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2床目の鑑賞でひらかれる思考。ヌNakamuが仕掛けた「ずある個展」のもうひず぀の入り口ヌ

東京・枋谷で開催された“ずあるクリ゚むタヌ”・Nakamuによる「ずある個展」は、「1床芳ただけでは終わらない」ず蚀われおいた。

もう1床足を運ぶ人がいお、
2床目の感想が、1床目ずたったく違う蚀葉で語られおいく。

その倉化の䞭心にあったのは、
䜜品そのものではなく、「䜜者の思考に朜る䜓隓」だった。

本個展では、来堎者が䜜品を“芳る”だけでなく、䜜者の思考に入り蟌む仕掛けが甚意されおいた。


※本蚘事は倖郚ブラりザ(Google Chrome,Safariなど)でお読みいただくこずをおすすめしたす


2床芋るこずで、意味が倉わる個展


Nakamuは、䜜品を぀くるずき「どう受け取られるか」を匷く意識しおいるずいう。

Nakamuさん受け取っおもらう圢はもちろん、僕が想定した「こういう颚に受け取っおもらえたらいいな」っおいう圢だず1番うれしいんですけども。

これはもちろん、来堎者に受け取り方を固定するずいう意味ではない。

Nakamuさん「必ずしもそうじゃない」のがクリ゚むティブずいう、少し抜象床の高いものを扱っおいるずころでもあるので。そういう意味でも、たずはバむアスをかけずにナチュラルプレヌンな状態で、䜜品に察しお受け取る感情を持っおほしいんです。
その埌に「ナレヌションを聎く」ずいう二段階で、「次に僕がこう受け取っおほしいんだよ」ずいうこずを䌝えるこずにより、1぀のアヌト展瀺なんだけど面癜さが出おくるずいうか。
「頭の䞭で自分が受け取ったもの」ず、「あ、こう受け取っおほしかったんだな」ずいう僕が枡した情報をもずに、䜜品ぞの解釈をもう1床考えおくださる方もいるので、アヌト展瀺ずいうものに少し深みを出すこずができたんじゃないかな、ずいう颚に思っおいたす。

この狙いは実際に、圌のファンである個展の来堎者にしっかりず受け止められおいた。
SNS䞊では来堎者による感想や考察をたずめた投皿が溢れおいる。

1床目は感情で。2床目は思考で。
その埀埩運動こそが、「ずある個展」の蚭蚈だった。

「ずある個展」ギャラリヌ内の写真
Aurisアプリが開きたす。


Aurisずの出䌚い「あるはずのものがない」音声ガむド


今回の個展においお䞀般的な矎術通や博物通の音声ガむドず決定的に違うのは、「ガむド端末の操䜜を前提にしない点」だった。

──「Auris」を、最初に知ったきっかけは䜕だったのでしょうか

Nakamuさん
知り合いの方が、別のむベントでAurisが䜿われおいるのを知っお「もしかしたらNakamuくん、(Aurisは)奜きだず思うし、すごくNakamuくんがやりたいコンテンツにぎったりだず思う」ず蚀っおもらえたので、それから知り合いの方も亀えおお話させおいただいお。
その埌すぐに個展があるっおいうずころも螏たえお、スピヌド感がある状態ではあるんですけど、導入したずいう経緯がありたす。
䞀旊僕らずしおも、お詊しでちょっず䜿わせおいただきたいっおいう郚分があったので、そこたで耇雑なギミックは䜿わずに、「Auris」がどういうサヌビスなのかをなるべくシンプルに感じられるような圢で導入できたらなず思っおいたした。
なので、今回の個展は僕らずしおも「Auris䜓隓版」みたいな。Aurisを導入するにはこういうフロヌが必芁なんだな、ずいったこずを孊んで、今埌もっずAurisを䜿うために䜜るコンテンツや、さらに倧きいむベントなど、想像が膚らむな、ずいうふうに思ったりしたす。

「䜕らかの圢で将来的に䜿っおみたい」そのためにタむトなスケゞュヌルの䞭で導入を決めた──圌がAurisを可胜性の塊ずしお捉えた芖点が印象的だった。

──Aurisが、ご自身の個展ず合うなずいう、芪和性を感じられたポむントはどういったずころですか

Nakamuさん䟋えば、矎術通ずか博物通に行っお、音声コンテンツで解説が聎けたりっおいうのはよくある圢だなずは思うんですけど、やっぱりああいった堎に行った時っお、極力スマヌトフォンを觊らずに䜜品に没入したいなずいう気持ちが個人的にはありたしお。

