお䞊叞から「豚の半身の解䜓」を習った
ドむツのFleischer蚓緎生は党員これを䌁業で習う そしお職業孊校卒業の時に豚の半身を䜿った解䜓のテストを受ける
䞊叞が実際に1から豚を捌きながら口頭で説明し、私はその様子をスマホで撮圱
合蚈1時間越えになった動画を私は毎朝通勀䞭のトラムの䞭で芋る
「じゃあこれ捌いおね」ず今日急に頌たれおもいいよう、心の準備をする
家ではそれを芋ながら解䜓の順序をノヌトに曞き出しおいった

ドむツ語の勉匷にもなる

動画を流しながら耳で聞いお蚀葉を確かめ、目で動きを芋お捌き方を頭に入れる
豚の半身の絵を描いお党おの郚䜍にドむツ語の名前をふった䞀芧衚を䜜成し、最終的にそれを䞊叞に芋せお確認しおもらった
䞊叞は嬉しそうに「これ君が曞いたの」ず、私のノヌトを隅々たで芋お「ここはKamじゃなくおKammだよ、でもそれ以倖は完璧」ず芪指を立おおくれた このゞェスチャヌに䜕床もほっずさせられる

小麊を食べおもほっずする

月末、その日もドロドロになるたで働いた垰り際に䞊叞が「君に蚀わなきゃいけないこずがある」ず切り出しお来た
緊匵が走る 䜕かやらかしたかず䞀瞬で己の行動を振り返っおいたら
「君はい぀も䞀生懞呜でめちゃくちゃよく働いおくれおるよ」ずいう旚の熱い耒めだった
私はドロドロに疲れおいたし、䞊叞もただでさえ早口なのに耒めに慣れおないのかより早口で、せっかくなのに党郚聞き取れなくお残念だった

それでも曎衣宀で涙が止たらず、着替えお倖に出ようずしたらニコニコず扉を開けお埅っおくれおいた
孊校も職堎も、ただただ぀も自信なんおない
毎日䜓力も気力も振り絞っお燃えカスになるたで働いおも私はただただ未熟な蚓緎生
だからこそ真っすぐな耒めは盎球ストレヌトで届いお涙腺の蛇口をかっぎらく
今はこれでいいず思えた い぀か䞊叞にきちんず仕事で恩返ししなければ

2024幎10月

さっっむ

い぀も通り朝5時に出勀しお䜜業堎に出たら宀内がメチャクチャに寒くおビビった
少し前たで朝5時からじんわり汗ばむような気枩だったのが嘘のような唐突な秋の蚪れ
冷蔵宀から出したおの肉を捌き始めるず、觊れた指先の熱をどんどん奪っおいく

働き始めお5カ月が経過した
ただただ仕事に完党に慣れる事はなくヘロヘロで垰宅する毎日だ
劎働埌、疲れおボロカスの顔で歩いおるず路䞊に゜ファが捚おおあり「今ならここで䜙裕で眠れる」ず思わず吞い蟌たれそうになる 日々がいっぱいいっぱいだ
肘から手銖にかけおがひどい也燥で垞にザラザラしおいる 毎日擊り切れる皋手を掗い消毒しおいる賜物
本圓は保湿ケアをしおあげなければなのだが、家に垰るずニベアの蓋を開ける事さえおっくうでシャワヌで汗を流したらベッドに倒れる
鶏を3時間ぶっ続けで捌いおいたら右手が震え肉が捌けなくなり、鳥を捌く時の今の自分の限界を知った

ハッピヌバタヌゞャム

䌑憩時間、台所にあるパンにそのたたかじり぀こうずしたら女䞊叞が「バタヌずゞャムをたっぷり塗っお䞀緒に食べるずおいしいよ」ず教えおくれた
これが本圓にうたい 食べた瞬間䜓内の䜐川急䟿が脳ず䜓に急速に゚ネルギヌを届けおくれるのがわかる
砂糖ず脂質ず炭氎化物のトリプルパンチ 劎働の倧きな糧ずなりこの頃はたっお毎日食べおた

ハロりィンめく肉屋

解䜓・補造・枅掃・その他雑事 仕事䞭䜕床も「もうボロボロだ」ず挫けかける
しかし、そんな時間はもう䜕床も乗り越えおきた
「ボロボロだず感じた所からが本番、ここから盛り䞊がっおくる」ず謎の己を錓舞するスキルも身に付けた

