今年の夏は夕立が来ない
#48 今年の夏、空を見上げると立派な入道雲がそびえ立っているのに、期待していた夕立がさっぱり来ない。
そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。
「夕立」と「ゲリラ豪雨」。
どちらも夏の午後に降る急な雨ですが、最近は風情のある夕立よりも、恐ろしさを感じるゲリラ豪雨という言葉をよく耳にします。
なぜ、私たちの夏から夕立が消え、激しい雨ばかりが降るようになったのでしょうか。
その大きな理由は、街の「熱」と「湿り気」の変化にあります。
かつての夕立は、日中に温められた地面の空気が上昇し、ほどよいサイズの入道雲を作ることで起きていました。
雨が降れば打ち水のように気温が下がり、涼しい夜を連れてきてくれる、いわば「夏の天然のシャワー」でした。
しかし、現代の都市部はアスファルトやビルに囲まれ、エアコンの室外機からも熱が放出されています。
これが「ヒートアイランド現象」です。
街が昔よりずっと熱くなったことで、上昇気流はより強く、激しくなりました。
さらに、地球温暖化の影響で空気中の水蒸気量が増えています。
熱せられた強い上昇気流が、たっぷりと水分を含んだ空気を空高くへと運び、巨大な積乱雲を一気に作り上げます。
こうして生まれたのが、局地的で予測困難な「ゲリラ豪雨」です。
夕立が「季節の挨拶」だったのに対し、ゲリラ豪雨は「熱くなりすぎた地球の悲鳴」のようなものです。
空を見上げて「あ、夕立が来そうだな」と雨宿りを楽しめた時代は、今や贅沢なものになりつつあります。
アスファルトの熱が冷めない現代の夏において、私たちは風情を楽しむ余裕よりも、まずは身を守るための備えを優先しなければならなくなっているのです。