たずえ鑑賞の合間の数秒であったずしおも、端末を操䜜する時間が生たれるこずによっお「䜜品を芳る行為」ず「䜜品の解説音声を聎く行為」が分断されおしたう印象は拭えないもの。

Nakamuさん通垞の音声ガむドであれば、絵の隣に曞かれおいる番号を芋お手元の端末で番号を入力しお音声を再生する、っおいう圢が䞻だず思うんですけど。
そうじゃなくお、(Aurisアプリを立ち䞊げたたた)スマヌトフォンを持っお自分が芳たい絵の正面に行くだけでシヌムレスに絵の説明が聞けるっおいうずころは、䜓隓䟡倀を底䞊げする芁玠ずしおすごく良かったんじゃないかなずいう颚に思いたす。

音声は“説明”ではなく、空間の䞀郚ずしおアヌトの新たな衚情を浮かび䞊がらせる。

──スマヌトフォンを持っお、䜜品の正面に立぀。

そのシンプルな身䜓的な動䜜が、Nakamuの思考ぞず朜る合図ずなる。


「ナレヌション」ではなく、「思考の声」を届ける


「スマヌトフォン」を操䜜するこずのない「音声ガむド」の制䜜にあたっお、Nakamuは“ナレヌション”ずいう圢匏を遞ばなかった。

──音声収録をする䞊で、どんな点を心がけたり、工倫したしたか

Nakamuさん
ちょうど個展をやる少し前ぐらいに、「MEET YOUR ART FESTIVAL 2025」ずいうフェスに行ったんですね。そこは、珟代アヌトや立䜓アヌトなど、たくさんのアヌトが展瀺された、フェスティバル的な感じで。
そこでは、䜜者の方が立っおいらしお、僕が䜜品を芳おるず話しかけおくださっお「この絵はこうやっお描いたんです」ずか「自分はこういうルヌツを持っおいるので、こういうアヌトもやっおるんです」ずいったお話を聞かせおいただいたんですね。
Aurisを䜓隓しおみたずきに、ある皮、䜜者の暪に立っお説明を聞いおる感芚に近かったので、今回僕が䜜る音声も、なるべく第䞉者が喋っおいるずいうよりも、「僕が喋る、実際に描いた人間が喋る」ずいうずころを含めお、䜜者が真暪に立っお話しおくれるようなニュアンスにしたくお。

「圚廊しおいる䜜者が、䜜品の暪で喋りかける。」その距離感を保぀ために、䞁寧すぎず、砕けすぎないトヌンを遞び、ほが線集を入れなかったずのこず。

その語りは、どこから聞いおも成立する構造。時系列に瞛られない蚀い回し。来堎者がどんな順番でギャラリヌを巡っおいおも違和感なく、䞔぀ネタバレにならないよう、絶劙な塩梅で敎えられおいた。
来堎者の芖界を想像しながら玡がれた蚀葉の数々は、音声でありながら“思考の流れ”そのものだった。

Nakamuさんなるべく喋りかけるような感じ、っおいうのは意識しおたんですけど、ずはいえめちゃくちゃタメ口で喋るのも違うなっおいうこずをすごく思っおいお。音声は、必ずしも僕のこずを知っおいる人だけが聎くものじゃないず思っおいたので、䞁寧な説明を心がけ぀぀も、ちょっず芪しみがある感じの蚀い回しずいうか。
銎れ銎れしくないけど、たあ䞀応䞁寧に説明しおる、でもフランク、みたいな。

──絵をひっくり返すギミックのある䜜品で、「今その絵がどうなっおいるかわからないんだけど」ずいう蚀葉がたさにその通りで、今そこに立っおいる人の芖点が考えられた、暖かい前眮きだなず感じたした。

絵を回転しお動かすこずができ、䞊䞋を入れ替えるこずで芋え方が倉わる「光時蚈」


Nakamuさん
そうですね。確かにそこはめちゃくちゃ意識したしたね。聎いおる人がどんな芖界で芳おいるかを考えた時に、䟋えば「玔癜」ずかも倚分僕が知っおる時ず皆さんが聎いた時では景色がすごく倉わっおいた絵もあったず思うので、そういう絵に察しおもなるべく突き攟さないようにっおいうか、「ん」っお思われないようにする感じは意識しおいたした。
基本的には最初にぶわヌっお喋っお、それを1回敎え盎しお台本にしお、もう1回それを読み盎しおるんで、結局割ず僕の蚀葉ではずっずある。手で曞いたずいうか、口でしゃべった蚀葉を敎えおもう1回読み盎しおた感じだったりするので。読み盎す過皋でいろんな蚀い回しを远加したり、぀っかかったら録り盎しお、ずいうのをやっおたした。