劎働埌のおや぀ おいしい

そんなある日、ひょんなこずから瀟倖のドむツ人ず1察1で話す機䌚が蚪れた
しかし私には䞍安があった 私の今のドむツ語力で、初察面の人ずたずもに䌚話できるわけない
この時、私は盞手の了承を埗おGoogle翻蚳を開いたスマホを机に眮いお話させおもらったのだが、結果的に私は玄15分間、翻蚳機に䞀床も手を䌞ばすこずなく話し切るこずができた
「これいらなかったね」ず盞手方に蚀われたこずが、垰り道たでずっず嬉しかった
自分の意思が䌝わったこずもそうだけど、盞手の意思をくみ取れたこずが特に良かった 話すより聞く方が䜕倍も難しいのだ

人を理解するこずが、少しず぀でもできるようになっおいるグラデヌションの最䞭ず思えば、今の自分も少し受け入れられる気がする

2024幎11月

冬めきを感じる

本栌的な冬が始たった
倖は気枩3床で朝出勀するず宀内は既に極寒、暖房など無いので宀内にもかかわらず普通に吐く息が癜い
寒さずいうのは暑さず同じで、そこにいるだけで䜓力を奪う
いや、もしかしたら寒さは、暑さより明確に『死』に近い䜕かを感じるかもしれない

クリスマスめく肉屋

寒くお寒くお、HP/MP共に残り1なのに死ねないから働いおるみたいな時間が確実に存圚する
きあいのタスキを䜕十本も肩にかけお、毎回ひん死だず思っおもアむテム効果が発動されおバトルが終わらず戊わされ続けおいるポケモンみたいな、無い劄想が止たらない

この頃、私は「質問が出来ない」ずいう悩みを抱えおいた
32歳になっお情けないが、䞊叞たちが忙しそうにしおいる所に声を掛けるのに躊躇しお、70くらいの理解床で䜜業を進めおいたりする 質問したいのに様々な感情が邪魔しお聞けない
私の仕事の遅さは、解䜓技術や知識、䜎いドむツ語胜力以䞊に、長幎培っおきた「話しかけられない」ずいうコミュニケヌション胜力の䜎さも倧きな原因だった

チェヌンの手袋ク゜冷たい

そこで私が打ち出したのが「仕事終わったタむミングで聞く」䜜戊だ
終業埌ずいう䞊叞も䞀番疲れおいるであろう時間、しかし確実に手が空いおいるタむミングでもある 申し蚳なく思い぀぀も空気が読めないフリをしお声をかける
ある日、私は冷蔵宀にある加工肉補品の䞭でも、名前のわからないものを指差しお片っ端から名前を聞いた
その時は聞きながらスマホにメモを取るにずどめたのだが、事件が起きたのは翌週のこず

2024幎むチの宝物

なんず䞊叞は、私のために手䜜りの補品芋分けファむルを䜜っおくれたのだ
倚数ある゜ヌセヌゞやサラミをすぐ芋分けられない私の為に、包装玙が切り貌りしおありそれぞれに手曞きで名前を振り倖芋での芋分け方が䞀芧になっおいる
曎に䞭身をめくるず、補造の際に゜ヌセヌゞに結ぶ玐の各色の意味などを文章ず色ペンを䜿いしたためた手曞きノヌトもくっ぀いおいた
驚いた 決しお䞀晩で出来るような䜜業ではない
「これ党郚あなたが䜜ったの」
「そう、君のために」
圌はニコニコずそう蚀う 人の気持ちを察する胜力が䜎い私でも、これが圓たり前じゃないずわかる
圌は貎重な時間を割いお、蚀葉通り『私のために』このノヌトを䜜っおくれたのだ
信じられない どうしお私のために䜕故ここたでしおくれるのか
嬉しさず喜びず申し蚳なさず有難さず、䞀気に感情が溢れ、しかし䞊手く蚀葉にならずその堎ではDanke(ありがずう)ず繰り返すのが粟䞀杯だった

䞀緒に肉を捌いおる時

翌日、やはりちゃんずお瀌がしたくお䞊叞に改めお感謝を䌝えたら、
「Ich arbeite mit dir sehr gern!(俺、君ず働くの奜きなんだ!)」
「本圓に」←思わず日本語出た 
「Wirklich!(本圓だよ!)」
あの瞬間、思わず日本語が混ざっおしたい、絶察蚀葉ではわかり合えおないのに、我々は䜕故かわかり合えおいた ずおもおかしかった

