【子どもの「イヤ!」6つの理由⑥】夕方になると何をしても「イヤ!」なのはなぜ?見落としやすい“身体のイヤ”
夕方になると、急に何をしても「イヤ!」。
「お風呂入ろうか」
「イヤ!」
「じゃあ先にごはんにする?」
「イヤ!」
「抱っこする?」
「イヤーー!」
抱っこしても泣く。
下ろしても泣く。
いつもならできる着替えまで嫌がって、ちょっとしたことで大泣き。
そんな日が続くと、
「どうして今日はこんなに機嫌が悪いの?」
と、こちらまでクタクタになりますよね。
さらに、発達のことが少しでも気になっていると、
「癇癪が激しすぎるのかな」
「感情のコントロールが苦手なのかな」
「こんなに何でも嫌がるのって、発達と関係がある?」
と不安になることもあると思います。
でも、夕方にグズグズしたり、何でも「イヤ!」になったりすることだけで、発達障害かどうかが決まるわけではありません。
その前に、一度見てほしいものがあります。
それは、
子どもの“身体の状態”です。
子どもの「イヤ!」には6つのパターンがある
ここまで、この連載では子どもの「イヤ!」を6つに分けて見てきました。
思ったようにうまくできない
まだこれをやりたい・今はイヤ
それはイヤ
うまく伝えられない
甘えたい
眠い・お腹が空いた
同じ「イヤ!」でも、その理由は全部同じではありません。
今回が最後。
6つ目の、
「眠い・お腹が空いたイヤ」
です。
何をしても「イヤ!」の日は、しつけるほどこじれることがある
子どもが何でも嫌がると、
「イヤばっかり言わないの」
「さっきまでできてたでしょ」
「ちゃんとして」
と言いたくなることがあります。
だって、朝は普通だった。
お昼もそこまで機嫌は悪くなかった。
なのに夕方になった途端、別人みたいに何でもイヤ。
すると、
「言うことを聞きたくないのかな?」
と見えてしまいます。
でも、もしその「イヤ!」が、
わがままでも、
反抗でもなく、
身体から出ている「もう無理」のサイン
だったとしたら?
ここで対応は大きく変わってきます。
今日覚えてほしいのは「身体のイヤ」
大人にもありますよね。
前の日にあまり眠れなかった。
朝からずっと動きっぱなし。
お昼ごはんもゆっくり食べられなかった。
そんな日の夕方。
いつもなら気にならない一言にイラッとしたり、
「もう今日は何もしたくない……」
と思ったりする。
だからといって、急に性格が変わったわけではありません。
身体に余裕が残っていないだけ。
小さな子どもにも、同じようなことがあります。
ただし子どもは、
「今日はお昼寝が短かったから、疲れてる」
「お腹が空いてイライラしてる」
と、自分の身体の状態を整理して説明するのはまだ難しい。
だから、
「イヤ!」
「抱っこ!」
「やらない!」
という形で出てくることがあります。
子どもの身体は、夕方のスマホみたいなもの
これ、スマホの充電で考えるとわかりやすいです。
朝は100%。
動画を見たり、写真を撮ったり、地図を使ったり。
一日中使っていると、夕方には10%。
そんな状態でさらにアプリをいくつも開けば、
動きが遅くなる。
突然画面が暗くなる。
電池が切れる。
そんなとき私たちは、
「このスマホ、性格悪くなった?」
とは思いませんよね。
「あ、充電がないんだ」
と考えます。
子どもにも、これと似た瞬間があります。
朝ならできた。
昼なら「いいよ」と言えた。
でも、夕方にはもう“充電”がほとんど残っていない。
そこへ、
着替えて。
片づけて。
お風呂に入って。
ごはんを食べて。
と次々に要求が来たら、
最後に出てくるのが、
「イヤーー!」
なのかもしれません。
つまり、
できないのではなく、今は“できる余力”が残っていない。
ここを見落とすと、
「もっと言い聞かせなきゃ」
「ちゃんとさせなきゃ」
と、さらに負荷をかけてしまうことがあります。
3歳までに育てたいのは「いつでもちゃんとできる子」ではない
3歳までの子どもは、身体も気持ちも大きく育っている途中です。
だから、昨日できたことが今日できない日もあります。
朝できたことが夕方できない日もあります。
成長は、毎日まっすぐ右肩上がりに進むわけではありません。
大切なのは、
「昨日できたから今日もできるはず」
だけで見ることではなく、
“今日はどのくらい余力が残っているかな?”
と見ること。
それは甘やかすことではありません。
子どもがいま出しているサインを、行動だけでなく身体からも見るということです。
今日からできるのは「叱る前に2つだけ確認する」
今日やってみてほしいことは、一つだけです。
子どもが突然、
何をしても「イヤ!」
になったら、
叱る前に一度だけ、
「眠くないかな?」
「お腹、空いてないかな?」
と確認してみてください。
時計を見るだけでもいいんです。
「そういえば今日は昼寝が短かった」
「お昼をほとんど食べてなかった」
と気づくことがあります。
もし身体の充電が減っていそうなら、
予定を一つ減らす。
少し早めに食事にする。
今日はお風呂を手短にする。
それだけでもいい。
もちろん、毎回それで「イヤ!」が消えるわけではありません。
でも、
「困った行動を直さなきゃ」の前に、“この子の身体は今どうかな?”と見る。
その視点が一つ増えるだけで、ママの選べる対応も増えます。
6つの「イヤ!」に共通していたこと
ここまで6回、
子どもの「イヤ!」を見てきました。
できなくて悔しいイヤ。
まだやりたいイヤ。
それ自体が嫌いなイヤ。
伝えられないイヤ。
甘えたいイヤ。
そして、
眠い・お腹が空いたイヤ。
表面に出てくる言葉は、全部同じです。
「イヤ!」
でも、その奥にあるものは違いました。
だから、
「イヤと言わせないこと」
だけが育児のゴールではありません。
大切なのは、その一言の奥で、
「この子はいま、何を伝えようとしているんだろう?」
と一度だけ考えてみること。
子どもの「イヤ!」は、ママを困らせるために出ているとは限りません。
まだ上手に説明できない気持ちや身体の状態を、
たった二文字で必死に伝えていることもある。
今日また「イヤ!」が聞こえたら、
すぐに正解を出さなくて大丈夫です。
まずは、
「今日のイヤは、どのイヤかな?」
その目線を一つ持っておくだけで、同じ「イヤ!」の見え方が少し変わってきます。
