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高級日高昆布を、あなたに|毎週ショートショートnote《モバイル北海道》

W特派員は、「モバイル北海道」なる極秘情報を入手し、H大学水産学部を訪れました。

「爽やかな北海道をあなたに」。寝苦しい熱帯夜を救う画期的な研究のようですが、水産学部が関わる点が気になります。単なる冷風機ではなく「北海道の水を移送する」計画なのかもしれません。

「深層水を利用したマイクロバブルと対流モデルの制御研究でしょうか?」
そう尋ねると、教授が鋭い眼光を向けました。
「何言ってるんだべ。『もばいる』さ言ったら、『藻場は必要』って意味だべさ」
地元漁師と話す癖が抜けないようです。

准教授が静かに補足します。
「沿岸では藻場の減少が深刻です。その必要性を訴え、復活を目指すのが『藻場要る、北海道』プロジェクトなんです」

院生が続けました。
「藻場は炭素吸収効率が高く、大気温を調整する機能もあるんですよ」

ほう、それでは「爽やかな北海道」も、あながち間違いではありませんね。──そのとき、研究室の奥から、昆布出汁のよい香りがかすかに漂ってきました。

(418文字)

(お約束)本作品はフィクションであり、登場する大学、学部、プロジェクト名等はすべて架空のものです。

#極秘プロジェクト #モバイル北海道 #藻場 #水産学部 #海 #沿岸生態系 #昆布出汁 #文学的実験 #毎週ショートショートnote #わたくさす節

今回のお題では、寓意や隠喩や深層水以外の深層をすべて避けた結果、気づけば駄洒落だけが海の底に沈みました。せめて昆布の肥料になってくれればよいですが。もっとも、研究とは昆布出汁ほど上品で繊細ではなく、案外こうした勢いで転がるものなのかもしれません。

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