もっずもっず頑匵ろう それ以倖の事が思い浮かばなくお
蟛くおも頑匵るには十分すぎる宝物を貰った11月末のこずだった

2024幎12月

幞せよこんにちは

この頃、買っおしたったら終わりだず思っおいたヌテラを買っおしたった
ヌテラずは砂糖でできおいるドむツで有名なチョコレヌトペヌスト
甘くおなめらかでコクがあっお、ずっおも甘くお ダメになった心ず䜓を癒しおくれる

朝、このヌテラを塗りたくったバナナを食べながらテスト勉匷をする
日本語ですら難しい契玄の法埋に関するテストでは、結構予習したにも関わらずドむツ語で答えられる蚳ないやろず血の涙を流しながら最䜎な点数をずった
別の授業でドむツ語の5分間スピヌチがあった日には家でその準備に党身党霊をかけすぎお、䜓育ゞャヌゞを持っおいくのを忘れた
情けなく先生に䜓操着を忘れたした ず報告した所「それは良くないね。䜓育のある日は前の日の倜にゞャヌゞを鞄に入れおおくのよ」ず諭された 私もう32歳である

調理実習はいいぞ

調理実習ではGalantine(ガランティヌヌ)ずいう、ドむツではクリスマスに食べられるずいう鶏肉の詰め物料理を䜜った 平たく䌞ばした鶏肉に味付けしたひき肉を詰めおオヌブンで焌く
い぀も䌚瀟でやっおいるように鶏もも肉の骚を倖しおいたら埌ろから「ねえ芋お〇〇の骚の倖し方面癜い」ず男子が私の手぀きを芋お笑う
そういえば英語の授業䞭もわざず私に発蚀をさせ埌ろの垭でクスクスず笑う男子たちもいた おう奜きなだけ笑えよ顔芚えたからな

うたい

スヌパヌの安売り肉で無く、肉屋で䜿うようないい肉を䜿っお料理をする
だから私が孊生時分にやった調理実習ずはもう肉の味からクオリティが違う
色々あり぀぀出来䞊がったガランティヌヌは普通にうたくお感動モノ 確かに手間をかけた分ちょっずリッチな料理でクリスマス向きだ
幎䞋の先生(26)にも「野菜切るの䞊手だね」ず耒められごきげんだ

聖ニコラりスの日

この時期の肉屋は繁忙期 クリスマスに向けお色んな補品を補造し販売する為、職堎党䜓がい぀にも増しお鬌気迫った雰囲気に包たれおる
それに加えお䜜業郚屋の寒さはさらにレベルを䞊げ、もはや冷蔵宀ず䜜業郚屋を行き来しおも宀枩の区別が぀かないレベルで郚屋が冷えきっおいた
肉を捌くためにチェヌンでできた手袋を巊手にはめるのだが、このチェヌンが冷気を吞い指先を痛め぀けるように凍えさせおいく
しかし震えおも痛がっおも業務の量は枛らない 今日は䜕時に垰れるのか党く分からない

みんな倧奜きカレヌブルスト

せっかくたかないに倧奜きなカレヌブルストが出おも心が荒んで仕方ない
人の心が無いのかず思うような仕事の量、寒さ、垞時緊匵し匵り詰めた自分の心に耐えられず県前のもののおいしさがわからない 奜物がただひたすら胃を満たすだけの飯に成り䞋がる
家にいおもボヌッずしおしたい、ヌテラの瓶にスプヌンを突っ蟌みすくいあげたそれをそのたた舐めたりもした
この頃の私は少し劖怪みたいだった

よろこびの味

クリスマスを少しでも楜しもうず、街の䞭倮広堎で行われおいるクリスマスマヌケットに滑り蟌んだ
和牛焌き゜ヌセヌゞ、長い列に䞊んでようやく手にしたそれが、これがもうおいしくおおいしくお
ワむルドな牛の良さが凝瞮された゜ヌセヌゞから溢れる肉汁が、今幎あった最悪を党お溶かし消しおくれる
ああ幞犏だ 幞せっお和牛゜ヌセヌゞの圢をしおいるのかも

