桃から生まれた...
祖父の畑でとてつもなく大きな桃が採れた
近所でも見たことないほど立派で
みんな写真を撮っていた
祖父は笑いながら言う
「昔話みたいやな、桃太郎でも入っとるんちゃうか」
持って帰って包丁を入れた
パカッ
桃が内側から割れた
中は空っぽ
「...なんや、これ...」
果肉には小さな手形が無数についていた
まるで誰かが中から何度も叩いたかのように...
その日から毎朝畑から家まで
小さな足跡が残るようになった
祖父は笑っていた
「桃太郎でも遊びに来とるんやろ」
*
三日目
祖父がいなくなった
畑には、大きくなった桃がまた一つ現れた
「......」
中から何か聞こえる...?
耳を近づけると、祖父の声が聞こえた
「...早く割ってくれぇ...」
(おしまい)
