AIはインプットだけは助けてくれない…これからは「読む力」が大切
これからの時代にもっとも重要になる能力のひとつは「読む力」だと思う。
なぜなら、AIがどれだけ賢くなっても、根本的な力がない限り助けてくれない領域が、まさにここだから。
いまAIが万人に手を貸してくれるのは、アウトプットの能力だ。文章生成のクオリティを見ていると、出版社の人間である私でさえ驚くものがポンと出てくる。能力があろうがなかろうが、ある程度のレベルまではAIが引き上げてくれる。だから、そこそこ整った文章を誰もが出せるようになっていく。
ところが残念なことに、AIはインプットの能力については根本的に助けてくれない。
難しい論文や記事を、どれだけわかりやすく要約し、整理し、伝えてくれたとしても、読む力がない人はそれをきちんと理解することができない。結局、最後は自分自身の力——すなわち読む力——にすべてがかかってくる。ここは自ら鍛えない限り、どうにもならない領域だ。
こうしてAIの進化によって、アウトプットの技術だけが(見かけ上は)どんどん向上していくのに対し、読む力=理解する力はほとんど向上しない(読む力が元々ある人は別。むしろAIは武器になる)。この「差」が広がっていくことが、多くの悲劇を生むのではないかと思う。
ネット上のトラブルや、わけのわからないコメントが溢れかえる最大の理由のひとつも、ここにある。ネットによって誰もが発信できるようになり、読む力が根本的にない人まで発信できてしまう。だからおかしなことが起きる。そして怖いことに、AIはその差をさらに広げていく。
もうひとつ、アウトプットという点でも読む力は効いてくる。そもそも読む力がない人は、AIが作った文章が「自分らしい文章」になっているか、自分の伝えたい内容がきちんと書けているか、違和感のない仕上がりになっているかを、正確に判別できない。読む人が読めば、そういう文章は一発で見抜かれてしまう。つまり、読む力は、インプットだけでなくアウトプットにも深く関わってくる。
AIの時代だからこそ、読む力をしっかり身につける必要がある。そしてそのためには、良質な本や雑誌記事をきちんと読むことが重要なんじゃないの。私はそう思ってます。