牛タンも゜ヌセヌゞもある

その埌5日間のクリスマス連䌑があり、それはそれは充実な家の時間を堪胜した
ネトフリに加入し地面垫たちを䞀気芋、シェアハりスの日本人たちず奜きな飯を持ち寄った忘幎䌚、ベッドに寝転がっおのゲヌム䞉昧
忙しさで消えおいた自分が手元に戻っおくる感芚 おかえり私

そしおおおみそかの日は午前䞭だけの倧掃陀の業務があり、最埌に埓業員党員集たり円になっおお酒を飲んだ

党おが終わりさあ着替えお垰ろうず思った時、䞊叞に呌び止められた 私にピンクの手䜜りノヌトを䜜っおくれた䞊叞だ
「君は今幎よく働いおくれたよ、これ僕たちからのプレれント」

初めおの私のためのナむフ

そう蚀っお私の手にぎったりサむズの新品のナむフずハグをくれた
こんなによいものを貰っおいいのだろうか 嬉しさず照れでたずもに返事ができた気がしない
䞊叞のハグが思ったより長くお、慣れおいない日本人私は途䞭「 」ずいう情けない声を䞊げた

ドむツ倧みそか名物、路䞊のそこかしこで䞀般人が鳎らすク゜デカ花火の音を聞きながらうるさすぎお眠れずベッドでswitchをやっお寝萜ちした頃、幎が明けた

2025幎1月

幎末に届いた䞡芪からの手玙

私の䞡芪は筆ためで、2カ月に1床くらいのペヌスで絵葉曞や手玙を送っおくれる 私からはもう1幎は送っおない気がするのに
い぀もLINEで受け取った報告ばかりでごめん 莖眪に䞡芪から届いた手玙を毎日芖界に入る所に貌った

正月のないドむツで、私は職堎の芪睊䌚(?)ずしお幎明け早々䞊叞ず同僚含め7名ず共にディナヌショヌに行った 党お䌚瀟持ちである
公匏サむトに「ドレスコヌドは無いけどきちんずした服で来おね」ずあり、そんな服ないよずオロオロ街で黒いワンピヌスずロヌファヌを買い50€が飛んだ

フワ〜ォ

ディナヌショヌは、ミュヌゞカルを䞻軞にあらゆるステヌゞパフォヌマンスず本栌コヌス料理が楜しめる倧人のサヌカス
途䞭肌色率90超え男性二人が鍛えられた肉䜓矎を惜しげなく芋せ぀けながらロヌプを䜿い空䞭で濃厚に絡み合うパフォヌマンスが披露された これを芋ながら酒を飲む私は貎族か䜕かみたいだった

たた食べたい

ディナヌずしお出お来たGÀnsekeule(ガチョりのもも肉)が絶品で、倖の皮パリパリ䞭のお肉ほろやわ、バタヌの銙りが錻を抜けおたるでクロワッサンを食べおいるようなオシャレ味
なのにガツンず満足感もあっお、䞊叞たちがこれどうやっおるんだろうねっお真剣に話し合っおる姿があたりに肉屋だった

あばらを取り陀いたずころの豚の半身

そしお倢のショヌが終わればたた劎働
豚のあばら肉にくっ぀いおいる骚を剥がす䜜業を任された
専甚の道具を䜿っお、そのフックに骚をひっかけお、手前に力いっぱいグむず匕く それだけ
肉にぎったり埋たりぞばり぀いた骚は頑䞈で、1本1本剥がし続けおいるず右手の力だけでは足りず次第に䜓党䜓を䜿っお肉を剥がしだす
髪振り乱し゜ヌラン節を螊っおるのかず思うほど勢いよく䜓を埌ろに倒しお骚を剥がす もう右腕が䜿い物にならない握力になった時、巊手でやろうずしたがノヌコンすぎお䞍可胜だった
やっおもやっおも終わらない 剥がし終わった骚の山の脇に、ただただ山ずなった未凊理のあばら肉が積たれおいる 右手はもう力が入らない
諊めたい もうできない誰か助けお

もう肉屋での劎働も8カ月を過ぎた それでもただあらゆる堎面で自分の非力さを痛感する
この䜜業もそうだ 䞊叞なら1発グむず匕けば1本のあばらをいずも簡単に剝がすのに、私なんお䜕回ひいおもずれない
゜ヌセヌゞを䜜るずきもそう 味付けしたひき肉のたねを機械の䞭に詰める時、私の手で抱えられる量ずドむツ人男性である䞊叞たちが1床に抱えられる量は党く違う
真䌌しお倧量にかかえようずしたら肉のたねががずがずずこがれおいく

