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「#今あなたの後ろにいる」読み切り短編小説

新しいSNSアプリを試しただけなのに 私は「誰か」に見つかってしまった
そして、その誰かは今も、私のすぐ後ろにいる

友達に勧められて始めた 新しいSNSアプリ
「リアルタイムで繋がれる」っていう触れ込みで位置情報とカメラを使って投稿できる

登録も簡単で名前とアイコンを決めるだけ。
他のユーザーは数秒前に撮った写真や動画をタイムラインにあげている
時間が経つと投稿が自動で消える仕組みらしく「今ここ」の臨場感がウリらしい

最初の投稿は、試しに自分の部屋で自撮りした
カメラが「3…2…1…」とカウントダウンして、シャッターが切れる
5秒後、自動でタイムラインに上がった

その瞬間 見知らぬアカウントからコメントが届いた 「いい部屋だね。すぐ後ろ、見てごらん」

心臓が一拍 遅れて動いた気がした
部屋の後ろにはカーテンしかないはずだ
でも、もしかしたら物音でも入っていたのかと おそるおそる振り返る。

――何もない。

少し笑って スマホに視線を戻す
しかし、画面が勝手に切り替わっていた
そこには新しい投稿が表示されている。

それは 私が振り返った瞬間の写真だった

私はそんな写真を撮った覚えがない
けれど、写真の奥 カーテンの隙間から 白い顔が覗いていた。
ぼやけているが 確かにこちらを見ている

アプリを閉じようとしたが スマホがフリーズした
その間にも 新しいコメントが次々と届く

「かわいいね」
「もっと近くで見たいな」
「もうすぐ着くよ」

全身の血が引くのがわかった
急いでアプリを削除しようとするが 削除ボタンはどこにもない。

画面が一瞬暗くなり インカメラが勝手に起動した
そこには怯えた私の顔、そして 私の肩越しに映る
真っ白な笑顔。

その笑顔がゆっくりと近づいてきた瞬間 スマホが手から滑り落ちた。
床に落ちたスマホの画面には ひとことだけハッシュタグが表示されていた

#今あなたの後ろにいる

スマホを置くと ふと後ろが気になりませんか?
今この瞬間も あなたの背後には――。

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