暁降ち
夜明け前。
窓の外を見ると
空が淡いピンクに染まっていた。
その下には薄い水色。
遠くの山肌はまだ濃紺のままで
夜のなごりをとどめている。
夏の暑さはまだまだ続いているけれど
空の色は少しずつ秋が近づいている。
昔の人はこの夜と朝のあいだの時間を
暁降ち(あかときくだち)と呼んだ。
こんな和歌がある。
今夜(こよひ)の暁降ち鳴く鶴(たず)の思ひは過ぎず恋こそまされ
夜から明け方になっても
鳴く鶴のように
恋しい人への思いは消えず
それどころか、ますます募っていく。
昔の人も
こんな空を見ながら
大事な人を思っていたのだろうか。

そう思うと
今見ている空が
昔の空とつながっているように感じる。
夜と朝のあいだ。
夏と秋のあいだ。
どちらにもまだなりきらない時間は
なぜだか心が落ち着く。
空が少しずつ明るくなっていく。
新しい一日が始まる。