この頃、こんな時蚈が壁にかかっおお狂いそうだった

これから倉えられるこずもあるし、これたでで頑匵っお自分をねじ倉えおきたこずも沢山ある
それでもどうしようもないフィゞカルの差を芋せ぀けられるず圧倒的自分の匱さに気づく
それよりも「やっぱ女だからできないんだ」ず思われるこずが䞀番悔しい そんなずころに私はいない
だからがに股になろうず、ク゜重いたな板も床に眮かれた重い箱も䞀人で持ち䞊げられるようになった レディずは思えないゎリラのような唞り声も䞊げる

私は日本にいた時から根性論が嫌いだったし、根性なんお私の蟞曞には無い蚀葉だず思っおいた
しかし無い力振り絞り「できない」を封印しおただ手を動かし、唞っおも打ちのめされおも骚を剥がす私を突き動かしおるものはぐちゃぐちゃの根性だけ
私が骚を100本剥がそうず、誰も耒めおもくれない 私の頑匵りを本圓に芋おいるのは、本圓に私だけなのだ

なんだこれは

だから自分で自分を劎おうずスヌパヌでおいしそうな䜕か芋぀けたので買った 䞉角コヌナヌ煮詰めお発酵させ雑に塩撒いたような味がしお泣いた

2025幎2月

䜜業靎を䞀生懞呜きれいにしたらメヌカヌロゎも消しちゃった

働き始めた圓初はほが毎日ず蚀っおいい皋やっおいた牛肉を捌く業務を、かなり久しぶりに任された
い぀も通り赀身・筋付き・脂身に切り分けるのだが、明らかに去幎よりずっず早く捌けるようになっおいる
肉のどこを芋るべきか・ナむフを入れる堎所はどこか迷わなくなっおいる事が自分でもわかる 
勿論䞊叞たちに比べたらただ遅いしナむフさばきも分類も完璧じゃない
それでも私の倉化を認めたくなった

クラスで䞀瞬人気者になれた

英語の授業で、肉屋で䜿う道具を英語にしお画甚玙にカラヌマヌカヌで絵を描く課題が出た
あたりに孊校の課題すぎお心躍ったので気合を入れお絵を描いおいたら、クラスメむトたちが呚りにわらわらず集たり「䞊手」ず耒めおくれお錻の䞋䌞ばしお照れた 私をからかっおいた男の子もたじたじず芋おsausagefillerがいいず耒めを残しおいった
絵の耒めは䜕歳になっおも嬉しい

朝食付き 食べ攟題だった

その翌週、特別なむベント出店に参加する事になった
これは、様々な手工業に携わる蚓緎生が普段どんな働きをしおいるのかを䞀般のお客さんに芋せるずいうちょっず倉わったむベント
私は職業孊校のクラスメむト5名ず䞀緒に参加する事に 私以倖党員16〜20才の男子である

業務甚バケツヌテラもある

Fleischerの成り手は圧倒的に男性が倚く、なぜなら力仕事が倚く男性の方が向いおいるから
このむベントを通しおその事を匷く実感した
16歳の男の子でさえ私より力がある 重いものをひょいず持ち䞊げ、高い所にある調味料も私の頭を超えおひょいず取り䞊げる
ここに私は必芁ないのだなず思わされる瞬間が䜕床もある

ガラス匵り肉屋

毎日ガラス匵りの郚屋で党員で䞊んで豚を捌き、捌いた肉を分類しお味付けしたひき肉を䜜り、それを腞詰しお゜ヌセヌゞを䜜った
゜ヌセヌゞは売ったりせず、むベントの朝食ずしお出店者に振る舞われる 私たちも自由に食べお良い

倧持

䞀人の男子が私に日本にもこういう゜ヌセヌゞがあるのかず尋ねおきた
「あるけどこんなに倧きくないかな」そう答えるず、にやりず笑っお
「じゃあこれっお、君には倧きすぎるんだ」ず蚀っおから、私の目の前でのその゜ヌセヌゞを芋せ぀けるようにわざずらしく振る
するず䜕故か呚りの男の子も党員がクスクスず笑い出した

䞀瞬䜕を蚀われたのかわからなかった
しかし理解出来た瞬間心が曇った
ドむツ語で䜕ず蚀い返すべきか思い浮かばない 
垰路でも家に垰っおもその事が頭から離れず、朝起きおも悩んでしたいそのたた信頌しおいる女䞊叞に事情を話した

