🪶月曜日、不法入国のお知らせ —— 我が家のリビングは「国境警備」の最前線となる|創作エッセイ #109
日曜日の午後十時を過ぎると、我が家のリビングは、ある巨大国家からの不法入国を阻止する「検問所」と化す。その国家の名は、「月曜日」。
奴らは、私が最も油断している時間帯を狙い、暗闇に乗じて国境(=カレンダーの月・日曜日の境界線)を越えようとしてくる。私は、アイマスクという名の「暗視スコープ」を装着し、羽毛布団という名の「防弾チョッキ」に身を包む。そして、スマホの光を頼りに、リビングのパトロールを開始する。
「月曜日」の先遣隊は、まず「明日の天気予報」という形で侵入を試みる。私はそれを「国家機密の漏洩」として即座にアプリを閉じ、排除する。続いて、奴らは「昨夜の残りの食器」という形で現れる。「洗え」という幻聴。これは高度な情報戦であり、私の精神を削ぎ落とす作戦だ。私はそれを「見て見ぬふり」という究極の防御魔法で撃退した。
だが、真の脅威は意外な場所に隠れていた。
午前零時。日付が変わるその瞬間。私は、最後の手段に出た。カレンダーの「月」の文字を、上から「日(Part 2)」と書き換える偽造工作。これで、明日も日曜日は継続されるはずだった。しかし、その完璧な計画を打ち砕いたのは、炊飯器の予約タイマーだった。午前七時、奴は私に牙を剥く。炊飯器の出す「炊けました」という音は、月曜日の「入国許可証」そのものであったのだ。
強制送還(=出社)の時は近い。誠に遺憾ながら、私は今、月曜日の入国を一時的に受け入れ、その内部(=仕事場)から、もう一度だけ日曜日に時間を巻き戻す「時空翻訳機」を開発しようと試みている。……そう、ただの夢の中で、だ。
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