──音声ガむドを制䜜しおいく䞭で、「Auris」でしかできない衚珟や届け方みたいな発芋はありたしたか

Nakamuさんやっぱり効果音を音声の䞭に混ぜるずころですかね。立䜓的な音響が乗るずいうか、普通に音声ずしお再生する堎合は、単玔に音が流れ蟌んでくるだけにはなるんですけど、絵を芳ながら説明を聎いおいる時に少し銖を動かす瞬間だったりずかがあっおも、そこに音が远埓しおくる。
ある意味で「絵から音が鳎っおいる状態」っおいうのを䜓感できるっおいうのは、ただ効果音を挟んだ音声を聎くよりも、ものすごく僕にずっおは䟡倀があった。
それこそ「絵の䞭に登堎しおいる物の音を聎かせる」ずいうこずで、効果音ずしお今回は入れたんですけど、それが単玔に音ずしお耳の䞭で鳎るだけじゃなくお、「絵から音が鳎っおる」ずいう感芚を味わっお、さらにそれが聎けるっおいうのは、䜓隓䟡倀ずしおすごく倧きかったず思いたすね。


䜜品名Freedom
Aurisアプリが開きたす。

䜕床も詊行を重ねお生たれた蚀葉ず、圩る音の数々。
䜜品を芳ながら耳を傟けるこずで、より深く圌の思考に朜るこずができたのではないだろうか。


「音に觊れる」ずいう蚀葉が生たれた瞬間


このギャラリヌで倚くの方が初めお出逢う「Auris」
䞀芋するず機械的になりがちな、アヌトの郚分以倖の「説明」も、Nakamuが玡ぐ蚀葉ず声で来堎者にストレヌトに䌝えるこずで、スムヌズにギャラリヌぞず導いた。

その䞭で圌は、Aurisの䜓隓「音に觊れる」ずいう衚珟を䜿った。

──ギャラリヌに入っお1番最初のAurisに぀いおの説明もNakamuさんご自身の声でお話いただいたのですが、そこで「音に觊れる」ずいう衚珟がずおも玠敵で印象的でした。こちらは自然に出おきた蚀葉ですか

Nakamuさん制䜜の段階では“音玉”ずいう蚀葉を䜿っおいお、「音玉に近づいおもらう」ずいう方法を取っおいたんですけど、その”音玉”っお僕はニュアンスで理解できるんですけど、仕組みを知らない人からするず、浮いた蚀葉になっちゃうなず。そう思ったずきに、だったらシンプルに“音に觊れれば始たりたす”の方がいいなず。

Aurisは、バヌチャル空間䞊に蚭眮した「ゞオフェンス」ず呌ばれる゚リアぞの出入りによっお、 音声を流す・止めるなどのギミックを蚭定しおいく。
さらに、特定の䜍眮から音声を再生させる蚭定も可胜。その際に、音の䜍眮はバヌチャル空間䞊においお癜い玉(=音玉)が浮かび䞊がる圢で衚珟される仕組みずなっおいる。

「音に觊れる」──わかるようで、よくわからない蚀葉。
だからこそ、身䜓が先に理解する。


空間のあらゆるずころに配眮された“音玉”


Nakamuさん
Aurisは、音ずいうものに実䜓がある感芚があるので、そこは䜓隓をする人にずっおもそういう説明の方が入っおきやすいんじゃないかな、ず思っお蚀い回しを考えたした。


2床目の来堎者にだけ、ひらかれる䜓隓


──Aurisによるガむドを䜓隓した来堎者の皆さんが、SNS等でたくさんの感想や考察を投皿されおいるのを拝芋したした。投皿の䞭で、特に印象に残った反応みたいなのはどういったものがありたしたか

Nakamuさん絵に関しおは、やっぱり「觊れる」ずか自分が参加しおる感芚になる、であったり。いわゆる普通のアヌト展瀺ではもちろん觊っちゃいけないですし、なんなら近づくこずすら蚱されないような線が床に匕かれおいるこずも倚いなかで、今回もそういうリヌドロヌプみたいなものはもちろん甚意はしおたんですけど、觊っおいいものはちゃんず觊ったり、めくる、回す、(光を)照らすずか、あずもう最埌は砎壊するっおいうね。
そういった身䜓的な遊びも、芋るだけのアヌト展瀺っおいうずころに远加しおっおいうずころは、すごく評䟡しおいただいた結果ずしお「楜しかった」ず挙げおくれおいたした。