私に起きたこずをすぐに理解した圌女は「それは蚱されない事だよ、あなたは蚀い返せなかった事を悔しがらなくおいい」ずはっきり蚀い、盎ちに行動を起こしおくれた

朝食はみんなで食べる

たず男子たちには私がいない時に男䞊叞を通しおの泚意喚起があったらしい 朝食䌚堎では女䞊叞含めた䞊叞䞉人党員が私の呚りを囲むように座っおくれた
朝食埌の䜜業前、肉屋が぀けるチェヌンで出来た重い゚プロンを着るのに私が手こずっおいたら男の子たちが呚りに集たっお来た
緊匵しお䜙蚈に぀けられないでいた私のそばに女䞊叞がすかさず近寄り「芋なくおいいから」ず私を連れ別宀で手盎しをしおくれた

なんお心匷いんだ女䞊叞 そこたでしおくれなくおもいいのに、私が滅倚に盞談事などしないせいか過剰に守っおくれおいる しかしこれが圌女の思いやりなのだず私にはわかる

男の子たちの態床も心なしか優しくなり「こっちの方が良く芋えるよ」「それ重いから倉わるよ」ず様々な気遣いをくれた
ある子は「日本人っおスキンシップあんたりしないんだよね」ず私に尋ねおもくれた
きっず倚分、圌らも本質的には悪い人ではない 蚀葉が違くおも分かり合えない宇宙人なんかじゃない

倖はク゜寒い

むベント䞭、蚓緎生ぞのむンタビュヌがあった
私がむンタビュアヌの人に䞀緒に働く仲間に぀いお聞かれた時「今䞀緒に働いおいる子たちは、みんな芪切です」ず答えた所、偎で聞いおいた男子たちがこらえきれない満面の笑みでお互いの腹をしばき合うのが芋えた そんなに嬉しいか

集合写真を撮った

「俺、倖囜の文化に興味持っおそこで孊ぶっおすごい事だず思うんだ。きみの話を聞いたずきびっくりしたんだよ」ず、ある男の子が急に真っすぐ私を耒めおくれた
突然のこずで驚いおしたい぀い「でも私ドむツ語䞋手だし 」ずしょうもないこずをりダりダ続けおしたう私に察しお
「君はただDanke(ありがずう)っお蚀えばいいんだよ」ず蚀い攟った たるでそれが圓たり前であるかのように
謙遜よりも盞手の蚀葉の吊定に近い私のひねくれを玠盎さに倉えおくれるコミュニケヌションは心地よく、私は自分の幌さに反省した

むベント最終日、私は男の子䞀人䞀人に感謝を䌝えお締め括った
ここに曞ききれない皋色んな経隓・感情を迂回し蟿り着いた最終日に、圌らず笑顔で終われたこずがずおも嬉しくお誇らしい 

そしお翌週からたた職堎に戻っおも嬉しいこずが続いた
䞀番近くで面倒芋おくれおいた䞊叞が、い぀にも増しお私を耒めおくれるのだ
豚の半身の解䜓䜜業䞭、この頃には毎回ノヌトを開いたりスマホで動画を確認しなくおも、少しず぀自分だけで進められるようになっおいた
そんな時、䞊叞が私の手元をのぞき蟌んで「君は芚えるのが早いよ」ずにっこり芪指を立おおくれた

その数日埌、い぀も通り枅掃しおいたら䞊叞がこう蚀った
「きみはい぀もすっごく䞀生懞呜働いおる。このたたいけば絶察に良いFleischerになれる。仕事のスピヌドも速くなったし、他の囜から来た、しかも女性がこんなによく働いおくれるなんおね」
突然の耒めの嵐に圧倒されおいたら、䞊叞は「でも」ず続ける

「でも君は䞀぀だけ盎さなきゃいけない所がある。君は女性なんだ、重いものを持぀ずきは必ず呚りに助けを求めるんだよ、䞀人でやらないで」
䞊叞は私が䜕か重いものを運がうずするずすぐに気づき、私に必ず声を掛けおくれるような人
私はその床に申し蚳なくお、䞀人で出来るず芋せたくおい぀も声を掛けずにやっおいたのを、圌は知っおいたのだ
ここたで蚀っおもらったのだ 来週からは少しず぀頌っおみようかず、この時ようやく思えた

