【ミャンマー内戦で「重希土類」の供給が揺れる】——テルビウム1キロ60万円の恐怖を、あなたはまだ知らない。エアコン・EV・風力発電の心臓部は「見えない内戦」の中にある。中国が蛇口を閉める前に読む、重希土類サプライチェーンの現実。 #レアアース #ミャンマー #重希土類 #中国 #サプライチェーン #EV #地政学 #紛争鉱物 #テルビウム #ポス鳥
こんにちは、ポス鳥です。
今日のニュースはこちら。
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📰 今日のニュース1分まとめ
ミャンマー北部のカチン州で、内戦が激しさを増しています。
「ミャンマーの内戦なんて、自分には関係ないでしょ?」
そう思われるかもしれません。
でも、あなたが毎日使っているスマホ、あなたが乗っているEV(電気自動車)、あなたの部屋を冷やしているエアコン。
これらの中には、 「重希土類」 と呼ばれる特殊な金属が入っています。
重希土類とは、レアアース(希土類)の中でも特に希少なグループのことです。
具体的には、ジスプロシウムやテルビウムといった金属で、EVのモーターや風力発電のタービンに使われる「永久磁石」の性能を飛躍的に高める役割を果たします。
この永久磁石がないと、EVのモーターは高温で磁力が弱まり、まともに走れません。
風力発電のタービンも、効率が大幅に落ちます。
つまり、 重希土類は「脱炭素社会」の心臓部を支える金属 なのです。
🔍 問題は、この金属がどこから来ているか
中国で精錬される重希土類の原料の、
実に 約3分の2がミャンマーから来ています。
しかも、そのミャンマーの鉱山があるのは、内戦の最前線であるカチン州。
武装勢力が支配する地域で、中国企業が資金を出し、現地の労働者が危険な環境で採掘しています。
例えるなら、こういう状況です。
世界中のレストランで使われている、ある特別なスパイスがあるとします。
このスパイスがないと、EVという名前の料理も、風力発電という名前の料理も、味が決まらない。
ところが、このスパイスは世界でほぼ1カ所の農園でしか採れない。
しかもその農園は、内戦の真っ只中にある。
いつ道が閉鎖されてもおかしくない。
これが、2026年7月現在の重希土類の供給構造です。
⚡ そして今、この脆弱な供給網が揺れている
2026年5月、ミャンマー国軍がカチン州北部のレアアース鉱山地帯と国境ルートの奪還に向けた攻勢を強めていると、ロイター通信が報じました。
S&Pグローバル(S&P Global)は6月29日、ミャンマーのレアアースがインドにとって中国依存を避ける「戦略的ヘッジ」(リスク分散の手段)になりうると分析しました。
裏を返せば、それほどミャンマーの重希土類供給が世界的に重要であり、かつ不安定だということです。
テルビウムの価格は、2026年7月2日時点で 1キログラムあたり約4,029ドル(約60万円)
1年前と比べて 約2倍 に高騰しています。
これは単なる資源価格のニュースではありません。
あなたが次に買うEVの価格、あなたの電気代、あなたの年金が投資している再生可能エネルギーファンドの収益に、直結する話です。
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🌸 季節の情景描写
7月の日本。
梅雨明けの蒸し暑さの中、エアコンのスイッチに手が伸びます。
「ピッ」と押せば、冷たい風が部屋を満たす。
このエアコンの心臓部——コンプレッサーのモーターには、ネオジム磁石が使われています。
そしてその磁石の性能を高温でも維持するために、ジスプロシウムやテルビウムが添加されている。
涼しい風の裏側に、ミャンマーの山奥で掘り出された金属がある。
その事実を、今日は一緒に見ていきましょう。
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📨 一般的なイメージへの疑問
「レアアースって、中国が独占しているんでしょ?」
こういうイメージをお持ちの方は多いと思います。
半分正解で、半分不正確です。
確かに、レアアースの精錬(掘り出した鉱石から使える金属に仕上げる工程)は、世界の 90%以上 を中国が握っています。
これは2026年4月の国際エネルギー機関(IEA)の報告書でも確認されている事実です。
しかし、「掘り出す場所」は中国だけではありません。
特に重希土類に限って言えば、中国で精錬される原料の大部分は、実は ミャンマーから輸入 されているのです。
つまり、構造はこうです。
「中国が独占している」のは精錬工程であって、原料の採掘はミャンマーに大きく依存している。
その採掘現場が、内戦で揺れている。
これが、今日の記事の核心です。
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💼 筆者コメント
ポス鳥です。
貿易の仕事をしていると、「サプライチェーン(供給網——原材料の調達から最終製品が消費者に届くまでの流れ全体)の最上流で何が起きているか」が気になります。
完成品を売買する人は、原材料の産地なんて普段は意識しません。
でも、その最上流で何かが詰まると、全部が止まる。
今回のミャンマーの話は、まさにそれです。
「紛争鉱物」という言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、重希土類はまさにその典型例になりつつあります。
一般のビジネスパーソンにこそ知っておいてほしい話なので、できる限り噛み砕いて書きます。
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📑 本文予告
この記事では、以下の5つの章で解説します。
重希土類とは何か?——あなたのスマホとEVの中にある金属
なぜミャンマーなのか?——中国の「裏口」としての鉱山
カチン州で何が起きているか——内戦と鉱山の現実
中国の輸出規制が火に油を注ぐ——2025年からの激動
日本への影響——「関係ない」では済まされない理由
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