”Afternoon Tea Break”美貌の免罪符と男の去勢された涙/ジェニファー・ローレンスの笑い話に見る、女の加害と男の肉体の無価値化
美しい女の暴力は喝采を浴び、男の涙は去勢される。歪んだ世界の喜劇。
美貌の免罪符と男の去勢された涙
ジェニファー・ローレンスの笑い話に見る、女の加害と男の肉体の無価値化
深夜、換気扇の下で安煙草をくゆらせながら、スマートフォンの画面に映るアメリカのトークショーを眺めていた。
スポットライトを浴びて艶やかに笑うのは、ハリウッドの寵児ジェニファー・ローレンス。シルクのドレスに包まれた胸元、引き締まった肢体、男たちの欲望をかき集めて肥大化したその美貌は、見る者を陶酔させる暴力的な輝きを放っている。

彼女が得意げに語っていたのは、とあるバーでの「痛快な体験談」だ。
酒に酔った彼女に、見知らぬ男がツーショット写真をねだってきた。拒絶されると、男は捨て台詞を吐いた。ここまでは夜の酒場によくある、男の浅ましい下心と無様な自爆劇だ。だが、その先がグロテスク極まりない。
彼女は男にビールをぶちまけ、荷物を叩き壊し、物理的な暴力を叩き込んだ。そして司会者のセス・マイヤーズも、スタジオの観客たちも、手を叩いて大爆笑した。司会者は「自業自得だ」と囃し立て、彼女が「その男が泣いているのを見た」と付け加えると、劇場はさらなる哄笑に包まれた。
男の泣き顔をツマミに、スタジオ全体がエロティックなまでの優越感に浸っている。
胸の奥に、腐った油のような苦いものが広がった。
おいおい、目を覚まして男女を逆転させてみろ。
筋骨隆々の大男のセレブが、酒に酔って絡んできた女ファンにビールを浴びせ、バッグを床に叩きつけて踏み躙り、「女が泣き崩れるのを見てやったぜ」とテレビで笑ったらどうなる?
翌朝には全米から糾弾され、スポンサーは逃げ出し、人権団体から猛抗議を食らい、一発で豚箱送りか社会的な死刑台行きだ。

なぜ女がやると「スカッとする武勇伝」になり、男がやると「凶悪な暴力」になるのか。
答えは単純だ。この歪んだ社会において、女の暴力には「美貌と被害者性」という極上の免罪符が与えられ、男の肉体と尊厳は、最初から「踏み躙られて当然のゴミ」として去勢されているからだ。
確かにその男は愚かだったろう。下半身の疼きに任せて女優にすり寄り、フラれて悪態をつくなど、男から見ても反吐が出るほどみっともない。
だが、みっともないことと、暴行を受けて私物を破壊されることは全く別次元の話だ。男の皮膚だって傷つけば痛むし、公衆の面前でずぶ濡れにされ、尊厳をズタズタに引き裂かれれば、涙だって流れる。男の肉体にも、神経が通り、体温があり、羞恥に震える心があるのだ。
それなのに、画面の中の連中は、泣き濡れた男の姿を「去勢された家畜の断末魔」として消費している。
女が男をいたぶる姿は、ある種のフェミニズム的ポルノとして拍手喝采を浴びる。弱者の皮を被った強者が、生身の男の尊厳を土足で踏みにじるその光景は、どんなエロ本よりも醜悪で、残酷な支配欲に満ち満ちている。
「男性に対する暴力」は、この清潔ぶった世界では存在しないことにされている。訴えれば「男のくせに女にやられて泣くな」と嘲笑され、テレビでは笑い話として消費される。
男という生き物は、いつからそこまで無価値な肉塊に成り下がったのか。

愛や平等を説く綺麗事の裏で、社会は男の痛みを脱臭し、都合のいいサンドバッグとして消費し続けている。
スポットライトの下で男の涙を嘲笑う美しい女優の笑顔を見るたび、俺は吐き気を覚える。その笑い声の裏に、どれほど冷酷で、去勢された男たちの血と涙がへばりついているか、あいつらは死ぬまで気づかないのだろう。
〈了〉
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