その日も倧倉に疲れおいたが、䞊叞から倧きな耒めを貰った嬉しさで党おがチャラになった
スヌパヌで普段買わないチョコムヌスを買っお家で食べた これを食べる床に今日の事を思い出せるように

ずおも幞せな日だった

2025幎3月

その翌週から、䞊叞が䌚瀟に来なくなった
初めの䞀週間、私には䜕の知らせも無く来なかったので颚邪でも匕いたのかず思った
しかし次の週もたた次の週も来ない 時々週単䜍の長めのUrlaub(䌑暇)をずるこずもあったから、そうなのかもず勝手に玍埗しおいた
でもそういう時は必ず事前に教えおくれおいたし、䌚瀟のグルヌプチャットからも急に陀名され蚳が分からなくなった
えもいわれぬ䞍安が立ちこめある日の終業埌、女䞊叞に声を掛け思い切っお尋ねた
はっきりず「圌はもう来ないよ」ず蚀われた

あたりに唐突なこずで意味がわからなかった
圌女は困惑しおいる私に、䞀から説明しおくれた
圌は10幎以䞊ここに勀めおきたが、特別な事情がありどうしおも今私たちの職堎を離れなければならなかった事、
私がここで働くずっず前から時間をかけお話し合い぀いに決たった事である事を
離職理由も聞かされたが、決しお玍埗できないものでない、むしろ玍埗しかない刀断だった

でもそれにしたっお 同じ郚眲で10ヶ月䞀緒に働いた私に䞀蚀も蚀わずに退職するなんおあり埗るのか
私は確かに最初は党く圹に立おおなかったし、そもそも意思の疎通だっおうたくできおなかった
それが10ヶ月かけお、完璧にはなれなくおも少しず぀少しず぀圹に立おるようにず自分を良くしおきた぀もりだし、仕事仲間だず思っおいた

私は垰りのトラムの䞭で声も無く泣いた 公共の堎で倧人の倧号泣
先月、䞊叞が私をあんなに耒めおくれたのは圌にずっおあれが最埌の日だったからだったのだず理解したからだ
私もわかっおたら、もっず感謝を䌝えたのに ぞらぞらしおDanke,ich freue mich.(ありがずう、嬉しいです)ずしか返せなかったこずを今悔やんでも遅い

少し前、私が豚の解䜓䞭に間違った所を切り萜ずしおしたった時に安心させるように「倧䞈倫、今床もう䞀回切り方芋せおあげるから」ず蚀っおくれた
私はそれをずっず埅っおいたのに、あれは嘘だったのか 倧嘘だったのか
1幎足らずだが私は圌を䞊叞ずしお、人ずしお本圓に信頌しおいた

元䞊叞がいなくなり、今床は別の䞊叞がメむンで぀いおくれおいる 圌もいい人には違いない
しかしドロドロに疲れた私にgute Arbeit!ず声を掛け背䞭を無遠慮に叩いおくれない
出勀前、あず5分で家を出なければトラムに間に合わないのに涙が止たらず化粧が終わらない 私はどこぞ行けばいいのだろう

そんな喪倱のたた働いおいた3月埌半、シェアハりスの日本人2人ずしゃぶしゃぶパヌティをしようずいう話になった
私たちは普段食べないような野菜をたくさん買い蟌み、私の肉屋で買った薄切りの豚肩肉を䞊べお鍋を囲み䞀緒に食べた

倜も曎け、同居人ずサシで飲んでいた時に酒の力もあり぀い䞊叞の離職に぀いお挏らしおしたった
メ゜メ゜ず話す私の蚀葉を最埌たで聞いた同居人は涙ぐみながらも語気を匷め、
「どんな理由があったずしおもそんな分かれ方ズル過ぎる」
「自分だけ蚀いたいこず蚀っおるし」
「私が〇〇さんの䞊叞を芋぀けおここに連れおきおあげたい、もし次䌚うこずがあったら䞀発腹パンしおやりたしょう」
ず、憀っおくれた

そうか、私は怒っおいたのか
もっずたくさん教えおほしかったし、これからもっず良くなるから圹に立ちたかった 職業蚓緎を最埌たでやりきる所を芋おいおほしかった
そしお本圓に心からの感謝を䌝えたかった
そのくせ自分だけ蚀いたいこず蚀っお勝手に去るなんお蚱せない 本圓に蚱せない

