さがしています
迷子案内の放送が流れた
「...4歳くらいのピンクの花柄の浴衣を着た、もえちゃんというお子様がお母様とはぐれています、お心当たりのある方は...」
ちょうど本部の近くにいた私は
気になって様子を見に行った
そこには浴衣を着た小さな女の子が
うつむいて座っていた
「...もえちゃん?」
そう声をかけると、女の子は顔をあげて
ニコッと笑った
そして言った
「...あ、おかあさん」
振り返ると私の後ろに
一人の女性が立っていた
私はホッとして二人を見送った
「もえちゃん、お母さん見つかってよかったですね」
すると本部のスタッフが不思議そうに言った
「え?もえちゃん?そんな子今日来てませんよ」
人混みの向こうで
手を繋いで歩く親子は
誰にもぶつからず
誰にも避けられることなく
夜店の灯りへ消えていった
(おしまい)
