【子どもの「イヤ!」6つの理由④】「何がイヤなの?」と聞くほど泣くのはなぜ?“気持ちと言葉の時差”を知っています
「イヤーーー!」
突然泣き出す。
「どうしたの?」
「何がイヤなの?」
「ちゃんと言ってくれないとわからないよ」
できるだけ落ち着いて聞いているのに、子どもは答えない。
それどころか、もっと泣く。
怒る。
物を投げる。
そんなことが続くと、
「どうして言葉で伝えてくれないんだろう」
と、こちらまで苦しくなりますよね。
「同じくらいの子は、もっとお話しできている気がする」
「言葉が遅いのかな」
「泣いたり怒ったりしてばかりなのって、発達に何かあるのかな……」
と、不安になることもあると思います。
でも、泣いたり怒ったりして気持ちを伝えるという行動だけで、発達障害かどうかが決まるわけではありません。
まず知っておいてほしいのは、
子どもの「イヤ!」には、全部同じではない6つの理由がある
ということです。
子どもの「イヤ!」には6つのパターンがある
大きく分けると、子どもの「イヤ!」はこの6つです。
思ったようにうまくできない
まだこれをやりたい・今はイヤ
それはイヤ
うまく伝えられない
甘えたい
眠い・お腹が空いた
表面では、どれも同じ「イヤ!」に見えます。
けれど、その奥にある理由はまったく違います。
だから、
「イヤと言わないの」
「泣かないでちゃんと話して」
と、一つの方法だけで対応しようとすると、うまくいかないことがあります。
今回取り上げるのは4つ目。
「うまく伝えられないイヤ」
です。
「何がイヤなの?」と聞くほど泣くのはなぜ?
子どもには、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになってほしい。
だから一般的には、
「イヤならイヤって言おうね」
「ちゃんと言葉で教えてね」
と伝えることがあります。
それ自体は、とても自然なことです。
でも現実には、
「何がイヤだったの?」
と聞いても答えない。
「どうしたかったの?」
と聞いたら、さらに大泣き。
こんなことがあります。
すると大人からは、
「言いたくないの?」
「わざと泣いているの?」
と見えてしまうことがあります。
でも、もしかすると違うのかもしれません。
子どもの中には、もうちゃんと気持ちがある。
ただ、
その気持ちを“言葉にするところ”が、まだ追いついていない。
そんなことがあるんです。
今日覚えてほしいのは「気持ちと言葉の時差」
子どもの中では、
「イヤ!」
という感情が先に動きます。
本当は、
「まだ遊びたかった」
かもしれない。
「自分でやりたかった」
かもしれない。
「それじゃなくて、こっちが欲しかった」
かもしれない。
あるいは、
「ママに手伝ってほしかった」
のかもしれません。
でも、その気持ちを自分で整理して、
「私はこうしたかった」
と文章にするのは、別の力です。
ここに、
「気持ちと言葉の時差」
があります。
気持ちはもうある。
でも、その気持ちにぴったり合う言葉を探して、口から出す力はまだ育っている途中。
だから、
気持ちが先にあふれて、「イヤ!」になる。
と考えると、あの大泣きの見え方が少し変わってきます。
気持ちはある。でも、まだ“料理”になっていない
たとえば冷蔵庫を開けたら、
卵がある。
野菜もある。
お肉もある。
材料はちゃんとそろっている。
そこで突然、
「じゃあ今すぐ、この材料で一品作って」
と言われたらどうでしょう。
料理に慣れていても、
「ちょっと待って。何を作ろう?」
と考えますよね。
子どもの気持ちも、これに少し似ています。
「悔しい」
「まだやりたい」
「違う」
「助けてほしい」
という“材料”は、ちゃんと心の中にある。
でも、それを整理して、
「まだ遊びたかったから、帰りたくなかった」
という“料理”にして外へ出すところまでは、まだ難しいことがあります。
そんなときに、
「何がイヤなの?」
「ちゃんと言って」
と自由に答えることを求められても、
本人にも答えが作れない。
だから、
答えられない苦しさまで重なって、さらに泣いてしまう。
そんなこともあるんです。
育てたいのは、「泣かない子」ではない
ここで大切にしたいのは、
子どもを早く「泣かずに話せる子」にすることではありません。
泣くことも、怒ることも、幼い子どもにとっては気持ちを外へ出す方法の一つです。
だから、
「泣かないの!」
と感情そのものを止めるより、
「その気持ちには、こんな言葉があるよ」
と少しずつ教えていく。
それが、やがて自分の気持ちを伝える力につながっていきます。
大人が代わりに全部話してしまう必要もありません。
必要なのは、ほんの少しだけ、
言葉の見本を置いてあげること。
今日からは「何がイヤ?」の前に2択を
今日試してほしいことは、一つだけです。
子どもが泣いているとき、
「何がイヤなの?」
と聞く代わりに、
2つくらい言葉を渡してみてください。
たとえば、
「まだ遊びたかった?」
「それとも、ママにやってほしかった?」
おもちゃを取られて泣いたなら、
「返してほしかった?」
「まだ使ってたって言いたかった?」
当たらなくても大丈夫です。
子どもが首を振ったら、
「あ、違ったんだね」
でいいんです。
大切なのは、ママが正解を当てることではありません。
“モヤモヤした気持ちは、言葉にできるんだ”と子どもが少しずつ知ること。
「イヤ!」
しかなかった言葉が、
「まだ!」
「自分で!」
「貸して!」
「やって!」
と、少しずつ増えていく。
その途中に、今の「イヤ!」があるのかもしれません。
もし今日、
「何がイヤなの?」
と聞いても大泣きされたら、
「また言ってくれない……」
の前に、一度だけ思い出してみてください。
気持ちはもうある。
ただ、言葉になるまでに少し時差がある。
そう見えるだけで、子どもに渡す言葉が変わります。