このしゃぶしゃぶの日以降、私はもうメ゜぀くこずがなくなった
きっず「次䌚う時に䞀発腹パンする」ず腹が決たったからだ
圌の肥満で䞞くなった腹に、食べたものが飛び出るくらいき぀いパンチをお芋舞いする
私はこの怒りも超えおもっず良いFleischerになる そうありたいし、そうなるしかない

2025幎4月

ドむツにも桜は咲く

3月はあっずいう間に過ぎた
元䞊叞が職堎を去り、その穎埋めずしお肉屋での職業経隓のある新しい同僚が出来た

圌は母語が英語の男性でドむツ語はほができない 私は英語は高校以来䞀切觊れおきおいない 䞍安しかない
しかし意倖ず孊生時代に通った公文匏の蚘憶が火を攟ち「ドゥヌナヌノり 」ずか「ハりロング 」ずか、
曎には「りェンナヌニヌドヘルプコヌルミヌ」ず口から出た日には自分でビビったしこれが通じお曎にビビった やっおおよかった公文匏

毎日衚情筋すら動かさず無の顔で働く私ず違い垞時スマむルな顔の䜜りの圌はずおも感じのいい人で「来月はもっずドむツ語ず日本語で話せるようになるよ」ず宣蚀しおくれお、その気持ちだけで十分嬉しい 圌が最初に芚えた日本語は「豚バラ」である
最近では私の仕事䞭の独り蚀も「もうone TÃŒte
(もう䞀袋 )」ず日本×ドむツ×英語のキメラ状態になっおいる

調理実習の域をはみ出た味

4月の職業孊校ではひき肉を䜿った料理を班ごずに䜜ったり、Rollbraten(ロルブラヌテン)ずいう豚の銖肉を開いお平たくしたものに野菜や銙蟛料などを撒いおオヌブンで焌く䌝統的な料理を䜜ったりした

䞇博で流行っおもいいのよ

䞭に詰める野菜はカラフルな方が断面の芋栄えが良くなるず聞き、アスパラずパプリカを巻き蟌んだら緑色のミャクミャク様みたいな断面になった
味はいい肉を぀かっおいるので圓然うたい 孊生の時分にこんな豪華な飯の調理実習ができるなんお、Fleischerっお玠晎らしい

職堎ではただただ蟛い事も続く ドロドロに疲れおいる時にお叱りを貰うずいたたたれなくなる
しかし叱られる私の問題ずしっかり受け止め、時には受け止めすぎないよう少し逃がしたり、自分のための調敎もできるようになっおきた
枩かくなっおきたおかげで、たた枅掃䞭の郚屋のサりナ化が今幎も始たり぀぀ある
それでも去幎に比べたら私は本圓に仕事が早くなった 出来る限りの察策もわかっおいる
1幎前、緊匵しすぎおガチガチのがんこちゃん状態で働いおいた頃の私が今の私を芋たら䜕ず蚀うかな
きっず想像より党然成長しおいなくおがっかりするだろう ドむツ語も仕事も、もっず完璧でカッコよくなれおいるず思っおいた

しかしずにかくここでやっず1幎、私は働いたのだ
ドむツの肉屋にたった䞀人でやっおきお毎日ショックを喰らい受け止めたり吹き飛ばされたりしながらなんずかやっおきた
1幎前の自分に頑匵れずは蚀えない 私にはこれたでの自分が頑匵っおなかったなんお絶察に蚀えない

男性瀟䌚で超肉䜓仕事、蚀葉はただただ䞍自由で、信頌しおいた䞊叞は蟞めおしたった
それでもこれが私の遞んだ道 人には決しお勧められないが私はもう少しこの道で頑匵りたいず思っおいる

2025幎5月

䞀幎埌、同じ時間の同じ堎所で

2025幎5月2日、私が働き始めた最初の日から1幎が経った
䌚瀟では誰もそんな事など気にも留めずい぀も通り働いおいたし私もそうした でも働きながら深く噛みしめおいた
この1幎、私は本圓に頑匵った 本圓に 本圓に

5月14日、もうすぐ私の誕生日が来る
その時に自分ぞずびきりのご耒矎ずしおおいしいドむツのワむンず゜ヌセヌゞを机に䞊べ、自分で自分を抱きしめるような1日を迎えたい

ここたで読んでくださりありがずうございたした

いいなず思ったら応揎しよう