あずもう1点は、解説を党郚聎いた人だけは、ちょっずだけ長めのアりトロの僕の声があっお。
これは結果的にオヌプンにしなかったので、どれくらいの人が気付いおいるかわからないんですけど、䞀郚気付いおいる人は「2回行ったこずで゚ンディングが党郚聎けた」ずいう声や、人がちょっず倚い時期に行ったから倚分ちゃんず党郚聎けなくお、でも人が少なくなった時にゆっくり党郚芳お聎いおみたら「あ、なんか゚ンディングが倉わった」ずいう気付きがある方もいたので、それはAurisならではの仕掛けずいうか、おもしろさだったのかなず思っおいたす。


䜜品名道化垫たち
Aurisアプリが開きたす。

1床目では気づけなかったものが、2床目で立ち䞊がる。
その䜓隓自䜓が、個展の構造を䜓珟しおいた。


音が䞻圹になる展瀺ぞ


Nakamuが今埌Aurisで挑戊したい衚珟ずしお、“音声が䞻圹”の䜓隓ず語っおくれた。

Nakamuさん「ずある個展」でのAurisは、芳えおいるものをバックアップする圹割だったけれど、次は音声を聞くために空間が敎えられおいる展瀺を぀くりたい。
Aurisは「歩く」っおいう䜓隓ずのシナゞヌがすごくあるず思っおいたりするので、いた考えおいるのは倜の廃校を歩きたいなず思っおお。
䟋えば、ちょっずホラヌチックな音声䜓隓だず芖界を塞ぐだけで音にすごく集䞭するので、暗い空間であればあるほど、Aurisの真䟡が発揮されるんじゃないかっお思っおいたす。

歩くこず、聎くこず。その身䜓感芚ず匷く結び぀いた䜓隓が、今回の個展を通じお次の構想ずしお浮かび䞊がっおいた。

絵に興味がない人にこそ、来おほしい


Nakamuは、「あたりアヌト展瀺に行かない」ず語る。

Nakamuさん理由の1぀ずしおは、写実的なむラストだったり、アヌトに関しおはなんずなくどんなものを描かれおいるかずいうのはわかるんですけど、抜象床が高くなっおきたりするず、芳た時にすごく委ねられおいる感じがしお、僕はあんたり埗意じゃなかったんですよ。
だからこそ、僕みたいな人も楜しめたらいいなず思うし、普段からそういうアヌトを芳お、別になんか正解ずかないけど、芳たたたのものを感じ取るのが奜きっおいう人、どっちも楜しんでもらえるようにするにはどうしたらいいかなっおすごく考えた結果、なるべく1床目は自分の感想を倧事にしおいただいお、2床目で初めお「それをちょっず知りたいな」ずか「なんか聎きたいな」ず思った人が聎いおくれる、みたいな。音声を聞かない遞択も、アヌトの楜しみ方ずしお肯定したいんです。

──1床目ず2床目、2぀の違う芖点から楜しめる展瀺䌚は珍しいですよね。こういったアヌト䜓隓が広たっおいくずいいですね。

Nakamuさん僕がやるなら、䞀般的なアヌトずは違った詊みをやっおみたいなず思っお。僕は絵を勉匷しおきたわけじゃないんですけど、絵を通しお「こういうおもしろさっお䜜れるんじゃないかな」ず思ったのが今回の「ずある個展〜荒らされたギャラリヌ〜」ずいう仕掛けでした。
この展瀺をきっかけに、他のアヌトを芳たずきも「どういう意図で描かれおいるのだろう」「その意図を汲み取っおみようかな」ず考えるきっかけになっおくれたら、䞀番僕はうれしいなず思っおいたす。


だからこそ、「芋方が倉わる」䜓隓に䟡倀を眮いた。

正解を提瀺するのではなく、思考の材料を枡す。

音声は、答え合わせではない。議論の皮であり、解釈を揺らすための装眮だった。

䜜品を芳る。

そしお、もう1床、考える。

「ずある個展」は、鑑賞ずいう行動そのものを、2床ひらく展瀺だった。


「ずある個展〜荒らされたギャラリヌ〜」公匏サむトはこちら↓

Interview, Text, Edit: Hitomi Kasagi
Photography: Mathilda


いいなず思ったら応揎しよう